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3~6歳の心・脳・体の発達の特徴

幼児期のキーワードは「達成感・成功体験・自信」

幼児期のキーワードは「達成感・成功体験・自信」
3歳~6歳。いわゆる園生活では、年少・年中・年長と呼ばれる時期。運動や工作、お絵かきなどでもできることがどんどん増えていきます。そんな時期の運動や遊びについて、発達心理学の専門家である、河原紀子先生にお話を伺いました。
目次

年少さんにもなると、子どもたちはいろんなことができるようになります。
三輪車に乗れるようになる、ケンケンができる、はさみが使える、折り紙を折れる…。
同時に親としては、他の子どもと比較してしまったりすることも。

そんな3~6歳の時期に、子どもはどんな風に発達していくのでしょうか。
また、親としてどんな体験をさせたり、どんな働きかけをしていけばいいのでしょうか。
発達心理学の専門家でもあり、保育施設などでのフィールドワークもされている、河原紀子先生に3~6歳の子どもたちについて詳しく教えてもらいました。

走る、はねる、跳ぶ。足を地面から離すことが可能に

土踏まずが形成され、長時間歩けるようになるのが3歳のころ。

そしてこの土踏まずがアーチ型のクッションの役目となり、しなやかな動きを可能にします。
階段などの段差をとんだり、はねたり、ヨーイドンではしってみたり。

そして、個人差はもちろんありますが、4歳ぐらいになると片足を上げながら前に進むケンケンができるようになってきます。
ケンケンで前に進むことからはじめ、ケンケンでUターンして戻ってくるなど少しずつできることを増やしていくといいでしょう。
また最初は利き足のみでも、すこしずつ左右同じレベルでできるようになってきます。

じつはこれは全身の動きとして大きな進歩。

地面を蹴って、片足を地面から離している時間が長くなることを表します。この力が、鉄棒や竹馬、跳び箱といった運動を可能にしていきます。

いろんな動きが組み合わさって、できることが増えていくんですね

編集部

「~しながら…する」動きを遊びながら獲得しよう

そして、ケンケンは「片足をあげながら、前に進む」という、これまでは別々にしかできなかった片足を上げることと、前に進むことの2つの異なる動作をひとつにまとめあげることでもあります。

こうした「~しながら…する」という動きは、次第に三輪車をこぐ、雑巾がけをする、走りながら縄跳びをするといった多様なうごきにつながっていきます。

また、「~しながら…する」活動は、手指の操作とも関係あります。

たとえば、片手にはさみを持ち、もう片方の手で紙を動かしながら丸の形を切るというのも「~しながらする」動作。

それぞれの手が別の動作をしながら曲線を「はさみで紙を切る」という一つの目的のために2種類の動作を行うこと(=二次元可逆操作)が可能になってくるのも、この時期なのです。

ケンケン1つとってもそんな複雑な意味があったとは…!では、親はどうしたら?

編集部

幼児期のキーワードは「達成感・成功体験・自信」

こうした動きを獲得するために、親は何をしたらいいか。よく出てくる質問です。

何もむずかしいことはありません。子どもがこうした動きを遊びながらしているときに、まずは「おお、すごいねー」「こんなこともできるんだー」などと、親は子を見てポジティブな声をかけてあげればいいのです。

え?それだけですか?

編集部

子どもは、大好きな親に「受け止めてもらえている」「認められている」。そう感じればそうした遊びがどんどん楽しくなります。楽しくなればできるようになる。

できた!

この達成感と成功体験こそが、この時期にたくさん子どもに味わってほしいものです。
それが自分はきっとできる、だいじょうぶという自信につながり、違うこともやってみようという意欲につながるのです。

また、4歳ごろになると、できている部分をきちんと見て正当な評価がほしいという気持ちが芽生えます。
1,2歳ごろのほめてくれればうれしいという単純さからもう少し複雑になってくるんですね。

だから、まずは頑張っている姿を認めたうえで、子どものできているところともうちょっとがんばったらもっとかっこよくなるところをしっかり見つけ、ほめて、励ます声かけが大切なのです。

そんな関わりを通して、子どもたちはぐんぐん成長していくんですよ。

つい運動や工作などは教えてあげなきゃ!と意気込んで親子で楽しくない時間になることも。もっと大切なことが、あったんですね

編集部

参考文献:「0~6歳 子どもの発達と保育の本(第2版)」(監修・執筆/河原紀子 執筆/港区保育を学ぶ会 学研プラス)
責任編集:おやこのくふう編集部

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お話を伺った方

共立女子大学家政学部児童学科教授 河原 紀子

博士(教育学)。専門は発達心理学。著書に「0~6歳 子どもの発達と保育の本(第2版)」(共同執筆・学研プラス)、「子どもと食:食育を超える」(共著・東京大学出版会)、「ヒトの子育ての進化と文化」(共著・有斐閣)などがある。自身の研究や保育者養成の立場より、保育施設でのフィールドワークにも力をいれている。二人のお子さまのママでもある。

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