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【保育士が教える】園とのコミュニケーションのコツ

わが子の登園渋りに悩むパパママへ!「〇〇ちゃんなら頑張れる!」は逆効果…保育士が教える”家庭でやるべき3つのこと”

わが子の登園渋りに悩むパパママへ!「〇〇ちゃんなら頑張れる!」は逆効果…保育士が教える”家庭でやるべき3つのこと”
5月はようやく園生活のリズムに慣れたかと思いきや、「保育園(幼稚園)に行きたくない…」という子も増える時期でもあります。保育士の炭本まみさんに、登園渋りの原因や対策を教えてもらいました。
目次

保育士ライターの炭本まみです。
お子さんが4月に保育園や幼稚園に入園してからの様子はいかがですか。
園生活は楽しいことばかり、やさしい先生や大好きなお友だち、楽しいおもちゃやお散歩、園庭での遊び、さぞかし喜ぶことと思ったのに、うちの子がまだ慣れないのはなぜ?そんな風に感じているパパ・ママもいるかもしれませんね。

登園を嫌がり朝の忙しい時間に支度をしない、園に入りたがらない、園の玄関で泣き叫ぶ、お昼寝をしない、給食を食べない……など、なかなか保育園に慣れないお子さんを見て「もしかしてこの園はうちの子に合わないのかも?」と思うかもしれません。時には一緒に泣きたくなりますよね。

けれど、大丈夫!お子さんは必ず保育園(幼稚園)が大好きになって泣かずに登園するようになりますよ。お子さんが泣くのはなぜなのかを一緒に考えてみましょう。

登園を渋る子どもには「ワケ」がある

入園してからもうしばらく経ったのに、まだ登園を嫌がったり泣いたりするのはなぜなのでしょうか。子どもって不快感や不安などを言葉にして伝えることがむずかしいもの。けれど子どもなりの「ワケ」があるんです。それをひも解いてみましょう。

子どもも大人と一緒で、おうちが心地いい

一番の理由は「家にいたい」「パパやママと一緒にいたい」からです。
大人も仕事に出かけるのが億劫なように、子どもも園へ行くのが億劫なのです。
保育園や幼稚園は子どものための場所ではありますが、知らない大人や子どもに囲まれながら慣れない集団生活のルールや生活リズムにのっとって過ぎていく園生活は、子どもにとっては大変疲れることでしょう。

「自分の居場所」がない状態や、「心許せる人がまだいない」状況の中、朝から夕方までを毎日過ごすのは大きなストレスです。おうちでゆっくり過ごしたい、パパやママと安心して過ごしたいという理由のあるお子さんもいます。

「園では楽しそうにしていますよ」という先生。なのになぜ…

登園を渋る我が子が心配なときは、先生に園での様子を聞いてみましょう。 パパやママが園へ送って行ったときは渋ったり泣いたりしていても、園ではおもちゃで夢中になって遊んだり、お散歩で楽しそうに過ごしたり、先生を求めて手をつないだり抱っこをしてもらって落ち着いていることもあるんです。

ぜひ先生に様子を聞いてみましょう。

パパやママはどんと構えて。あとは先生にお任せ

朝、園へ送ったとき泣いたり甘えたりしてなかなか子どもが離れたがらないと、ついついかわいそうでパパやママも抱きしめたり、説得したりしていませんか?
親としてお気持ちはよくわかります!泣いているお子さんを置いてまで仕事に行かなくても今日は休ませて一緒に過ごそうかな…。という気持ちがよぎったり、少し抱きしめたら子どもの気持ちが収まるかな?と考えてしまいますよね。

けれどそれは逆効果。お子さんはパパやママの気持ちをちゃんと見抜いているのです。もしかしたらこのまま甘えていたら今日はお休みできるかもしれない…。なんて思っているかも。

こんなときは、後ろ髪引かれる思いをきっぱり断ち切り、「いってきまーす」と先生に託してパッと子どもから離れましょう。大変辛いことですが、それはお子さんも同じ。いつまでもそばにいることで、「いつまでも気持ちの切り替えができない」ため、パパやママが仕事へ行った後も長く泣いてしてしまうことにもなりかねません。

「大丈夫。いっておいで!ママも頑張ってくるからね」という気持ちで、あとはプロの先生にお任せしましょう。

ここだけの話ですが、保育士は「ママ、わかります!けれど、早く子どもから離れてくれないかな。ママもがんばれ!!」という気持ちで見守っております。

担任とコミュニケーションを密にして保護者も安心しよう

園での様子はママやパパには見えず、わかりません。わからないことは不安につながります。だからこそ担任の先生とたくさんのコミュニケーションをとるようにしましょう。

普段の送り迎えでは、担任に会えないことも多かったり、ゆっくり話せる時間が取れないことも。不安な気持ちは、お便り帳やメモに書いてお渡しするのが一番良いかもしれません。または、お迎えのときなどに担任に会えた場合は、保育園での様子を聞いてみましょう。

お迎えの時などは、子どもと一緒に先生にお話を聞くと、子どもはその様子を見て「ママと先生が仲良さそうにお話ししてる!」と安心感も高まります。
園に慣れるためには、子どもと先生、保護者と先生など双方で信頼関係を早く築くことが大切です。

ママやパパが園や担任に対して不安な気持ちや不信感を抱くと、なぜか必ず子どもにも伝わるもの。信頼関係を築くため、パパやママから先生へコミュニケーションを取っていきましょう。

先生に遠慮せずたっぷり気にかけてもらおう

先生にわが子の様子を聞けた時には、こちらの思いもお話ししてみましょう。「いつも泣いているので不安です」「時々声を掛けたり手をつないだりしてやってくれますか」など、保護者としての気持ちや先生にしてもらいたいことを「お願い」という雰囲気でお話ししましょう。

保育士もなんとなく分かってはいますが、保護者に具体的な気持ちや子どもにしてもらいたいことをはっきりと聞いた方が対応がしやすく、正直その子に目が行くようになります。また、保護者の不安な気持ちがわかることで子どもの様子をよく観察し保護者にもよく声をかけてくれたり、子どもの様子を教えてくれるようになります。

園で元気に過ごしていると気づきにくいことも

筆者も保育士をしていたころ、いつも朝は登園を渋るものの、保育中は甘えてくるわけでもなく友だち同士で楽しんでいるお子さんがいました。保育士としては安心していたのですが、保護者から「朝、登園渋りをしている。保育園を嫌がっている。もう少し気にかけてほしい」と教えていただきました。

それからは、スキンシップや声かけを増やしたり、保育士と二人だけで過ごす時間を少しだけ作ったりし、保護者には個別にお便りを書いたり見かけた際は話しかけるようにした結果、お子さんも保護者の方も安心されたということがありました。

お子さんが登園を渋っていても保育園ではしっかりと活動していて、保育士にはわからないことも実際にあるものです。遠慮することなく不安や要望を保育士に伝えていきましょう。

おうちでやってみよう!意外と効果的なこと

子どもにとって家庭は安心できる場所であり、パパやママが子どもの心の居場所でもあるはず。子どもの不安な気持ちを受け入れながら、ちょっと気分転換をすることで、それをバネに自分に自信がつき、保育園へ元気に通える日が近づくかもしれません。
おうちでちょっとやってみてほしいことを3つ、ご紹介します。

1.お休みの日はお出かけしないでおうちでゆっくり過ごす

お休みの日はお出かけしたりお買い物に行ったりと、外で気分転換をすることもあるでしょう。それも良いのですが、登園渋りが続くようなら、時にはおうちでゆっくり過ごすことも心の栄養になりますよ。
一緒におやつを作ったり、一緒に折り紙や塗り絵をするなど、30分だけでも子どもと向き合う時間を作ってみましょう。

2.パパやママの園の頃の想い出話をする

「ママもそんなことがあったなぁ」と、自分たちの小さかったころのお話をしてあげましょう。きっとお子さんは驚き、そして興味津々でお話を聞いてくれるはず。「ママにもそんなことがあったんだ。一緒だ」と安心するはずです。

子どもは小さいながらも園になかなか慣れない、好きになれないことに不安を感じているはず。パパやママにもそんなことがあったんだ、自分だけではないんだなと知ることは安心感につながります。

「行くのが嫌な気持ち、わかるよ。ママもそんなときがあったな。けれど楽しいこともあってね…」と楽しかったお話も続けてあげると、子どももイメージがふくらむでしょう。

3.子どもの気持ちをはぐらかしたりごまかさず、受け止める

「なんで行きたくないの?」「いい加減にもう慣れなさいよ」「●●ちゃんなら頑張れるはずだよ」などとつい前向きにさせようとそんな声かけをしていないでしょうか。

もしも「会社に行きたくないな」とママが思った時「何で行かないの?ママなら頑張れるよ」と声をかけられるのと「いやだよね。わかる」と声をかけられるのなら、どちらが心休まるでしょうか。
気持ちを受け止めない声かけは逆効果になり、なんの解決にもなりません。

子どもにも、「いやなんだね」「行きたくないよね」「いっぱい泣いてもいいよ」としっかり辛い気持ちを受け止めましょう。

そして帰宅後は「何して遊んだの?」「お友だちはできた?」など園の話題は避け、楽しい話題をするようにしてあげましょう。

***

登園を渋るお子さんとの関わりはパパやママにとって大変辛いものでしょう。時にはイライラしてしまい、怒りを感じてしまうことがあるかもしれません。みんな一緒です。大丈夫ですよ。

けれどいつか子どもが「今日、園でお花摘んで遊んだよ」と楽しそうに話してくれる日が必ず来ます。その時は「教えてくれてうれしいなぁ」とゆっくり聞いてあげたいですね。
泣いて渋っていた日々が嘘のように、楽しめる日が来ると信じて、パパもママも笑顔で送り出しましょう。

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執筆者

炭本まみ

保育士として10年勤務し、今は高校生と中学生を育てるママ。未だに子育てに行き詰ることはありますが子育てのアドバイス記事を書きながら自分も振り返っています。趣味はキャンプと旅行とカメラ。アウトドア記事や旅行記事、保育士や保護者向けのコラムを執筆中。

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