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のんたん先生教えて!子育ての気になる…どうすべき?

園でひとりぼっちのわが子「みんなと遊んだ」というけれど…!?悩みが尽きない幼児期の人間関係に親はどう関わる?

園でひとりぼっちのわが子「みんなと遊んだ」というけれど…!?悩みが尽きない幼児期の人間関係に親はどう関わる?
兵庫県西宮市の「森のようちえん さんぽみち」の園長・野澤俊索さんに、幼児期の子育てで気になるあれこれを綴っていただく連載。今回は、子どものお友だち関係について。
目次

夏が終わり、さまざまな行事がある秋に入りました。
春に入園した子たちは、集団生活にも慣れてきたころ。ちょうど今頃、わが子に仲良しの友だちができていないと気になり始める親御さんもいるようです。

中には、わが子に仲の良いお友だちを作ってあげたいと一生懸命になる親もいますが、ここはやはり子どもに任せるべきなのでしょうか。「森のようちえん さんぽみち」の園長"のんたん"こと野澤俊索さんにお聞きしました。

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私の園でのこと。年少の4月頃に、みんなが遊んでいる様子をそばでじっと見ているだけで、ほぼ一日を過ごしている子がいました。

おうちに帰ってどんな話をしているのか気になって、お母さんに聞くと、ちょっとびっくりして「いつも、みんなと遊んだって言ってました」とのこと。
つまり、この子にとっては、お友だちを離れて見ていることがおもしろくて、それで満足しているようでした。

一人遊びに没頭するのはとても大切なこと

とくに3歳~4歳にあたる年少の初めの時期は、一人遊びに没頭することが大切です。じっくりと遊びに向き合う経験から、のちに自分の世界から友だちのいる集団の世界に気持ちが向いたとき、人間関係にもしっかりと向き合うことができます。

また、この時期には「一緒に遊ぶ」といっても、同じ場所で同じことを別々にしていることが多くみられます。お店屋さんごっこをしたら、どちらも八百屋さんで、それぞれのお店を自分でつくって別々に楽しんでいたりします。

つまり、そこにはお互いの関係性はあまり入ってこないのです。年少の時期はこういうものなので、仲のいいお友だちがいないからといって子どもが苦にしていないのなら、心配する必要はないと思います。
(ただし、子どもから「お友だちがいなくてつまらない」などのヘルプメッセージが出たときには、気持ちや状況をじっくりと聞いて、一緒に向き合う必要があります)

「遊びに入れてあげない」は決していじわるではない

年少から年中にかけて、勇気を出して「あそぼ」と言えるようになったりして、徐々に「私とあなた」というお友だちと二人の世界ができていきます。
そうなると、今度は二人の世界に3人目を受け入れることが難しくなり、「いれない!」「あっちいって!」などと言ってしまうことがあります。

じつは、これは仲間外れでもいじわるでもありません。子どもからしたら、やっと広がった自分の世界を、3人目の友だちが入ることでとられてしまう心配があるから、一生懸命、それこそ必死になって守っているところなのです。
これをお互いに繰り返してようやく、"3人で一緒に遊ぶ"という世界観に到達していきます。そして年長になる頃には、たくさんのみんなで遊ぶことができるようになります。

親同士が仲良くしていると安心してよく遊べることも

子どもの関係を広げていくのは遊びです。園だけではなく、降園後や休日に一緒に遊んだりした相手は特別な存在になり、園でも仲が深まります。子ども同士の関係に親が入る必要は基本的にありません。その代わり、親子で一緒におうちに遊びに行ったり招いたり、公園で会ったりする場を作って、そこに親同士も一緒にいるとよいでしょう。

親同士が仲良くしている様子を子どもはよく見ていて、新しい関係に安心します。安心すると子ども同士はよく遊ぶようになります。

幼児期は、家庭の世界から友だちの世界へと、自分の住む世界を広げていく時期です。自分のすべてを受け入れてくれたおうちの人から離れて、はじめての相手と新しい人間関係を築いていきます。

衝突や葛藤を自身で解決しながら友人関係を築いていく

入園前の子どもたちは、家庭で自分のしたいことをおおむね実現してきました。おうちの人は時には自己犠牲を払ってでも、子どもの意に沿うようにしてきた部分もあると思います。
ところが、入園して新しい世界に入ると、どの子も自分の思いの実現がそうたやすくない、ということに直面します。友だちとの関係の中に初めて身をおいた子どもたちは、そこで自分の思いと相手の思いの調整をしていく必要に迫られます。そしてここに幼児期特有の友だち関係の葛藤や衝突が生まれるのです。

子どもたちは、この葛藤を自分で乗り越えていく必要があります。時には大人が間に入り、聞き役になったり、お互いの主張を通訳したりすることもあるでしょう。
しかし、教えられたことというのは一時的に納得したとしても、感情が伴わないため根本的な解決にはなりません。大人が見てなんだか変な解決だとしても、子どもたち自身でその葛藤に対する答えを見つけることが肝心なのです。

子どもたちの人間関係を心配する気持ちは、親のやさしさの表れだと思います。その気持ちが子どもの成長を後押しできるように、子どもが子どもらしくいられる時間を大切にしましょう。そんな心の揺れ動きが、子どもたちの心を豊かにたくましくしてくれます。

子ども時代にちゃんと子どもらしくいられたら、それだけで子どもたちは自らの力でたくましく成長していきます。大人はそれを支えるように寄り添っているといいと思います。

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執筆者

森のようちえんさんぽみち園長 野澤 俊索

NPO法人ネイチャーマジック理事長、兵庫県自然保育連盟 理事長、森のようちえん全国ネットワーク連盟 理事
神戸大学理学部地球惑星科学科 卒業。
兵庫県西宮市甲山にて、建物を持たず森を園舎とする日常通園型の自然保育「森のようちえんさんぽみち」を運営して10年。今では2歳から6歳までの園児25名と一緒に、雨の日も風の日も毎日森へ出かけていく日々。愛称は"のんたん"。森のようちえん全国連盟では指導者の育成を担当している。
プライベートでは1歳の娘の子育ても楽しみにしている。

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第2・4木曜日 更新

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