1日に必要な運動量、マスターしたい36の動き、運動能力の年齢別発達段階…幼児期の運動について親が知っておくべきこと

1日に必要な運動量、マスターしたい36の動き、運動能力の年齢別発達段階…幼児期の運動について親が知っておくべきこと
幼児期の運動は、生涯を生き抜くためのベースとなる体づくりに欠かせないもの。2020年のコロナ禍もありわが子の運動不足が気になっている親御さんも多いのではないでしょうか。1日にどれぐらい体を動かすべき?どんな運動を取り入れればいい?年齢別の発達段階に合わせた運動とは?など、気になる運動の取り組み方を、「幼児期運動指針」(文部科学省)の内容を抜粋しながら解説していきます。
目次

現代の子どもたちは運動の機会が不足し、運動能力が低下していることが問題視される中、2020年のコロナ禍で外出の機会が減り、さらに不安が高まっています。

幼児期の運動は、子どもが生涯にわたって健康的な生活を送るためのベースを作るもの。必要な運動時間は?どうやって運動させればいいの?など、親が抱く疑問を「幼児期運動指針」(文部科学省)の内容を抜粋しながら解説していきます。

幼児は毎日60分以上、体を動かすことが大切

幼児期運動指針には、「幼児は様々な遊びを中心に、毎日、合計60分以上、楽しく体を動かすことが大切」と記されています。この幼児期運動指針は、専門家を交えて作成され、幼児期の運動のとらえ方や実施方法がまとめられたものです。

現代の幼児期における運動の現状と課題として、次の4つが指摘されています。
・活発に体を動かす遊びが減っている
・体の操作が未熟な幼児が増えている
・自発的な運動の機会が減っている
・体を動かす機会が少なくなっている

このような状況を踏まえ、幼児の運動にわかりやすい指標をと設けられたのが「毎日、合計60分以上」です。この目安は、世界保健機関(WHO)をはじめ多くの国で推奨されています。

多様な動きが含まれる遊びを取り入れ、楽しく体を動かすこと

「60分運動しなきゃ!」「まずはランニング?キャッチボール?」そう親が構えすぎる必要はありません。「合計60分」にはさまざまな生活動作や遊びの中で体を動かすことも含まれており、また体育の授業のように正しく運動をする必要はないのです。

幼児の運動で大切なのは「楽しく体を動かす遊びを中心に行うこと」です。その遊びをベースとなる体づくりにつなげるために、以下の3つのポイントが大切だとされています。

1.多様な動きが経験できるように様々な遊びを取り入れること

体が急速に発達する幼児期には、体の基本的な動きを身につけやすい時期でもあります。体を動かす遊びを通して「体のバランスをとる動き」「体を移動する動き」「用具などを操作する動き」を十分に経験しておくことが大切です。

2.楽しく体を動かす時間を確保すること

多彩な動きの獲得のためには、前述した「毎日、合計60分以上」体を動かすことが望ましく、親はこの時間を確保できるよう工夫することが必要です。

3.発達の特性に応じた遊びを提供すること

発達に合わない運動により、体に過剰な負担がかかると怪我をする恐れがあります。個々の発達にあった遊びを中心に、無理なく体を動かすことが大切です。

また、運動をする場所が特別な場所である必要はなく、行き慣れた公園やおうちの中でもOK!幼児期運動指針で紹介されている「遊び場マップ」のような、近所の遊び場をより楽しくする工夫を取り入れてみてもいいでしょう。

コロナ禍で気になる幼児の運動不足…!目安は「1日60分」、楽しく体を動かすために親ができることは?

コロナ禍で気になる幼児の運動不足…!目安は「1日60分」、楽しく体を動かすために親ができることは?

3歳〜4歳でやっておきたい「バランスをとる動き」「体を移動する動き」

体の機能の発達とともに多様な動きを経験し、3歳〜4歳になると次第に上手に体を使えるようになってきます。加えて、多くの子どもが集団生活を経験し、お友だちと一緒に体を動かして遊ぶ楽しさも知っていきます。お友だちの動きに興味を持ち、まねをしていろいろな動きを経験していく時期です。

幼児期運動指針ではこの時期に、
・屋外での滑り台、ブランコ、鉄棒などの固定遊具や、室内での技巧台やマットなどの遊具の活用を通して、全身を使って遊ぶことなどにより、立つ、起きる、回る、渡る、ぶら下がるなどの『体のバランスをとる動き』
歩く、走る、跳ぶ、上る、這う(はう)などの『体を移動する動き』
を経験しておくことが望ましいと述べています。

「体のバランスをとる動き」では、細いところを橋渡りをする・横歩きでそろそろ進む、はしごを渡る、傾斜のついた斜面を歩く、鉄棒などにぶら下がる……などの運動により、バランス感覚を身につけていきましょう。

「体を移動する動き」では、段差のあるところを上り下りする、高いところからジャンプする、寝転がった姿勢でコロコロ体を移動させるなど。シンプルな動きではありますが、体の重心を移動させることは体幹を鍛えることにもつながります。

そして、3歳〜4歳児にいろいろな動きを経験させるのに、公園はぴったり!いろんな遊具で全身を使って遊びましょう。楽しく遊ぶ中で自然にいろいろな動きを経験できるよう、おやこで一緒に体を動かして遊んでみてください。

【バランスをとる、重心を移動させる】3~4歳で経験しておきたい体の動き。運動能力の発達段階に合わせて遊びに取り入れよう

【バランスをとる、重心を移動させる】3~4歳で経験しておきたい体の動き。運動能力の発達段階に合わせて遊びに取り入れよう

4歳〜5歳ではお友だちと一緒に「用具などを操作する動き」を

4歳〜5歳になると、基本的な動きが定着し、さらに上手になっていきます。また、お友だちとの関わりが上手になり、ルールや決まりを作ってより発展的な遊びを楽しめるようになります。

全身のバランスをとる能力が発達してくるこの時期に取り入れたいのが、「用具などを操作する動き」です。例えば、身近なボールを使って投げる、キャッチする、蹴る、つく、転がすなど。やわらかいボールや風船を使えば室内でも楽しめます。

ボールを使ってお友だちと遊ぶ中で、ドッジボールやサッカーなどのルールのある「ゲーム」もできるようになっていきます。作戦をねる、相手の気持ちを考える、役割分担するなどを経験し、集団の中でうまく過ごせるようになっていくのです。

【用具を操作する】運動の楽しさや意欲が芽生える4~5歳で養いたい体の動きとは?

【用具を操作する】運動の楽しさや意欲が芽生える4~5歳で養いたい体の動きとは?

5歳〜6歳では、複数の動きの組み合わせ+ルールを理解して楽しむ遊び

5歳〜6歳になると、基本的な動きがより上手になってきます。さらに、走ってきて跳ぶというように複数の動きを連続的に行う、ボールをつきながら走るというような複数の動きを同時に行うなど、「基本的な動きの組み合わせ」ができるようになってきます。

集団行動においては、目的に向かって集団で行動したり、お友だちと力を合わせたり、役割を分担したりして遊ぶようになり、満足するまで繰り返して取り組むようになります。

全力で体を動かすことに心地よさを感じるようになるのもこの時期です。そのため、遊具を用いた複雑な動きが含まれる遊びや、様々なルールでの鬼遊びなどを経験しておくことが望まれます。

たとえば、ルールを理解して楽しめるものには、「パイナップルじゃんけん(グリコ)」「フルーツバスケット」があります。じゃんけんで勝ったらどうする?自分が動くのはどんなとき?等のルールを理解して取り組む遊びです。

思い切り走り回れる鬼ごっこでは、影を踏んで遊ぶ「影ふみ」や、タッチされたら鬼と手をつなぐ「手つなぎ鬼」など。体を全力で動かしつつ、ルールに応じて知恵をしぼって考えながら楽しむことができます。

【全身を使った動き・複雑な動き】5~6歳で経験しておきたい体の動き。運動能力の発達に合わせて遊びに取り入れて

【全身を使った動き・複雑な動き】5~6歳で経験しておきたい体の動き。運動能力の発達に合わせて遊びに取り入れて

幼児期にやっておきたい「36の基本動作」を遊びながら楽しく実践!

体の基礎を作る幼児期には、楽しく遊びながらいろんな動きを経験すること大切です。そのための遊びの例をいくつか紹介してきましたが、「必要な動きを経験できているのかしら?」と不安になるのが親心。

実は、人の動きは36パターンの基本動作から構成されています。それらを幼児期に身につけることで、将来いろいろなことにチャレンジできるようになるのです。この「36の基本動作」は、大きく3つに分けられます。

まずはじめに、「体のバランスをとる9つの動き」があります。
「平衡系運動」と呼ばれ、立つ・起きる・回る・(人と体を)組む・わたる・ぶらさがる・逆立ちする・(三輪車などに)乗る・(水に)浮く動きが含まれます。

次に、「体を移動する9つの動き」
これは「移動系動作」と呼ばれ、歩く・走る・跳ねる・すべる・跳ぶ・(棒などを)のぼる・くぐる・這う(はう)・泳ぐ動きが含まれます。

それから、「用具を操作する動き・力試しの18の動き」です。
「操作系動作」と呼ばれ、持つ・支える・運ぶ・押す・おさえる・こぐ・つかむ・(物を投げるなどして)当てる・(物を手などで)とる・わたす・積む・掘る・振る・投げる・(用具を使って物を)打つ・蹴る・引く・倒す動きが含まれます。

どれか1つの動きを意識して行うのではなく、さまざまな遊びをすることで、夢中になって遊んでいるうちに多様な動きを総合的に経験できるようになります。
遊びが楽しければ「もっとしたい!」と自発的な遊びが生まれ、さまざまな動きを獲得していくでしょう。

リ知っていますか?幼児期にやっておきたい「36の動き」と遊びを楽しむことの重要性

知っていますか?幼児期にやっておきたい「36の動き」と遊びを楽しむことの重要性





いかにたくさん動くかよりも、いかに楽しみながら取り組むか。親は安全に遊べるように見守りつつ、自由にさまざまな遊びを楽しめる環境を作ってあげましょう。

いまの日々の積み重ねが、生涯健康で体を動かすことを楽しめる基礎をつくっていきます。おやこで楽しく体を動かして遊びましょう。

line
執筆者

ライター 西方 香澄

徳島で生まれ育ち、大学進学を機に神戸へ。養護教諭・児童発達支援など教育に従事したのち独学でライティングをはじめる。夫・1歳になった娘とクリエイティブな毎日をつくるため、現在デザインも勉強中。

西方 香澄さんの記事一覧をみる

おすすめ記事

人気ランキング

うちの子の年齢別情報

おやこの毎日に
役立つ情報をお届けします

facebook instagram