【小児歯科専門医が解説】わが子の「歯並び」が気になっている人必見!早めに進めたい治療のタイミングや矯正方法って?

【小児歯科専門医が解説】わが子の「歯並び」が気になっている人必見!早めに進めたい治療のタイミングや矯正方法って?
乳歯が生えそろったり、永久歯が生え始める3〜6歳ごろ。気になってくるのが子どもの歯並びです。歯並びと矯正や治療のタイミングについて、小児歯科専門医でキッズデンタル代表の坂部潤先生に聞きました。
目次

小児歯科専門のクリニック・キッズデンタルを運営する坂部潤先生に子どもの歯のケアについて聞く連載。

今回は気になる歯並びと矯正治療について、タイミングや治療方法を聞きました。

歯並びのトラブルによって治療時期は違う

子どもの歯並びが気になった場合、どのタイミングで矯正を考えたらいいのでしょうか?

おやこのくふう編集部 編集部

歯並びのトラブルは複合的な原因で起きていることも多いので、気になったらまずは早めに歯科医に相談してみましょう。歯並びの点検は乳歯が生え揃う3歳ごろ、前歯が永久歯に生え変わる6歳ごろに行うと、状態から得られる情報も多く治療方針が立てやすくなります。

子どもの歯並びの矯正治療は、大きく分けて永久歯が生え揃うまでと生え揃ってからの2つの時期があります。歯並びを直すには、どんな原因で歯並びが気になっているのかによって治療のタイミングが異なるので、基本的なものを解説しますね。

下顎前突(かがくぜんとつ/受け口のこと)

下顎前突とは、下の前歯が強く前に傾斜していたり、下の歯並び全体が前に出ている状態でいわゆる「受け口」のことです。
受け口は、一般的に前歯が生え揃う1歳ぐらいからわかります。乳歯が生え揃う2歳半ごろにはかみ合わせが安定して、半数ぐらいの子が治ることもあるので3歳までは様子を見てOKです。
歯並びの問題の中でも一番治療・管理が難しいとされ、長期の治療と管理が必要になることもあります。

【原因】
骨格的な遺伝やあごの発育バランスが悪いことが原因で起こります。
【リスク】
受け口のままでいると、前歯が引っかかるためにあごを正しく動かせず、ものを食べにくくなります。また発音の異常や口呼吸の原因となることも。

【治療のタイミングと治療法】
3歳以降、なるべく早い時期からかみ合わせを整え、筋肉バランスやくせを整えていきます。基本的には、安静時の口の閉じ方や舌の位置をマウスピース状の装置を使って矯正することが多いですが、歯科医師の方針によってさまざまです。
一度治しても再発したり、器具で悪化してしまうこともあるため、骨が成長しきったあとに手術になることもまれにあります。

叢生(そうせい/らんぐい歯のこと)

歯並びのトラブルで一番多いとされるのが、このらんぐい歯です。歯がねじれたり、重なり合ってでこぼこになってしまっている状態で、子どもの歯並びのトラブルの8割を占めます。

【原因】
歯の大きさとあごの成長のバランスが悪いことが原因です。多いのは歯に対して、あごが小さすぎるケース。またあごに対して、歯が大きすぎるケースもあります。

【リスク】
歯と歯の間などに歯垢がたまりやすく、歯みがきが難しいため、虫歯や歯周病の原因になります。歯のデコボコによりかみ合わせがずれてしまったり、見た目を気にする人も。

【治療のタイミングと治療法】
あごの小ささが原因の場合には、まだ骨が柔らかい5〜8歳ぐらいまでに治療をスタートします。まず歯に渡す器具であごを広げてから、歯の位置を矯正することが多いです。

あごに対して歯が大きい場合には歯を抜いてスペースを作る必要があるため、なるべく永久歯が全部生えそろってからやるのが原則です。

いずれにせよ、6歳前後で一度歯科医師に相談しておくことが大切です。

上顎前突(じょうがくぜんとつ/出っ歯のこと)

上の前歯が強く前に傾斜したり、上の歯並び全体が前に出ている状態でいわゆる「出っ歯」のことです。

【原因】
骨格的な遺伝のほか、あごの成長と歯の大きさが合わないこと、指しゃぶり・下唇を噛むなどのくせが原因だったりすることも…。
またあごの成長と歯のバランスが悪く、歯の生える場所が不足して前に出てしまっていることも多いです。

【リスク】
前歯で食べ物がかみづらくなったり、発音が不明瞭になってしまうことも。また見た目を気にする子もいます。

【治療のタイミングと治療法】
原因によってタイミングと治療法はさまざまですが、前歯の永久歯が生え揃って骨が成長する8歳前後から矯正を開始することが多いでしょう。あごの狭さが原因の場合には、まずあごを広げる器具を使います。
指しゃぶりなどの原因がある場合には、3歳ごろからやめるように促します。

矯正医を探すのは難しい!

歯並びの相談は普段から通っているかかりつけの歯科で問題ないのでしょうか?

おやこのくふう編集部 編集部

小児の矯正専門医はとても少ないので、矯正を検討しているなら小児を診てくれるクリニックでまずはいいと思います。 ただし「もうちょっと待ってみないと…」「全部生えてからでいいよ」と先の見通しを立てられない先生は、もしかしたら小児矯正の経験があまりないのかもしれません。経験豊富な先生であれば、いつ・何がわかるのか・そこから何をすればいいのかを説明してくれるはずです。

またかかりつけ医でも、矯正専門の先生が月に1回来るという場合もあります。この場合には、器具で痛くなってしまったなど治療中の不具合にどのように対応できるかを確認しておきましょう。矯正中は器具があって虫歯になりやすいので、その際の対応もチェックしてください。

治療に入る前には、まず顔全体のレントゲン(正面・横)を撮るのは必須。クリニックにレントゲンがなくても外部機関などを使ってもちゃんと調べてくれるところを選びましょう。

歯列矯正は保険外診療でどうしても100〜120万円かかるのが通常です。お任せできる先生に会えるまで、何件か歯科医院を巡ってみるのもいいと思います。

***

気になる子どもの歯並び。審美的な面だけでなく、虫歯予防や口臭などとも関わってくるので、こまめに歯科医院で相談しておきたいですね。

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監修者

小児医療専門医 キッズデンタル代表 坂部 潤

元米国UCLA小児矯正歯科客員研究員、日本大学歯学部小児歯科学教室非常勤講師、日本小児歯科学会認定小児歯科専門医、歯学博士(小児歯科学)
目黒・成城・麻布十番・代々木上原に小児歯科専門医院キッズデンタルを運営。大学病院での小児歯科専門医療の実践や米国UCLA小児矯正科への留学経験を生かし、虫歯治療や矯正だけにとどまらず、低月齢からの継続的な管理によって、子どもの健全な成長発育を促すクリニックを目指しています。プライベートでは4児のパパでもあります。
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