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原坂さん教えて!おやこのお悩み相談室

"かして"に"いいよー"と言えないわが子…「おもちゃの貸し借り」がうまくいく秘訣は"5分だけ遊ばせて"の親のフォロー?

"かして"に"いいよー"と言えないわが子…「おもちゃの貸し借り」がうまくいく秘訣は"5分だけ遊ばせて"の親のフォロー?
おもちゃの貸し借りがうまくできないことでの子ども同士のトラブル。取り合ってしまったり、貸してもらえない子・無理やり取られた子が泣いてしまったり…。親としてはできれば気持ちよく譲りあって遊んでほしいもの。どのようにサポートするのがよいのでしょうか。子どもコンサルタントの原坂一郎さんにお話を伺いました。
目次

おやこのお悩みVol.18:「お友だちの『かして』に『いいよ』となかなか言えません」

お友だちが遊んでいるおもちゃを「かして」と言ってきたときに、わが子はなかなか貸せません…しぶしぶ貸せるときもあれば、断固拒否するときも。
子どもにも貸したくない事情がある、というのは理解できますが、ほかの親御さんやお友だちの手前、貸せない子=やさしくない子のようになってしまうのも辛くて、つい子どもに「貸してあげなさい」ときつく言ってしまうことも…。

子どもは、他の子が楽しそうに遊んでいるものが魅力的に見えることがあります。人が乗っているブランコが急に乗りたくなったり、他の子どもが使っているおもちゃで急に遊びたくなったり。

わが子が使っているものを「かして」と言われたとき、逆に、わが子が「あれで遊びたい」と言ったとき…スムーズに貸し借りができないと困ってしまいますよね。そこで、今日は"子どもの貸し借り"についてお伝えしたいと思います。

貸し借りで困るのは、施設や公園で遊んでいるときの遊具やおもちゃですよね。
「『かして』と言われたとき」と、「人のおもちゃを貸してもらいたがったとき」とに分けて考えてみましょう。

「かして」と言われてわが子が貸すのを嫌がったとき

まずは、ブランコなどの遊具にしろ、おもちゃにしろ、今、わが子が使っているおもちゃをお友だちが「かして」と言ってきたとき。

かなり遊んだあとなら納得して貸せるかもしれませんが、今遊び始めたばかりだったりしたら…わが子の気持ちになると、貸したくはありませんよね。
そんなわが子が貸し渋っている場面を近くで見ていたら、あなたはどうしますか?

実際は「貸してあげなさい」と言ってしまうことが多いのではないでしょうか。子どもは当然「いや」と言いますよね。
相手の子の親も、わかってくれる人なら子どもに「あとにしなさい」などと言ってくれますが、何も言わずに見ている場合も。その視線に耐えられず、ついわが子から強引に奪って貸してしまうお母さんもいますよね。

当然子どもはギャン泣き。それをなだめるために、代わりのおもちゃを探しても子どもは納得せず…という場合が結構多いのではないでしょうか。

わが子の気持ちを代弁して、「ごめんね、今使っているから」などと言ったら言ったで、今度は相手の子が泣き…と、どっちにしろ、困ったことが起きやすいものです。

そんなときは、まずは一度だけ「貸してあげない?」と子どもに促してみましょう。案外、すぐに「いいよ」となることもあります。

問題はそこで「いや」と言ったときです。そのときは、その子に向かって「ごめんね、あと5分だけ遊ばせてね。すぐに貸してあげるからね」と言うことをおすすめします。

「5分」という時間と「貸さない」とは言っていないのがポイントです。「5分」という時間は待っても短いことを相手の親はわかるので、「すぐに貸してくれるんだって」と子どもをなだめやすくなります。「わがまま言わないの」なんて、その子を叱ったりもしないので気も楽です。

5分という時間は結構長く、ブランコでもおもちゃでも、それで5分も遊べれば子どもは十分満足します。そして子どもが十分遊んだころを見計らって、再び貸してあげることを促すのです。

子どもも、さっきは断ってしまったことを覚えているので、十分遊べたあとなら、今度は貸す気になることが多いのです。仮にそれが6分後であっても7分後であっても、相手は「5分過ぎましたよ」なんて言わないのでご安心を。

そしてそこで貸すことができたら、子どもを大いにほめてください。
「貸すとほめられた」という記憶が残り、「貸す」ということに、いいイメージが頭に残ります。

わが子が貸してもらえないときはうまく切り替えられるようサポートを

一方、わが子が「かして」とお願いしたけれど、相手の子に貸してもらえなかった場合。これはさっきの逆パターンになり、相手の親を困らせてしまうので、ここはわが子を納得させる方法を取りましょう。

「ダメ」という言葉は使わないようにし、「あとですぐ使える」「待っていると使える」と肯定的な言い方をするのがポイントです。そして代わりのおもちゃを提案しましょう。

代わりのおもちゃを提案するときは、「これで遊びなさい」ではなく、それで大人が遊び始めるのがうまくいくコツです。
たとえばままごと遊びなら、大人がいろいろ並べて、「はい何を作りましょう」と言ったり、「パクッ」と言ってお皿の上のものを食べるまねをしたり、楽しそうに遊びはじめるのです。
子どもはママやパパと遊ぶのが大好きです。あっというまにその遊びに入ってきます。さっきは何で遊びたかったのかも忘れて。

おもちゃでなく、絵本でも構いません。そのときも「どの本にする?」なんて聞かず、おもしろそうな本を広げ、朗読のように勝手に読んでいくのです。
子どもは自然とひざの上にやってきて、じっと聞き入ります。何も言わず、ただ頭をなでてやりながらそのまま読み進めます。

絵本タイムはいつでも、子どもにとっては最高の「ママ・パパとの触れ合いタイム」になるのです。

そしてそのあとは、「遊びたいおもちゃがあったけど我慢できたね」と子どもをほめましょう。
「我慢した=ほめられた」と、よいイメージとして頭の中に残っていき、お友だちとの貸し借りの場面で、徐々にスムーズに対応できることが増えていくでしょう。

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執筆者

こどもコンサルタント 原坂 一郎

1956年、神戸市生まれ。関西大学社会学部卒業。神戸市内で23年間6か所の保育所勤務を経て、2004年「こどもコンサルタント」に。笑いと笑顔をキーワードに、子どもおよび子育てに関するさまざまな研究・執筆・講演を全国で展開。『読むだけで子育てがうんと楽しくなる本』(春陽堂)、『男の子のしつけに悩んだら読む本』(すばる舎)ほか著書多数。 Facebook:@IchiroHarasaka
http://harasaka.com/

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