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「子育て軸」をもって子育てをもっとラクに!

ブレない子育てって難しい!子どもの年齢、気持ちの状態…【子育て軸】は変わることだってある!

ブレない子育てって難しい!子どもの年齢、気持ちの状態…【子育て軸】は変わることだってある!
教育方法学の専門家、岡山大学の中山芳一先生による、子どもを育てる上で親がもつべき信念=「子育て軸」の連載。今回は、子どもの時期や状況によって子育ての方針を変更することについて。
目次

これまでの連載で中山芳一先生が、自分が親としてどんな「子育て軸」をもっているかを明らかにできる、さまざまなアプローチ法を教えてくださいました。

子育て軸の大切さはよくわかりましたが、一方気になるのが、親として"ブレない子育て軸"をもつってなかなか難しそう…ということ。そのあたり、中山先生、どうなんでしょうか?

子育ての軸は本当にブレちゃいけないの?

前回は、ブレることのない一貫した「子育て軸」を持って、わが子に思いを伝え続けてきた子育ての事例を紹介しました。親の子育て軸がブレなかったからこそ、わが子へしっかりと伝わり、大人になってからの生き方や働き方にプラスの影響を与えていたことがわかりました。

しかし、「そこまで一貫した考えを持ち続けるのが難しい…」とか「子育て軸がブレちゃうから何とかしたい…」と思った方もいるのではないでしょうか。
そして、そもそも、「子育て軸ってブレちゃいけないの!?」という疑問を持った方もいるかもしれません。

たしかに「軸」というぐらいですから、今日はこっち、明日はあっち…といった具合に思いつきでコロコロ変わってしまったり、周囲から仕入れたいろんな情報に振り回されてしまったりでは、軸を持って子育てをしているとはいえません。

今回は、前回の「まったくブレない軸」とは違った子育て軸の持ち方について話を進めていきたいと思います。

発達段階や内面の変化に合わせ、あえて「軸を変える」選択も

前回の事例は、わが子が大人になるまで(いや、大人になっても)、常に一つの明確な軸を持ち続けていたから、一貫性がある子育て例といえたと思います。
しかし、実はずっと同じ軸を持ち続けるかどうかについても決まりきった正解はないのです。ここで大切にしたいのが「その軸をいつまで持ち続けるの?」という視点です。

例えば、私自身も3児の父親で、一番上の子は中1の娘です。いま、中1になった彼女には、多少の厳しい困難にぶつかってもそれを自力で乗り越えられるようになってほしいので、私は彼女が困っていても簡単に手助けをするようなことはしません。

しかし、彼女が4歳ぐらいまでの頃は、思いきり安心してどっぷり甘えられるように妻と一緒に子育てをしてきました。あの頃の私たち夫婦は、(いわゆる自己肯定感を育むために)「4歳頃までは無条件で彼女の思いを全部受け入れる」ということだけをただ一つの子育て軸として持ちながらかかわってきたのです。
下の2人の子どもたちについても、この子育て軸はまったく同じです。ただし、それはあくまでも4歳ぐらいまでのことで、中1になったいまの彼女に対するかかわり方は違います。

私の場合は、特に子どもの発達段階に合わせてかかわり方を変えています
つまり、成長するにつれて「安心して甘えていいよ」から「自ら厳しい困難も乗り越えていけよ」という方針の変更が起きているわけです。

この方針の変更が子育て軸のブレといえばたしかにそうかもしれませんが、これを4歳の頃までの子育て軸、中学生になってからの子育て軸、と考えてみてください。つまり、軸がブレたのではなく、段階的に軸が変わっていったわけです。

私のような軸の変え方もあれば、子どもの内面の変化に合わせて軸を変える場合もあります。例えば、子どもが頑張りすぎていることに気づいた親が、それ以降「もっとがんばっていこうぜ」から「そんなにがんばらなくてもいいよ」という方針へ変わることだってありですよね。

方針の変更には、適切な理由が必要

子育て軸というのは、先ほどの通りわが子の時期や状況によって方針が変わることも十分あり得ます。このような方針の変更を「軸がブレる」というのであれば、軸がブレることだって大いにあってよいことだといえるでしょう。

大切なことは、子どもの時期や状況によって方針を変更した(軸がブレた)際に、その変更の理由が適切で、納得できるものかどうかという点です。

例えば、小学生になったら「〇〇なかかわり」が必要になるって雑誌に書いてあったからそれをそのまま鵜呑みにして方針を変更したのでは、子どもはたまったものではありません。
雑誌に書いてある「〇〇なかかわり」が、本当にわが子に必要なのかを考えてみることが大切なのです。

そうしてみると、いまのわが子とのかかわり、いまわが子にさせている活動についても、本当にやらなければならない(させなければならない)ことなのかどうかを考えてみるきっかけになるかもしれませんね。

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執筆者

岡山大学准教授 中山 芳一

1976年岡山県生まれ。岡山大学 全学教育・学生支援機構准教授。専門は教育方法学。大学生のためのキャリア教育に取り組むとともに、幼児から小中高学生の各世代の子どもたちが非認知的能力やメタ認知能力を向上できるように尽力している。9年間没頭した学童保育現場での実践経験から、「実践ありき」の研究をモットーにしている。『家庭、学校、職場で生かせる!自分と相手の非認知能力を伸ばすコツ』『学力テストで測れない非認知能力が子どもを伸ばす』(ともに東京書籍)ほか著書多数。最新刊は監修をつとめた『非認知能力を伸ばすおうちモンテッソーリ77のメニュー』(東京書籍)。

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