【教員が解説】公立・国立・私立小学校の違いは?特徴や学費・メリットなどを解説

【教員が解説】公立・国立・私立小学校の違いは?特徴や学費・メリットなどを解説
公立小学校と私立や国立の小学校は何が違うのでしょうか。気になる学費や保護者の傾向、授業内容などについて、元小学校教員のライターが詳しく解説します。
目次

首都圏を中心に小学校受験をする子どもが増えています。

小学校受験は経済的に豊かな家庭が取り組むというイメージもありますが、最近では一般的な共働き家庭にも小学校受験を目指す人が増えているようです。

「小学校から私立や国立に行く良さって?」
「近所の公立ではだめなの?」

今回は、元小学校教員でライターの秋野みんみが、公立・国立・私立小学校の違いや特徴について解説します。

公立小学校と国立・私立小学校に違いはある?

公立小学校と国立・私立小学校には、以下のような点で違いがあります。

  • 小学校の運営元
  • 入学試験の有無
  • 学費
  • 使用する教科書
  • 学校の施設や設備
  • 通学の手段
  • 保護者の雰囲気
  • 放課後の過ごし方

例えば、公立小学校の運営元は都道府県や市区町村で、先生たちの多くは教育公務員です。もちろん入学試験はなく学費は無償となっています。

一方、私立小学校は学校法人によって設立されており、入学するためには入学試験の受験をが必要です。公立小学校とは違い学費がかかりますが、その分施設や設備が充実していたり、公立小学校にはないフォロー体制が組まれていたりする場合が多いです。

国立小学校は国が運営しており、その多くは国立大学の付属小学校という立ち位置です。公立小学校の学習にプラスして発展的な内容を幅広く学習することができます。国立小学校は経験豊富な教員が多く、授業が面白いだけでなく公立小学校と同じく学費が無償です。
そのため人気がありますが、入学試験に加えて抽選がある場合が多く、非常に狭き門であるとも言えます。

このように各々の小学校にはそれぞれの特徴やメリット・デメリットがあるのです。それでは、1つずつ詳しく解説していきます。

【公立小学校】の特徴・学費・メリット

小学生の98%は公立小学校に通っています。公立小学校はほかの2つの小学校と違い、どのような特徴があるのでしょうか。

公立小学校の特徴

公立小学校に入学する場合は入学試験を受験する必要がなく、自動的に自宅の近くにある小学校に通うことができます。運営は都道府県や市区町村であり、先生たちのほとんどは教員採用試験によって採用された教育公務員です。公務員以外の教員も、教員免許を取得した上で働いています。

教科書は市区町村の教育委員会によって決められています。公立小学校の場合は必ず文部科学省によって認定された教科書を使用するため、教科書会社は違っても基本的な学習内容は同じです。そのため、違う自治体に転校することがあっても安心です。

公立小学校に通う子供・保護者の傾向

公立小学校は、自動的にその地域の子ども達が入学することになるため、子どもの性格や保護者の考え方は本当にさまざまです。そのような中で、揉まれながらも子どもなりに人間関係を築いていく経験は、いずれ社会に出ていく子ども達にとって非常に良い経験となるでしょう。しかし、学校の雰囲気には地域差があり、クラスに問題行動を起こす子どもがいる場合も考えられます。

また、私立や国立と比べて教育熱心な保護者は少ないため、中学受験を考える場合には保護者間での情報は得にくいかもしれません。しかしその分、さっぱりとした保護者付き合いができるでしょう。

公立小学校の学費・かかる費用

公立小学校では学費は無償ですが、学用品や実習費などといった「学校教育費」、また日々の給食費が徴収されます。

学年や各学校によって多少の差はあるものの年間約10万程度の場合が多いようです。

公立小学校のメリット

公立小学校に通う場合、自宅の近くの小学校に通うことになるため、国立・私立小学校と比べて、通学への負担が少ないというメリットがあります。基本的には子どもだけで徒歩で通うことができますから、送迎などの保護者の負担も少ないです。通学時間が少ない分、放課後に習い事をしたり友だちと遊んだりすることができます。

また、公立小学校に通えば近所の友だちができます。さまざまな地域から集まる私立・国立と異なり、公立小学校に通えば放課後にも近所で気軽に集まることができるのです。約束していなくても、公園に行けば誰か友だちがいる!というようなつながりができやすいのも、公立小学校に通う特権ではないでしょうか。

公立小学校のデメリット

公立小学校の教員には人事異動があるため、数年で他の小学校へと転勤してしまいます。そのため、子どもが6年生になった時、1~5年生の頃の担任の先生が誰もいない!なんてことも良くある話です。学校の雰囲気や授業の質などが、その時にいる先生たちによって良くも悪くも変化してしまう可能性があります。

また、入学試験のない公立小学校では、子ども達の学力差が非常に大きいです。そのため、学習が分かっている子には授業が退屈に感じたり、理解ができていないまま次の単元に進んでしまう子がでたりと、個々の理解度に授業を合わせることができないという大きなデメリットがあります。

【国立小学校】の特徴・学費・メリット

優秀な教員から質の高い授業が受けられるため志望者の多い国立小学校。公立同様に学費が無償なのも人気の理由です。ここでは、そんな国立小学校の特徴を詳しく見ていきましょう。

国立小学校の特徴

国立小学校の多くは、国立大学の付属小学校です。小中一貫校となっている場合が多く、9年間を見通した教育を受けることができます。また、国立小学校の教員は、経験豊富な優秀教員が多く、授業内容は公立学校では経験できないハイレベルなものになっています。

国立小学校に入学するためには、入学試験を受験するだけでなく抽選を突破する必要があります。国立小学校に入学できるだけの学力があっても、抽選で落ちたら通えないということです。不思議なシステムですよね。

国立小学校に通う子供・保護者の傾向

国立小学校に通うのは、入学試験に合格した子ども達。そのため、公立小学校に比べて子ども達の平均学力も高く、学力の高い子ども達と一緒に切磋琢磨することで、個々の能力を高め合うことができることでしょう。

また、公立小学校と比べて教育熱心な保護者が多い傾向にあります。私立小と比べて学費がかからないという面から、家庭の経済状況はさまざま。公立小学校と比べて行事やPTA活動で保護者参加が求められることが圧倒的に多く、共働きの家庭で参加に苦労したという話も聞かれます。

国立小学校の学費・かかる費用

国立小学校は公立小学校と同じで学費は無償、学校教育費や給食費のみが徴収されます。交通費や指定の制服・カバン等の費用がかかる場合もありますが、それも私立小学校よりは大幅に費用を抑えることができます。

国立小学校のメリット


前述のように国立小学校の多くは国立大学の付属という位置づけです。そのため、教育の研究の実験場であるという一面を持っており、公立小学校ではまだ行われていない最先端の授業を受けることができます。
また、国立小学校は教科担任制をとっている場合が多く、各教科に特化した経験豊富な先生が集まっています。教科書の枠を超えたオリジナリティあふれた学びを得られるのは、国立小学校の特権と言えるでしょう。

また公立小学校と比べて学力や家庭環境の振れ幅が少ないことから、比較的落ち着いた子ども達が多く、学級崩壊の心配も少ないようです。加えて、公立小学校に比べて自主性を重んじる校風であることが多く、子ども達主導の学校活動も盛んなようですよ。

国立小学校のデメリット

近隣の公立小学校に通うことと比べて、通学に時間がかかることが考えられます。朝早くから、重い荷物を持ってバスや電車に乗ることは心身共に負担になる場合も…実際にその通学手段で通い続けることが可能かをしっかりと考慮することが重要になりそうです。

また、国立小学校は広範囲から子ども達が集まっています。そのため、学校の友だちが近所にいないことが多いです。そのため近所の子どもとの関係が築きにくく、寂しい思いをするということも考えられるでしょう。

学習面では、ベテラン教員の先進的な教育を受けられるというメリットの一方で、公立小学校に比べて、先生各々で授業の進め方に大きな違いがあるようです。そのため、慣れるまでは子どもが戸惑う場合もあるでしょう。また、小中一貫校とはいえ、私立小とは異なりエスカレーター式に中学校へ内部進学ができるわけではありません。 付属中学に進学するためには、 受験が必要になります。

【私立小学校】の特徴・学費・メリット

経済的に余裕のある家庭の子どもが通うイメージの強い私立小学校。しかし最近では、共働きの一般家庭からも、私立小学校を目指す子どもが増えつつあるようです。ここでは、私立小学校の特徴を紹介します。

私立小学校の特徴

私立小学校の運営は学校法人のため、それぞれ独自の教育方針や理念を掲げて学校を運営しています。私立小学校の教員は、教育公務員ではなく各学校が独自に採用しているため、その学校の理念に賛同して勤めています。そのため、教員によって考え方に大きなブレが少ないのが特徴です。
子ども・保護者も同様に、「ここで学びたい!」という思いをもって受験をして入学しているため、一定以上の学力をもち、落ち着いた子どもが多いようです。

私立小学校の教育方針はさまざま。進学に重きをおく小学校、人格形成を大切にする小学校、全授業を外国語で行う小学校など、家庭との教育方針に合う学校を選べるというのは私立小学校ならではの特徴でしょう。

私立小学校に通う子供・保護者の傾向

私立小学校に通う子どもは、受験に向けて幼少期から学習や運動、生活態度などを学んでいる場合がほとんど。そのため、ある程度の学力はもちろんながら、学力以外にも多才で落ち着きのある子が多いようです。

また、学校の方針に共感した教育熱心の保護者が多く、受験の際に保護者面接もある場合が多いこともあり、学校に無茶を言うような人は少ない傾向にあります。

私立小学校の学費・かかる費用

私立小学校は学費は、1年間で約150万程度。入学金や入学準備金が必要な1年生はさらに高額になるようです。私立小学校では、授業料や学校教育費、給食費以外にも施設費や会費など、公立・国立にはない費用があります。

私立小学校のメリット

私立小学校の1番のメリットは質の高い教育を受けられることです。英語教育が充実していたり学習進度が高かったり、校内の施設が充実していたりと公立・国立小学校にはない充実した学びが得られます。また私立小学校の教員は、独自で採用されているため、基本的に転勤がありません。そのため、先生が毎年変わっていくことなく、一貫した指導を受けることができます。

また、エスカレーター式の私立小学校を選べば、高校受験や大学受験をしなくてすむため、 受験時期に関係なくのびのびと過ごすことができます。

私立小学校のデメリット

私立小学校のデメリットは、まさに高額な学費です。卒業までの学費を見越して、受験を考えなければいけません。

また国立小学校同様に、通学に時間がかかる場合が多く、場所によっては小学校入学と同時に電車やバスに乗らないといけません。子どもの心身的な疲労はもちろん、通わせる保護者にとっても心配が絶えないのではないでしょうか。

保護者会や茶話会などが頻繁にある学校も多いようです。 保護者同士の関わりが苦手な方には苦痛かもしれません。

***

公立・国立・私立小学校それぞれの特徴を解説しました。

筆者の周りでは最近、放課後に学校内で習い事ができる私立小学校を志願しているという話をちらほらと聞きます。働いていると難しい平日の習い事の送迎…校内で習い事まで終えて帰宅してくれたら非常に助かります。私立小学校も時代に合わせて変化しているのですね。

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執筆者

ライター 秋野みんみ

元小学校教員ライター。公立小学校で10年の勤務経験有り。 現在は転勤族の妻で息子の育児に奮闘中!教員経験を生かして、お役に立てる情報を発信してきます♩

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