コロナ禍の今こそ、子どもの育つ力がよく表れる。おやこで道端の自然にたっぷりふれる経験を

コロナ禍の今こそ、子どもの育つ力がよく表れる。おやこで道端の自然にたっぷりふれる経験を
非認知能力と子どもの自然体験をテーマに兵庫県西宮市で野外幼児教育を実践する「森のようちえん さんぽみち」の園長、野澤俊索さんに子育てに奮闘中のママ・パパに向けたメッセージをいただきました。
目次

連載「のんたん先生の自然エッセイ」で子どもの自然との関わりの大切さを綴っていただいている野澤俊索さんからの保護者のみなさんへのメッセージ。このコロナ禍での子育てに不安を抱える方も多いですが…。


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お母さん、お父さん。安心してください。
困ったことや、迷うこともあるけれど、子どもたちには自分で真っすぐ育つ力があるのです。

"未完成"な幼児期の本能的な経験が人生を楽しむ土台に

コロナの時代に、教育や生活のあり方を考え直すきっかけをもった方も多いのではないでしょうか。人工社会に密接した生活は、その社会機能が損なわれたとき、いとも簡単に崩れてしまいました。
また、子どもたちの楽しみにしていた行事などが中止になったり、いつものようにできなかったりして、なんだか子どもの育ちが滞ってしまうのではないかと不安になることもあるのではないでしょうか。

しかし、自然はいつものように廻ります。
どんなときも四季は変わらず移ろい、一日の始まりには朝日が昇るのです。

18世紀の教育哲学者ジャン=ジャック・ルソーは、著書『エミール』の中に次のように記しています。
「自然は子どもが大人になる前に子どもであることを望む。もしこの順序を乱そうとすれば、味わいのない、すぐに腐敗してしまう早熟な果実を生み出すばかりだ。」

子どもという存在は、生まれ育つという生物学的な視点でみれば、自然そのものの存在であると言えます。子どもたちは"小さな大人"ではなくて、まだ幼く未完成な人間です。子どもたちが未完成であるからこそ、成長して今の大人を越える社会を築いていくことができる、とルソーは言います。

子どもたちが子ども時代を、そんな未完成な子どものままで過ごす時間が、後に自然な成熟を生むと言えます。子どもたちは自然から多くを学びます。幼児期はとくに、感覚への多様な刺激にあふれた環境から人間性の発達を促されていきます
自分の人生をいきいきと生きていくということは、幼児期にもがきながら”生きよう”とした本能的な経験から得られることなのです。

自然にふれる時間をたくさん持ち、子どもの育ちを感じたい

コロナの時代に生きる子どもたち。
春先、あの緊急事態宣言が日本の活動を止めたとき、静まり返った街からは雑音が消え、鳥の声がよく聞こえるようになりました。都会でも澄んだ空気から星空がきれいに見えて、昼間は遠くに富士山が見えました。夏は猛暑で大汗をかき、そのあと急な冷え込みから美しい紅葉の秋がやってきました。そして今、厳しい寒気と共に冬がきています。

今は、いつもよりもはっきりと季節が感じとれる時代なのです。それに合わせるように、季節はその変化がいつもよりも色濃く現れています。

さあ、子どもたちと一緒に自然を感じに行きましょう。
のんびりてくてくおさんぽをして、道端の自然を探してみましょう。
自然に触れて、遊びましょう。

そんな時間がいっぱい作れる時代になりました。だから今は、子どもたちの育ちが、よりはっきりと表れる時代なのです。

だから、安心してください。お父さん、お母さん。
今年があって良かったことや、今年だからいいことは、必ずどこかにあるものです。
そして子どもたちはそれをしっかり吸収して、大きく育っていくのです。

執筆:野澤 俊索

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お話を伺った方

森のようちえんさんぽみち園長 野澤 俊索

NPO法人ネイチャーマジック理事長、兵庫県自然保育連盟 理事長、森のようちえん全国ネットワーク連盟 理事
神戸大学理学部地球惑星科学科 卒業。
兵庫県西宮市甲山にて、建物を持たず森を園舎とする日常通園型の自然保育「森のようちえんさんぽみち」を運営して10年。今では2歳から6歳までの園児25名と一緒に、雨の日も風の日も毎日森へ出かけていく日々。愛称は"のんたん"。森のようちえん全国連盟では指導者の育成を担当している。
プライベートでは2歳の娘の子育ても楽しみにしている。

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