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「心の強さ」を育む!ストレス過多時代の子育てとは

【心の強さ、どう育む?】ときには凹んでOK!わが子が「折れそうなとき立ち直れる力」を身につけるため家族みんなでできること

【心の強さ、どう育む?】ときには凹んでOK!わが子が「折れそうなとき立ち直れる力」を身につけるため家族みんなでできること
教育方法学の専門家・中山芳一先生と、未来を生き抜くために必要な"強い心"を持つために家族で取り組めることを考えるこの連載。復習編の今回のテーマは、ネガティブな感情から立ち直る方法、ポジティブで強い気持ちをもつために心がけたいこと。
目次

これからの時代にこそ求められる「心の強さ」。
強い心…というと何があっても動じることのない、強靭な精神力を思い浮かべる人もいるかもしれません。「自分はとてもそうはなれない…」とハードルが高く感じる人も多いことでしょう。

でも、そんな心配はご無用!凹んじゃってもOK!というのは非認知能力研究の第一人者、岡山大学の中山先生。毎日のちょっとした積み重ねで、心を強くする方法を教えていただきます。

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「わが子に心の強さを育む」連載も、はや9回目。これまでの記事で、みなさんには大切なことの大半をお伝えしてきたと思います。

今回は"念押し"として、2つのことをみなさんと確認していきますね。

凹んだって大丈夫!大切なのは"立ち直れる心"

まず1つ目は、自分で自分を信頼することで、折れそうな心をもとに戻すことができるというお話です。

私たちは、ネガティブなことが起きてしまうと、多くの場合凹(へこ)んでしまいます。凹まないようなたくましさがあればよいのですが、なかなか難しいですよね。
でも、「折れない心」とは"凹んだときに立ち直れる心"でもあるんです。つまり、大切なのは立ち直ること。

それでは、みなさんは、どうやって立ち直っていますか?

人それぞれにいろんな立ち直り方がありますよね。もちろんどんな方法でもOKですが、私がおすすめするのは、そもそも「私は立ち直れるんだ」という自分に対する信頼を持つことなんです。

つまり、「自分なら大丈夫!」と自分に言い聞かせることですね。
そんなことで立ち直れたら苦労しないよ…なんて思わないでくださいね。よく考えてみてください。

私たち人間の体ってすごくないですか?ケガしても次第にその傷が治っていく、病気してもやがて回復していく…そもそも私たちには「健康な状態を維持する力」が備わっているんです。

だから、「自分なら大丈夫!」と自分自身を信頼してあげましょう。いろいろあるかもしれないけど、きっと私は立ち直れるということを自分に言い聞かせてあげられるだけで、「折れない心」を持つことにつながるでしょう。

それでは、このことをわが子に伝えていくためにはどうすればよいでしょうか?
言うまでもなく、「あなたなら大丈夫!」と親など大人から伝えていくことですよね。

わが子が転んで「いたい、いたい」と泣いているとき、「痛いの痛いの飛んでけぇ~」と投げかけるあの言葉も、「あなたならこの痛みから立ち直れるよ」というメッセージではないでしょうか。

私たち親も自分に「私なら大丈夫!」と言い聞かせてあげたいし、わが子にも「あなたなら大丈夫!」と言い聞かせてあげてください。

決して特別なことは必要ありません。立ち直れる自分を信頼できるようになることが何よりも大切なことなのですから!

感謝の気持ちを意識して伝えるだけでポジティブになれる!

2つ目は、人に対する感謝こそが折れにくい心につながるというお話です。

以前にも「当たり前ではなくありがたしにしましょう」というお話をしましたが、そこに通じるところがあります。自分以外の誰かが何かをやってくれることを決して当たり前にしないこと…。それは、めったにないありがたいことだから、私たちは常に感謝の気持ちを持つ必要があるのです。

そして、先ほどの「自分なら大丈夫!」に匹敵するぐらい私たちをポジティブにしてくれるのが人に対して感謝することではないでしょうか。

思い浮かべてみてください。いつも愚痴や文句ばかり言っている人のことを…。

愚痴や文句はネガティブな状態をつくり出し、表情はどんどん卑屈になっていきます。これは私のモットーでもあるのですが、愚痴や文句をこぼすときには「笑いながら言うこと」をおすすめしています。

口に出して話していることはネガティブであっても、せめて表情などはポジティブな状態にするわけです。そうすれば、ストレスコントロールにもつながりますし、周囲にも不快感を与えずにすみます。

さて、話を戻しますが、愚痴や文句(ネガティブ)の対極にあるのが感謝(ポジティブ)です。だから、私たちは一生懸命に感謝することを見つけて、一生懸命に感謝の言葉を口に出せばよいのです。

この"意識して一生懸命取り組むこと"は次第に習慣になっていくことでしょう。そして、そんな私たち(親)を見ているうちに、わが子も感謝する習慣を身に付けていけるはずです。

わが子に「ありがとうって言いなさい」なんて指示しなくても、親が率先して「ありがとう」を発しているだけで、わが子は真似び(まねび)、そして学んでいきます。

食事をした後に「おいしかったです、ありがとう!」、バスから降りるときに「運転手さん、ありがとう!」そんな日々のちょっとした感謝の言葉こそ、私たちに折れにくい心を育んでくれるわけです。

そして、ご家庭の中の合言葉としても「ありがとう」や「サンキュー」がほしいですよね。
一日にどれぐらいご家庭の中に感謝の言葉が飛び交ったかを数えてみるのもおもしろいかもしれません。ぜひやってみてください!

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執筆者

岡山大学准教授 中山 芳一

1976年岡山県生まれ。岡山大学 全学教育・学生支援機構准教授。専門は教育方法学。大学生のためのキャリア教育に取り組むとともに、幼児から小中高学生の各世代の子どもたちが非認知的能力やメタ認知能力を向上できるように尽力している。9年間没頭した学童保育現場での実践経験から、「実践ありき」の研究をモットーにしている。『家庭、学校、職場で生かせる!自分と相手の非認知能力を伸ばすコツ』『学力テストで測れない非認知能力が子どもを伸ばす』(ともに東京書籍)ほか著書多数。最新刊は監修をつとめた『非認知能力を伸ばすおうちモンテッソーリ77のメニュー』(東京書籍)。

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