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「非認知能力って?」どこよりもわかりやすく解説!

モンテッソーリ教育は生きていくうえで必要な「非認知能力」を伸ばすための教育【話題の子育てキーワード解説】

モンテッソーリ教育は生きていくうえで必要な「非認知能力」を伸ばすための教育【話題の子育てキーワード解説】
いま話題のモンテッソーリ教育と非認知能力というキーワード。この2つには大きく関係があるのをご存じですか?このモンテッソーリ教育と非認知能力の関係について、『非認知能力を伸ばすおうちモンテッソーリ77のメニュー』(東京書籍)を監修した岡山大学の中山芳一先生に詳しく伺いました。
目次

今回は、教えて!注目の子育てキーワード「非認知能力」連載の番外編!

中山芳一先生が監修された『非認知能力を伸ばすおうちモンテッソーリ77のメニュー』でも紹介されている、モンテッソーリ教育と非認知能力の密接な関係について、教えていただきました。

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モンテッソーリと非認知能力は目指すところが同じ!

将棋界で大活躍中の藤井聡太二冠が、幼児期の頃に「モンテッソーリ教育」を受けていたという話をご存知の方も多いでしょう。
いま一躍注目を集めているこのモンテッソーリ教育とは、19~20世紀にイタリアで医師・教育者として活動したマリア・モンテッソーリが提唱した教育法のこと。
「子どもは自らを成長・発達させる力をもっている」と考え、子どもがいま何に興味があるのかをよく観察することを大切にしています。生きるための大切な能力が得られる"敏感期”に「お仕事」と呼ばれる教具を使った活動に取り組むことで、自分で選ぶ力、集中力、物事への意欲、やり遂げる根気、心の落ち着きなどが育まれていきます。

先月9月に東京書籍から『非認知能力を伸ばすおうちモンテッソーリ77のメニュー』という本が刊行され、監修者として私と「しののめモンテッソーリ子どもの家」の先生方が名を連ねました。
子どもの家さんといえば30年もの間モンテッソーリ教育に取り組み続けられている幼稚園です。私としても大変光栄なお話でした。

この機会をくださったのは、私の非認知能力の著書2冊を担当した東京書籍の編集者の方。 彼女は私が執筆した非認知能力本を編集する一方で、しののめモンテッソーリ子どもの家さんとモンテッソーリ教育についての企画を練っていたところ、次第に「あれっ!? モンテッソーリ教育と非認知能力って同じところを目指してるんじゃない」と思ったそうです。
そして、どうしてもこの本を企画したくなったのだとか…。

そうなんです! 

100年以上前にイタリアで誕生したモンテッソーリ教育は、子どもたちに「お仕事」ができることを目的としていたのではなく、「お仕事」などを通して「思いやり」や「心の落ち着き」といった非認知能力を伸ばしたかったんです!

もちろん、当時は非認知能力なんていう呼び名はなかったんですけどね…。

モンテッソーリ教育はこれからの時代を生き抜いていくのに必要な下支えの力を伸ばす

さて、彼女からのステキな提案に感銘を受けた私は、本書の「はじめに」に監修者として以下のように書かせていただきました。

昔、ある村にとても健康な青年がいました。

この青年は、いつも山から緑黄色の草を採って来ては毎日のように食べていたのです。その草のおかげなのか、青年は風邪一つひきません。いつしか村人たちは、青年が採ってくる草のことを「モンテッ草」と呼び始め、村の子どもたちにも食べさせるようになりました。

ところが、あるときモンテッ草の噂を聞きつけた著名な博士が村へやって来て、この「モンテッ草」には「ヒニンチC」が多く含まれている。そして、モンテッ草に含まれるヒニンチCが人々を健康にしているのだ! と言い始めたのです。

モンテッ草が体を健康にしてくれるのはヒニンチCが含まれているためだということが明らかになったわけですね。

引用:『非認知能力を伸ばすおうちモンテッソーリ77のメニュー』P2-3

おもしろいものですよね。
非認知能力という言葉が生まれたことで、モンテッソーリ教育の本当の目的、つまり子どもの何を伸ばしたいのかがはっきりしたわけです。

私たちは、藤井二冠がモンテッソーリ教育を受けていたからとか、有名一流大学に合格させたいからなどの理由で、わが子にモンテッソーリ教育を…などと短絡的に考えてはいけないのです。

モンテッソーリ教育は、わが子がこれからの時代を生き抜いていく上で欠かすことのできない「下支えの力=非認知能力」を伸ばすための教育なのだととらえておきたいものですね。

中山芳一先生が監修された本の紹介

『非認知能力を伸ばすおうちモンテッソーリ77のメニュー』
しののめモンテッソーリ子どもの家+中山芳一/監修
東京書籍
1760円(税込)


本書は「しののめモンテッソーリ子どもの家」の先生方が、特別な場所ではなく普段のくらしの場所であるおうちでできるモンテッソーリ教育のメニューを77個も紹介しているのも大きな特徴。
どこかへ行かなくても、高いお金を払わなくても、日常のくらしの中で気軽にモンテッソーリ教育ができちゃうんです! 

そしてなんといってもポイントなのが、一つひとつの「お仕事」と「教具」が、どんな非認知能力につながっているのかも解説されているんです! 

これが理解できれば、そのほかのことを子どもがやっているときでも、「あっ、きっとこれって、こんな非認知能力が伸びるかも…」という目を養うことができるのですよ!

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執筆者

岡山大学准教授 中山 芳一

1976年岡山県生まれ。岡山大学 全学教育・学生支援機構准教授。専門は教育方法学。大学生のためのキャリア教育に取り組むとともに、幼児から小中高学生の各世代の子どもたちが非認知的能力やメタ認知能力を向上できるように尽力している。9年間没頭した学童保育現場での実践経験から、「実践ありき」の研究をモットーにしている。『家庭、学校、職場で生かせる!自分と相手の非認知能力を伸ばすコツ』『学力テストで測れない非認知能力が子どもを伸ばす』(ともに東京書籍)ほか著書多数。最新刊は監修をつとめた『非認知能力を伸ばすおうちモンテッソーリ77のメニュー』(東京書籍)。

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