STEAM教育とは?STEM教育との違い、日本や世界の事例から自宅でできることまでわかりやすく解説!

STEAM教育とは?STEM教育との違い、日本や世界の事例から自宅でできることまでわかりやすく解説!
これからの時代を生きる子どもたちに必要と注目されているSTEAM(スティーム)教育。なぜ今必要なのか、STEM(ステム)教育との違いやSTEAM教育のArt(アート)とは何か、どんな力が身につくのか、日本の文部科学省の取り組みや学校教育の現状、世界の事例、幼児が自宅で取り入れられるSTEAM教育などを専門家に幅広く取材。わかりやすく解説します。
目次

「STEAM(スティーム)教育」という言葉を耳にする機会が増えてきたこのごろ。親世代が子どものころには無かった言葉のため、ちょっと敷居が高いと感じてしまう人も多いのではないでしょうか。

まずは、子育て中の親たちがSTEAM教育について正しい知識を持っておくことが必要。そこで、STEAM教育について情報発信するメディアSTEAM JAPAN編集長の井上祐⺒梨さん、運営会社である株式会社Barbara PoolのSTEAM事業部の松下紗由美さんに詳しく教えていただきました。

STEAM教育とは?わかりやすく解説!

"理系の力を伸ばす教育"という漠然としたイメージをもっている親が多い印象です

おやこのくふう編集部 編集部

STEAMとは2000年代にアメリカで始まった教育モデル。
科学・技術・工学・芸術・数学の5つの英単語の頭文字を組み合わせた造語です。

  • S…科学(Science)
  • T…技術(Technology)
  • E…工学(Engineering)
  • A…芸術(Art)
  • M…数学(Mathematics)
  • 理数系の教育に創造性教育であるアートを加えたこの5分野について、相互に関係しあう分野横断的な「実社会と結びついた学び」を指します。

    「知る」×「創り出す」のワクワクする学び!

    …というとすでに「ちょっと難しそう」という印象をもってしまうかもしれませんが、決してそうではなく、大切なことは「ワクワクする学び」であること
    大人だってやりたくないことをイヤイヤやっても力を発揮できませんよね。そういう意味で、STEAM教育で扱われるのは、子どもの好奇心を起点にした興味関心をもてる楽しい学びなのです。

    そして、STEAM教育のもう1つの特長は「創り出しながらの学び」であること。
    これまで重点的に行われてきた教育は、机に向かって先生の言うことを書き写して学ぶ「知識教育」。アメリカでもイギリスでも、「従来の知識教育はもう古い」と大きな危機感をもたれていましたが、日本も同様です。

    そんな背景から、今、「創り出す」ということが非常に重要視され評価されています。そして何かを作り出すのは、いろいろな原理を理解し、技術があってこそ実現できること。そのためには知識教育も欠かせず、「知る(探究)」「創る(創造)」を相互作用させながら学んでいくというところがポイントです。

    ということで、この「知る」と「創る」は子どもの「楽しい」「もっと知りたい」「やってみたい」というワクワクを潤滑油にぐるぐると回っていくのです。

    STEM教育との違いは?

    STEM教育という言葉の方が先に耳にするようになりましたよね。そこになぜ「A」が加わったのでしょうか

    おやこのくふう編集部 編集部

    STEM(ステム)教育とは、S(科学)T(技術)E(工学)M(数学)の理数教育。そこにA(アート)の創造性教育を加えた教育概念がSTEAM教育です。

    STEAM教育は世界共通の言葉ですが、日本とアメリカをはじめとする海外では教育における課題が異なるため、海外ではよりSTEM教育に、日本ではアートを加えたSTEAM教育に比重が置かれているという状況にあります。

    例えば、アメリカやイギリスは以前からデザイン教育、クリエイティブ政策など、アートを重視する国の政策は推し進めてきていました。それよりも科学や物理科目の履修者が減っていることへの課題感が強く、そのため芸術分野よりもSTEM分野により注力しているという実態があります。

    一方日本では、STEMに代表される数理教育への取り組みは比較的進んでいますが、アートの領域については大きな課題があり、基盤を整備する必要があったというわけです。

    それを裏付けるような調査結果があります。
    12歳から18歳のZ世代への「あなたはクリエイティブですか?」という質問に対して、日本ではYES=「自分はクリエイティブである」と答えたのはわずか8%だったというのです。
    ちなみに同じ質問に、アメリカでは47%と約半数がYESと答えています。
    *出典:「Gen Z in the Classroom: Creating the Future(教室でのZ世代:未来を作る)」(アドビ システムズ株式会社・2017年)

    人間は元来創造性のある生き物ですから、日本人に足りないのはこの「自分はクリエイティブである」というマインド、自信をもつということなのです。

    こうした背景からも、日本では国の政策として「STEM教育」ではなく、A(アート)が入った「STEAM教育」を推し進めているというわけなのです。

    STEAM教育におけるアートとは?

    アートというと広範囲でいろいろなことが含まれますが、"STEAM教育におけるアート"の定義はあるのでしょうか

    おやこのくふう編集部 編集部

    STEAM教育におけるアートの定義は、まだまだ国内でも議論されている最中ではあります。

    経済産業省の「未来の教室」(*1)で言われているのは、デザインなどの領域ではなく「リベラルアーツ」。分野の領域を超えた総合的な知識を得ることで、社会のあらゆる問題にさまざまな角度から立ち向かうことができる人材育成を目的とした学びです。

    アートとは、これまで常識といわれてきたことに刺激を与えてパラダイムシフト(*2)を起こしてくれる(その常識を壊す)存在です。イノベーション社会においてとても大切な、いわば"イノベーションを起こすエンジン"。

    アートにおける"0から1を生み出す力" "コンセプトを生み出す力"はこれからの社会にとても重要なのです。

    ちなみに日本はどうしても定義を重んじる傾向にありますが、海外ではあまり定義を重要視していないので、STEAMという言葉も柔軟にとらえられています。たとえば、E=Entrepreneur(起業家)に置き換えて使ったりもします。

    そういう意味でも、アートも幅広い概念でうけとめてよいのかもしれませんね。

    *1 未来の教室:経済産業省が掲げる時代の変化に合わせた新しい学びの社会システム。この「未来の教室」実現のため、2018年に新たな教育プログラムの開発等に向けた実証事業が開始された。
    *2 パラダイムシフト:その時代や分野において当然のことと考えられていた認識や思想、価値観などが革命的にもしくは劇的に変化すること

    なぜいま、STEAM教育が必要なの?

    そんなSTEAM教育がどうして今必要だと言われているのでしょうか

    おやこのくふう編集部 編集部

    正解がない時代が到来したと言われています。
    まさに今、新型コロナウイルスの感染拡大により、誰も予測できなかった社会へと変貌しました。今ですら正解がなくて混沌としているのに、これからますます社会は複雑化していくでしょう。
    そんなこれからの未来は、「正解のある問いを与えられてその解を答える」のではなく、「自ら問いを生み出して。自らスピーディーに解いていくことが重要」になっていきます。

    またAI時代も加速していきます。
    人工知能をもったロボットがいろいろなことをやるようになり、AIは人類の共通頭脳になり、人間はAIにできないことをやっていくしかありません。

    ただし、AIは人間が設定したゴールに向かって最短距離で処理することは速いですが、自ら課題を設定することはできません。

    人間に残された役割は、課題を自分で発見して問いを生み出すこと、そしてその課題解決のスキルを持って、創造力を働かせながら自らの解を生み出していくこと。そして、それこそがSTEAM教育で育まれる力なのです。

    たとえば、待ったなしで環境破壊が進んでいる今、国境を超えた地球規模の環境課題が解決できる人材が必要、国内では地方の深刻な過疎化が進みその地域の課題解決ができる人材が必要…など、アイデアと行動力、具体スキル、クリエイティブを持った人材がさまざまな場所で早急に求められています。

    自分の子どもとは遠い話のように感じてしまう親御さんもいるかもしれませんが、それは決して特別な人だけが必要な力というわけではありません。
    一般企業に就職して働くとしても、次世代に必要なのは他社とのコラボレーション力、コミュニケーション力など、これまでとは違ったスキルを持つ人材が求められていくのです。

    STEAM教育で身につく力とは?

    なるほどよくわかってきました。ではSTEAM教育によって、実際にどんな力が身につくのでしょうか?

    おやこのくふう編集部 編集部

    STEAM教育では主に以下のような力が育まれます。

    • 課題を見つけて解決する力
    • 物事を多角度からとらえ解決する力
    • 新しい価値を創造する力
    • 先行き不透明かつ複雑化した社会、スピードをあげて激変する社会、そしてAI社会…。これらの力がわれわれの未来では必要不可欠となっていくのです。

      STEAM教育を理解するために知っておきたいキーワード

      STEAM教育とは何か、と理解するためには、これからの時代、どのような能力が必要でそれに必要な学びとは何かということを考えることが必須です。STEAM教育と密接に関連しあい、共通することが多いこれらの言葉を知っておくとより理解しやすくなります。

      • 経済産業省「未来の教室」:これからの経済・産業分野で必要な人材育成のためのプロジェクト
      • Ed Tech(エドテック):教育現場にテクノロジーを入れてイノベーションを起こしていく動きやサービスのこと
      • 平成29・30年学習指導要領改訂・新学習指導要領:これからの子どもたちの生きる力を確実に育めるよう改訂された2020年から始まる新しい学習指導要領
      • アクティブ・ラーニング:主体的・対話的で深い学び
      • 探究学習/探究型学習:自ら学び、考える力を育てる"学ぶ側が主体"となる学習方法
      • プロジェクト型学習/PBL:知識の前に問題を与え、解決していく過程で必要な科目を学ぶ学習法
      • 21世紀型スキル人材:これからのグローバル社会を生き抜くための能力を持ち合わせ社会で求められる人材
      • 情報活用能力・情報活用スキル:21世紀型スキルとして求められる課題解決のために必要不可欠な力
      • プログラミング教育・プログラミング的思考:プログラミングの概念に基づいた問題解決型の思考のこと
      • GIGAスクール構想:1人1台の端末環境を推進していく文科省の取り組み

      • これらのキーワードをこちらの記事でわかりやすく説明しています。

        STEAM教育の文部科学省・経済産業省の取り組みと事例

        日本ではSTEAM教育についてどのような取り組みがされているのでしょうか

        おやこのくふう編集部 編集部

        日本では、初等教育における理数系教育は世界の中でも充実していて、OECD(経済協力開発機構)による「生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)」においても数学的リテラシー、科学的リテラシーに関しては世界トップレベルです。
        ただ、知識を身につけるだけでなく、その知識を使って「自分たちで課題を見つけて何かを創り出していく」という教育はあまりされてこなかったため、理系文系の垣根を超えて創造性を持って自ら課題を見つけ解決する人材を輩出する必要性から、現在国の政策としても「STEAM教育」を推進するための教育改革が行われています

        文部科学省と経済産業省の主な取り組みはこちら。

        • 2018年1月:経済産業省が教育改革に関する有識者会議「『未来の教室』とEdTech研究会」を設置
        • 2018年6月:文部科学省がこれからの日本の学校現場における教育方針についての報告書「Society5.0に向けた人材育成 ~社会が変わる、学びが変わる~」を公開
        • 2019年6月:「『未来の教室』とEdTech研究会」の第2次提言。初等中教育分野において「学びのSTEAM化」「学びの自立化・個別最適化」「新しい学習基盤の整備」の3本柱の実現に向けての9つの課題とそれに対応するアクションについての提言
        • 2021年春:経済産業省「未来の教室」によるSTEAMライブラリーのサイトがオープン予定

        2021年~2022年はSTEAM教育の転換期

        日本ではSTEAM教育を推進していくにあたり、現場の指導者の育成と学びのコンテンツ制作が課題となっています。 まずはどのような時代背景でどんな課題があり、なぜSTEAM教育が必要なのかを現場が理解することが必要となります。また、現場の先生たちが多忙な中、STEAM的な学びを一から作っていくのは大変なことです。

        そこで、現場の育成については、一般社団法人STEAM JAPANが各自治体の教員研修を進めています。
        STEAM教育を強化したいという自治体とは、共同でプログラムを具体的に進めていくという流れもできています。たとえば2021年1月には大分県教育委員会主催で宇宙や先端技術の講義などを行う「STEAMフェスタ」をオンラインで開催。地元の高校生たちが探究的な学びを体験しました。

        コンテンツについては、2021年春に経産省が「STEAMライブラリー」というサイトを開設予定です。サイト上には、STEAM的な学びに関する動画、補助教材、ワークシートなどのコンテンツが集められ、現場の先生が無償で授業に使うことができるというものです。

        その他、STEAMに力を入れる高校が企業と一緒にプロジェクトを進めるなど少しずつ取り入れられてきています。

        必要な素地作りには時間はかかりますが、この2021年、2022年は日本の教育現場にSTEAM教育が取り入れられていく転換期になりそうです。まずは中学校、高校から、その後小学校へと広がっていくことが期待されています。

        STEAM教育の海外の事例

        「STEAM」「STEM」という言葉は英語をベースにしているので、用いられている名称は異なりますが、各国STEAM分野での学びを重視するような教育にシフトしてきています。

        全世界共通で言えることとして、「モノを創る」ということの重要性が認識されてきています。各国で「何かを創る」「生み出す」学びを、学校の授業の中でどのくらいの割合で取り入れるかが検討されています。

        世界各国のSTEAM教育の事例のごく一部を紹介します。

        アメリカ:STEM教育のグローバルリーダー

        STEM(ステム)という言葉がアメリカで生まれたのは2001年。
        それ以前は「SMET(スメット)」という言葉で、1990年代から科学リテラシー教育の底上げを目的に国立科学財団(NSF)による取り組みが注目されていました。さらに注目を集め、世界にSTEMという言葉を広めたのは、オバマ大統領の就任以降のこと。2015年にSTEM教育法が成立し、その2年後にアートの分野を含めたSTEAM教育法へと変化し、国家戦略とした動きは世界中に広がりました。

        【アメリカのSTEAM教育年表】

        • 2006年:ブッシュ政権による「STEM教育強化 10の指針」が発表
        • 2009年:STEM教育⽀援を選挙公約に掲げたオバマ氏が大統領に就任
        • 2011年:オバマ大統領⼀般教書演説において、技術革新の担い手としてのSTEM教育の重視を発表
        • 2013年:STEM教育5カ年計画を発表
        • 2015年:STEM教育法が成立
        • 2017年:STEM教育にアートやデザイン分野を統合する法改正(STEAM法へ)
        • 2018年:トランプ政権が「米国STEM教育戦略 5カ年計画」を発表

        イギリス:STEMアンバサダーが次世代の人材輩出に貢献

        イギリスの小学校では「トピック学習」として、1つのトピックに関して各教科を超えて多面的に考える授業があります。高等学校ではSTEAMカリキュラム等が導入されている学校もあります。
        またイギリスのSTEM Learning UKという組織は、2500企業、約3万人のSTEMアンバサダーが登録をしており、学校や地域とつながり、次世代のSTEAM人材輩出促進を行っています。

        フィンランド:現象ベース学習への取り組み

        教育水準が高いことで知られるフィンランドでは「現象ベース学習」という言葉でSTEAM分野の学びが推進されています。
        2016年の教育カリキュラムの改定で取り入れられた現象ベース学習は、教科の枠を越え「現象」について探究していくもの。食文化や歴史などその土地固有の問題や時事問題などの現象をテーマに、テクノロジーや学校外の資源を利用しながら学びます。

        中国:民間の教育企業による学びのSTEAM化が進む

        中国では2016年には「分野横断学習」(STEM教育)を促進する方針を発表。2017年の「義務教育小学校科学課程標準」の改訂ではSTEM教育の実践を提案するなど、親や生徒のSTEAMへの需要は高まり、学校教育にもSTEAMを取り入れる動きが進んでいます。2018年には中国で初めてのSTEAMの小学校向け教科書が出版されました。
        公教育へのSTEAM導入はなかなか進みませんが、民間の教育サービス企業が、より知識を探求し、思考力を使う学びにシフト。実践的な教え方や交流を増やたり、プロジェクトベース学習(PBL)を取り入れるなどしています。

        幼児も自宅で取り組めるSTEAM教育の3つのポイント

        子どもの未来のために早くからSTEAMの習い事を!などと思ってしまいがちですが、自宅で簡単にできることはあるのでしょうか

        おやこのくふう編集部 編集部

        日本ではまず中学校・高校で取り入れ始めているSTEAM教育ですが、もちろん幼児のうちからSTEAMの学びに触れさせることは非常に有効です。
        近頃は幼児向けのSTEAM教育のスクールや教材、おもちゃなどもありますが、特別な教材を用意しなくても、毎日のおやこの時間でSTEAM分野の学びは充分楽しめます。

        1.子どもの日常はSTEAMの学びの宝庫

        子どもが大好きなどんぐり。たとえば一昨日拾ったどんぐり、昨日ひろったどんぐり、今日拾ったどんぐりを白い紙に並べて線で囲うと…途端にそれはとれた数を比較できる棒グラフに!線でつなぐだけで折れ線グラフに!
        数やグラフは幼児にはまだ早い?と思うかもしれませんが、そんなことはありません。遊びに自然に学びを足していくことができます。

        また、部屋の中に子どもが自由に工作できるクリエイティブスペースを作ってあげるのもおすすめです。そこに廃材など自由に使っていい材料を置いておきます。何かと何かを組み合わせて作り出すことはクリエイティブとしてはとても大切。ちょっとした工夫で子どもたちの興味関心や好奇心を広げていくことができるんです。

        子どもは自分の身近な物にはより興味を持ちやすいもの。
        たとえばオムツがどのくらい吸水性があるのかを調べてみたり、大好きなうどんを食材を変えていろいろ作ってみる実験をしてみたり…。
        安全にだけ気をつけて環境を調えてあげたら、あとは子どもが好きなようにやらせてみるのが一番!

        つい大人は「それ違うよ」など、言いたくなるのですが、そこはぐっと我慢して好きにやらせてみる、本当にわからなくて知りたくなったときは一緒に調べるくらいのスタンスがいいですね。
        また、年齢によっては自分で調べることもできるので、調べ方を教えてあげることで子どもが自分で世界をどんどん広げていくことができます。

        2.図鑑や絵本には探究のタネを探れるヒントがいっぱい!

        図鑑は子どもにとって未だ触れられていない世界にたくさんふれられるツール。宇宙、人体…壮大なテーマもページをめくるだけで触れることができます。図鑑で広がっていく世界はとてもおもしろいもの。
        子ども向けの図鑑は海外にも充実しています。図鑑であれば言葉がわからなくても全く問題ありません。いまは外国の図鑑も通販で簡単に手に入れられるようになったので、好きなテーマがあれば、ぜひ色々な切り口の図鑑をどんどん見せてあげてください。わが子の探究のタネがどこにあるのか、親が探れるヒントにもなります。

        また、STEAM的な概念が詰まった絵本もたくさんあります。
        たとえば建築家の安藤忠雄さんの絵本『いたずらのすきなけんちくか』。「便利じゃないもの。一見、ムダに思えるもの。すぐに 答えがわからないもの。そういうものが実は一番おもしろい」世界的な専門家の知恵や哲学のが詰まった本は子どもに(そして大人にも)とても良い気づきを与えてくれます。

        また、かこさとしさんの作品は、どれもSTEAM的な学びにつながります。『だるまちゃんとてんぐちゃん』では、アイデアを持って様々な形に工夫するだるまちゃんと、全肯定するてんぐちゃんの姿から。『地球』『海』『宇宙』のかがく絵本シリーズもどんどん世界が広がりますし、『みずとはなんじゃ?』もまた、人間の基本でもあり奇跡の星「地球」をつくり出している「水」に焦点を当てていてとてもおもしろいです。

        さらに、ヨシタケシンスケさんの『りんごかもしれない』など、「なるほどそういう視点もあるのね!」という新たな視点が入っている絵本を選ぶのもひとつの手です。




        『いたずらのすきなけんちくか』
        原作:安藤忠雄  絵:はたこうしろう
        価格:1,760円(税込)
        小学館



        『だるまちゃんとてんぐちゃん』
        さく・え/加古里子
        価格:990円(税込)
        福音館書店



        『地球ーその中をさぐろうー』
        文・絵:加古里子
        価格:1,650円(税込)
        福音館書店



        『宇宙ーそのひろがりをしろうー』
        文・絵:加古里子
        価格:1,650円(税込)
        福音館書店



        『海』
        文・絵:加古里子
        価格:1,650円(税込)
        福音館書店



        『みずとはなんじゃ?』
        作:かこさとし 絵:鈴木まもる
        価格:1,650円(税込)
        小峰書店



        『りんごかもしれない』
        作:ヨシタケシンスケ
        価格:1,540円(税込)
        ブロンズ新社

        3.「おうちSTEAM」で大人は子どもの"よき伴走者"であるべき

        おうちでSTEAM分野の遊びをするとき、大人は子どもの興味に寄り添っていくことが大切です。
        車が大好きな子であれば、車を実際に作ってみる。その車を走らせながら、どんな原理で動いているのかを調べたり、触って動かすことで体感したり、自由にデザインをしたり、実物を一緒に見に行ってみる、さらには専門家の言葉を直接聞く機会を作ってあげられるとよいでしょう。専門家の言葉にはパワーがあるので、直接話を聞く機会があると子どもはさらにぐっとのめり込んでいきます。

        また、「子どもに何か聞かれたら、ちゃんと教えなくちゃ」と思いがちですが、大人でもわからないことがあって当然!「どうしてかな」と一緒にその不思議を楽しみ、調べればよいのです。あくまで子どもと同じ立場、仲間であるという意識が大切です。

        また、何かを作っているときに大切なのは、うまくいかないことを改善していくプロセス。試行錯誤の積み重ねが今までにない価値を生み出していくので、口出しせずそっと見守ってあげられるといいですね。
        失敗しそうだから先回りして止めるのではなく、失敗はしてもOK、まずは子どもがやりたいようにやらせてみることが大切です。

        幼少期はSTEAM的な要素をたくさんもっています。
        大人がどうこう言わなくても自分でどんどん探究心をもってやっていくことができます。そのマインド、スキル、クリエイティビティを大人になっても持ち続けられるよう、そっと見守ってあげられるといいですね。




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お話を伺った方

STEAM JAPAN 編集長 井上 祐巳梨

株式会社Barbara Pool 代表取締役 クリエイティブプロデューサー / 一般社団法人STEAM JAPAN 代表理事
クリエイティブプロデューサーとして、地域×クリエイティブ/STEAMをテーマに全国各地で地域創生プロジェクトに携わる。
2019年、STEAM事業部を立ち上げ、WEBメディア「STEAM JAPAN」の編集長に就任。同時期に、経済産業省『「未来の教室」実証事業』に採択。2020年、一般社団法人STEAM JAPAN設立、代表理事に就任。

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