【わが子に対する自信】ありますか?子どもを一番わかっているのは自分!と胸を張って言えますか?

【わが子に対する自信】ありますか?子どもを一番わかっているのは自分!と胸を張って言えますか?
「今こそ!シンプル子育てのすすめ」を連載中の人気教育YouTuberの葉一さんと教育方法学の専門家の中山芳一先生。子育て中のお父さんでもあるおふたりに「子育てで一番大切にしたいこと」を対談形式でうかがいました。
目次

「今こそ!シンプル子育てのすすめ」を連載中の人気教育YouTuberの葉一さんと教育方法学の専門家の中山芳一先生。
もともと共通の知人の紹介でつながったというおふたり。2児の父である葉一さんと、3児の父である中山先生に、"シンプル子育て"をすすめる理由とその背景にある今の子育てへの課題感について語っていただきました。

子育てに関する情報は親が「取捨選択」することが一番大切

現代の子育てについて、どのような課題があると考えていますか?

おやこのくふう編集部 編集部

葉一さん(以下葉一):私は今、小学生から高校生向けの授業動画を撮って配信していますが、保護者の方から相談を受ける機会も多くあります。また、塾講師をしていたころから多くの親子と接してきて、子育てに対する問題意識はそのころからありました。
自分自身のパパ歴はまだ短いですが、そんな経験を生かしながら自身も子育てをしています。

親御さんはみなさんお子さんをすごく愛されているんですが、わが子にどう声かけしたらいいか、何をしたらいいかと悩んでいる方がじつはとても多いんですよね。

わからないから、ネットで調べたり聞いたりした情報をとにかくいろいろ試してみる。でもなかなかうまくいかなくて、そのうちに子どもが嫌がるようになり、ますますどうしたらいいのか悩んでしまう…と、負のスパイラルにはまってしまうケースをよく目にしました。

いま、子育てに関する情報はたくさんあって、ネットで検索すればさまざまな情報があふれています。でも、そうした情報は基本的に「これでうまくいった」という成功者のものだということを認識しておく必要があります。

そのような情報ばかりを摂取しつづけると、親御さん自身が情報整理できずパンクしてしまいます。そして、整理されぬままに情報のエッセンスだけをたくさん拾い集めて子どもに与えるせいで、子どものほうもパンクしてしまうんです。

たまにそれでもうまくいく場合もありますが、それは親がきちんと情報を「取捨選択」できている場合です。多くの親は取捨選択できず、すべてやらなければと意気込んでしまう。一方子どもは親と温度感やモチベーションの差があるため、思うようにはなりません。結果、親は自分が間違っているかもと自己否定に向かってしまい、親子共に辛くなってしまうんですよね。

中山芳一先生(以下中山):うちの母親が健康志向で、テレビの情報番組で健康に納豆がいいといったら食べ始め、次にメカブがいいと言ったら食べ始め…少したったらまた別のもの食べている。家族はどんどん白けていく…。そして、結局何も残らない…これに似ていますよね(笑)。

葉一:そうなんですよ(笑)。親は数多くの情報に踊らされず、まずはきちんと取捨選択をする。そのためには、わが子をよく観察して、この子に必要なもの、大切なものは何なのかをしっかり認識することが大切です。

流行りの教育法でなくても、お金をかけなくても、親の声かけひとつで子どもは伸びる、そこを大切にするのが"シンプル子育て"です。

子どもに選択肢を示してあげるのは親の役目

"シンプル子育て"の中で親が具体的にやるべきことはなんでしょうか

おやこのくふう編集部 編集部

葉一:子どもの中には自分で調べて選択肢を増やすことが苦手な子も少なくありません。ですから、それは親の役目だと思います。でも、親は「こんな選択肢があるよ」と、"レールの種類"を見せるべきですが「ここを走りなさい」と強制するべきではないんです。まずは、そこに気づくことが大切だと思っています。

そしていま、子育ての現場で親に足りないものは「わが子に対する自信」だと私は感じています。

子育てにおいては、誰もが失敗したくないためもちろん慎重になって当然です。でも、親は一緒にいる時間が一番長く、他の誰よりも子どものことを分かることができる存在です。確かに近すぎるからこそ分からなくなることもあります。私も実際、毎日迷いながら子育てしていますし…。それでも、やはり、わが子に対することには自信をもつべきだと自分を鼓舞しています。そしてわが子に対しての興味を常に持つようにしています。

「好きな食べ物は?」「最近のマイブームは?」そんなわが子の情報を知ること、そして「どうしてそれにハマっているのか」などの「なぜ?」の部分を知ろうとします。

私が大切にしている言葉に「わが子は私ではない」があります。家族だとしても、価値観も感性も別人で、それでいいんだと。自分の理想を押し付けてはいけないのだと。
その前提でいろいろ知ろうとしていくと、子どもに関して興味がどんどん湧いてきます。そして知れば知るほど親としての自信がつきます。

自信があれば、不必要にいろいろな子育て情報を求める必要はありませんし、子どもに適切な選択肢を出してあげることができる。シンプルにわが子が必要な関わりをしてあげられるようになります。

子育てのテーマを決めると選択がしやすくなる

葉一さんご自身が子育てで大切にしていることを教えてください

おやこのくふう編集部 編集部

葉一:私は、私自身が完璧な親でなくても子どもは自分自身の人生を力強く生きていく力を持っている、と思っています。ただ、1人の保護者としてそのサポートはしていたい。だからこそ、自分が迷いにくくするために、子育てのテーマを2つ決めています。

1つ目が「選択肢を示してあげること」。
これは先に述べた通り、親の役目だと思います。
2つ目は「何かを知ることは楽しいと感じさせてあげること」。
勉強ができなくてもいいので、子どもの知的好奇心をふくらませてあげることを大切にしたいと思っています。

このテーマは絶対に守りたいものなので、あえてシンプルにしています。
何か子育てで迷うことあったときでも、「このテーマに近づけるか」と判断基準になります。子育てのテーマを明確にしたことで子育てしやすくなったと思います。

中山:私は子育てには"いい加減"が大切だと思います。「適度」「よい程度」の意味のいい加減ですね。
そもそも親が、子どもの結果を全て自分の力で出そうと思っていること自体が、いい加減になれないところ。結果を出すのは子ども自身であり、子どもは自分で勝手に伸びていくものなんです。

とはいえ、とくに第一子の子育ては全てが初めてで不安になりがちですし、父親よりも母親の方がどうしてもまわりの子の情報が多く入ってくるので、迷ってしまうのはとてもよくわかります。
だからこそ、親が子育てのテーマをシンプルに決めておくのはとてもよいですよね。

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子どものことを思うからこそ、親は迷い、よかれと思っていろいろな教育法を試してみたくなりがち…そんなとき、何かひとつ自分の中に軸をもっておくことで、ぶれることなく、子どもと接することができそうですね。

また意外とできていないのが、「わが子をしっかり観察すること」かもしれません。しっかり子どもの姿を観察することで、おのずと今のわが子に本当に必要なことが見えてきますよね。

対談は後編につづきます。

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監修者

岡山大学准教授 中山 芳一

1976年岡山県生まれ。岡山大学 全学教育・学生支援機構准教授。専門は教育方法学。大学生のためのキャリア教育に取り組むとともに、幼児から小中高学生の各世代の子どもたちが非認知的能力やメタ認知能力を向上できるように尽力している。9年間没頭した学童保育現場での実践経験から、「実践ありき」の研究をモットーにしている。『家庭、学校、職場で生かせる!自分と相手の非認知能力を伸ばすコツ』『学力テストで測れない非認知能力が子どもを伸ばす』(ともに東京書籍)ほか著書多数。最新刊は監修をつとめた『非認知能力を伸ばすおうちモンテッソーリ77のメニュー』(東京書籍)。

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お話を伺った方

教育YouTuber 葉一

1985年、福岡県生まれ。東京学芸大学卒業後、教材販売会社勤務、学習塾講師を経て、2012年から小学校3年生から高校生向けの学習動画を配信。経済的事情から望む教育が受けられない教育格差の解消を目指す。最新刊に『塾へ行かなくても成績が超アップ!自宅学習の強化書』(フォレスト出版)。2男の父。
ホームページ「19ch 塾チャンネルTV」
YouTubeチャンネル「とある男が授業をしてみた」

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