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イマドキ親世代に伝えたい・頭のよい子の育て方

お金は無限ではないことを知る。おやこで学ぶ【こづかい帳】のすすめ

お金は無限ではないことを知る。おやこで学ぶ【こづかい帳】のすすめ
「”本当に頭のよい子”が育つおうち空間の作り方」の連載でもおなじみ、「頭のよい子が育つ家」(文春文庫)の著者である四十万靖さん。頭のよい子を育てるためにイマドキ親世代にいまこそ伝えておきたいことをテーマに新連載がスタートします。第2回は、おこづかい帳について。
目次

数字に強くなるために必要不可欠な「こづかい帳」

頭のよい子を育てるためには親子で数字に強くなる、今回はそのお話です。

お子さんにこづかい帳をつけさせていますか?どのくらいの方が実施しているのか私自身大変興味がありますが、こづかい帳は単にお金の価値を分からせるだけではありません。相手に自分の考えを伝えるときのエビデンス(根拠)として大変重要なものです。

こづかい帳に必要なものは3つあります。

1つめは「予算」。自分は何が欲しいのか、こづかいを渡す前に、お子さんに5つ決めさせるのです。そしてなぜ、それが欲しいのかを確認しましょう。なんでもかんでも欲しいものが買ってもらえるという訳ではないことを教えましょう。

2つめは「決算」。使ったお金が予算通りだったのか、途中で計画を変更したのか、それはなぜか、数字で説明する習慣を身に着けるのです。

例えば当初の考えと違って、もっと欲しいものが出てきたとします。そうしたら、最初予定していたものを買うのを我慢して、あとから欲しくなったものを買うために貯蓄に回すなど、そんな風に計画変更はOKであることを理解させることも大切です。

3つめは、実際買ったものの価値がどうであったのかの確認。例えば300円のマンガを買ったところ、500円分面白かったので、200円得した、逆に500円のゲームを買ったところ、200円分しか面白くなかった、なので300円損したなどなど。そうやって、ものの価値を理解させるのです。

小学生になったら手書きで「こづかい帳」。親も「家計簿」を。

こうした教育は高校から必修になりますが、何もそれまで待っている必要はありません。お子さんが小学生になったころから家庭で毎月身につけさせておけば良いのです。

そして大切なのは、すべて手書きで計算させることです。いきなりエクセルでやると、お金のありがたみが実感できませんし、暗算が出来なくなってしまいます。暗算は昔は学校で教わるものでしたが、これからの時代は基本、家庭で習慣として身につけさせるものとなるでしょう。

お子さんにこづかい帳をつけさせるのと同時並行で、お母さんは家計簿をつけましょう。家計簿の中身をお子さんが理解できる必要はありません。お母さんが家計簿をつけているその後ろ姿がなにより大切です。

これからプログラミングが必修になると、金銭感覚、すなわち、数字に強いかどうかが重要になります。家庭で早くから慣れさせておくとよいでしょう。

最後にお住まいの行政の歳入と歳出を説明してあげましょう。使えるお金は無限ではないことを教えるのです。最終的には、自分で出来ることは自分でやる、お父さん・お母さん、おじいちゃん・おばあちゃんからももらうおこづかいやお年玉は、こづかい帳で管理する、そして社会全体で税金によって様々なサービスが支えられていることを教えてください。

これからの時代、金銭感覚があるか、ないか、はその子の人生を大きく左右します。そしてその感覚は日々の家庭での習慣つけによって身に着くことを実践してください。

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執筆者

一般社団法人 四十万未来研究所 代表理事 四十万靖(しじまやすし)

慶應義塾大学経済学部卒業後、伊藤忠商事入社。退社後、2003年、慶應義塾大学とのライセンス契約による、住宅の総合コンサルティングを行う、事業投資会社eco-s corporation設立を設立。2006年4月より慶應義塾大学SFC研究所所員 (訪問)として慶應義塾大学SIVアントレプレナー・ラボラトリ生活産業プロジェクト代表を兼任。2008年、eco-s corporationをスペース・オブ・ファイブ株式会社に社名変更。2014年、一般社団法人 四十万未来研究所を設立。著書に「頭のよい子が育つ家」(文春文庫)、「頭のよい子が育つ本棚」(学習研究社)、「頭のよい子の家にある『もの』」(講談社)など。http://shijima-mirai.or.jp/

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