自己肯定感が土台になる!今日からできるわが子の「非認知能力」の伸ばし方

自己肯定感が土台になる!今日からできるわが子の「非認知能力」の伸ばし方
【非認知能力研究の専門家・中山芳一先生監修】「非認知能力」を伸ばす方法、気になる自己肯定感やモンテッソーリ教育との関係、文科省の取り組みなどをわかりやすく解説します。
目次

いま注目されている「非認知能力」。 これからを生き抜く子どもたちに必要な力だといわれる「非認知能力」をどうしたら伸ばすことができるのか、幼児期から非認知能力を伸ばしていく子どもとの関わり方について紹介します。

「非認知能力」を伸ばす方法は?

「非認知能力」は自分の「意識」で伸ばす力

非認知能力は、感情のコントロールや相手との関係構築など、自分の内側にある意思や感情に大きく関わるものです。したがって、いくら頑張っても親や先生など外側から非認知能力を身につけさせることはできません。非認知能力を伸ばしたい本人が「〇〇な力を伸ばしたい!」という意志を持ってはじめて、その能力を伸ばすことができます。

親ができることは、わが子が非認知能力を伸ばしたいという意志を持てるきっかけを与え「その気にさせる」ことです。わが子がその気になる、すなわち自分の中から沸き起こる興味・関心から行動することを「内発的意欲」と言い、これを尊重することが非認知能力を伸ばす上で非常に大切です。

親が選んだおもちゃばかり与えたり、習い事のような早期教育が行き過ぎたりすると、外から動機を与えられて動く「外発的意欲」が「内発的意欲」に勝ってしまうことになります。

子どもの想像力や自分で考えるチャンスを潰してしまわないように、親は「何かやってあげなきゃ」という気持ちを少し堪えてあげましょう。

「非認知能力」の土台になるのは自己肯定感

自分で悩んだり迷ったりしながら考えていける非認知能力を身につけるには、「自分でやっていい」と思えるような「大人に思いを受け入れてもらえた経験」が大切です。

子どもは生来、自己中心的なもの。特に3~4歳までは周りの人のことが見えず、自分中心の世界です。ですから3~4歳まで、極端に反社会的なことは除いてすべての意思・行動を受けとめてあげましょう。

大人に思い切り受け入れてもらえると、子どもは「自分はここに存在していていいんだ」と思えるようになります。いわゆる自己肯定感(自己受容感)です。

非認知能力の中には、他者と協調・協働する力や自分をコントロールする力などがあります。周囲にいる他者が見え始めるのは5~6歳ごろから。このとき自分で自分を肯定できる深い自己肯定感があれば、これらの力をより身に着けやすくなります。

「受け入れてもらえた嬉しさや安心感」を知っているからこそ、今度は自分をコントロールし他者を受け入れる側になれるのです。幼少期に養った深い自己肯定感が非認知能力の土台になるということです。

「非認知能力」は「ほめ方」でぐっと伸ばせる!

内発的意欲を高めるためには「ほめる」ことが大切です。ほめられることで意欲が高まり、もっとできるようにしようという意思が働きやすくなります。

ただし、単にほめ言葉を発するだけではその価値が伝わらないことも。「ほめたいこと=素敵なこと・感謝したいこと(つまり、価値あること)」を子どもと共有するように意識することが大切です。

ほめるためには、ほめるべき行動を具体的にキャッチすることが大切。ほめる・喜ぶ・感謝するなどの表現をわが子にすることで、お互いがその価値を共有することができます。ほめるときには何がよかったのかをストレートに、そして一目で「喜んでくれてる!」とわかる表情で伝えましょう。

最適なタイミングでほめられるように、普段から伸ばしたい子どもの姿をキャッチできるように子どもをしっかり観察しましょう。

「非認知能力」は外遊びで鍛えられる

「これをすれば確実に非認知能力が伸びる」という絶対的な方法はありませんが、外遊びは非認知能力の向上によい影響を与えます。

遊べる範囲やおもちゃが決まっている家の中での遊びに対し、外は変化に満ちています。季節により変化する環境や、天候により感じ方が変わるものまでさまざまです。「いつもとちがう」物や状況に出会うたび「どうやって遊ぼうかな」と自分で考えるチャンスが生まれます。

また、自然のものには遊び方のルールが存在しません。木の枝ひとつとっても、遊び方はその子次第。想像力を伸ばし、自分で課題を見つけ、達成する面白さがあると言えます。

自由に遊びを展開する中で「こんなことがひとりでできた」「失敗しても見守ってもらえた」経験は、自己肯定感を育み挑戦心や物事をやり抜く力につながっていくのです。

「非認知能力」を伸ばす習い事は?

「非認知能力」が大切だから、それ"だけ"を意識していけばよいのかというと、そうではありません。非認知能力とは、それ単体で存在しているものではなく、また特別なものでもありません。

日々の「ふつうの生活」の中にこそ非認知能力を伸ばすヒントがあり、非認知能力と認知能力、その他の要素が絡み合いながら人として成長していくのです。

したがって、非認知能力だけを切り離して身につけさせるような習い事は必要なく、本人の意識次第で日常生活の中で伸ばしていけるものなのです。

もしも子どもが夢中になれる習い事があるなら、それに取り組む中で課題解決ややり抜く力を身につけられるかもしれません。習い事をする・しないではなく、生活の一部としてどのような意識で取り組むかが大切です。

「非認知能力」を伸ばすための日本の教育現場の取り組み

文部科学省の取り組み

2020年、約10年ぶりに学習指導要領が改定されました。改定には「これからの社会が、どんなに変化して予測困難になっても、自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、判断して行動し、それぞれに思い描く幸せを実現してほしい。そして、明るい未来を、共に創っていきたい。」という思いが込められています。

2020年に小学校、2021年に中学校、2022年に高校と順に実施されることになっています。

指導要領には、学校教育で育みたい能力として「生きる力」や「汎用的能力」が組み込まれています。特に学級活動・生徒会活動・学校行事などを通して、問題解決能力や他者との協働、学校活動に向かう意欲など、非認知能力に当たる能力を向上することを目標に掲げています。

教科学習も、教師主導型の授業から生徒主導型の「アクティブ・ラーニング」に変化しており、生徒が自ら課題を見出し、他者との対話を通して考えを深め、解答を導き出せることを大切にしています。

また、幼児期における非認知能力の重要性を指摘し「学びに向かう力(非認知能力)の育ちと、文字・数・思考(認知能力)の育ちには関連がみられる」としています。

小学校に入学した子どもがスムーズに学校生活に適応できるようにするための「スタートカリキュラム」を導入したり、幼小接続を進めるためのポイントを示したりと、いまある課題の解決にも取り組んでいます。

「非認知能力」と「モンテッソーリ教育」の関係は?

非認知能力と同じく近年注目を集めている「モンテッソーリ教育」。モンテッソーリ教育では「子どもは自らを成長・発達させる力をもっている」と考え、子どもがいま何に興味があるのかをよく観察することを大切にしています。

幼児期に多くが訪れるとされ、生きるための大切な能力が得られるという"敏感期”に「お仕事」と呼ばれる教具を使った活動に取り組むことで、自分で選ぶ力・集中力・物事への意欲・やり遂げる根気・心の落ち着きなどが育まれていきます。

その目的は「勉強ができる子」「賢い子」を育てることではなく「子どもの自立を促し自分で生きていける能力を育てる」こと、つまり非認知能力を伸ばすことにあります。むしろ、非認知能力という言葉が浸透したことでモンテッソーリ教育の目的が明確になったともいえますね。

モンテッソーリ教育は英才教育や早期教育ではなく、生きる力=非認知能力を伸ばすための教育だと捉え、目的を明らかにした上で取り組むとよいでしょう。

「非認知能力」を伸ばしたいと思ったときに読みたい本

幼児期から意識して伸ばしておきたい「非認知能力」。専門的な知識や経験がなくても、ふつうの生活の中で伸ばしていけるので、普段の子育てにぜひ取り入れたいですね。実践方法や子どもとの関わりで迷ったときには、本を頼ってみるのもおすすめです。

子育て中の親が非認知能力について学ぶのにおすすめの本を、教育方法学の専門家で非認知能力の著書のある中山芳一先生に教えていただきました。

ポール・タフ著『私たちは子どもに何ができるのか―非認知能力を育み格差に挑む』(英治出版)では、実際の事例をもとに非認知能力の伸ばし方を解説しています。

「幼児期の親子のストレスを和らげるには?」「子どものモチベーションを高めるために有効なフィードバックは?」など、すぐに実践したい大切なことが詰まっています。

もっと学問的に非認知能力を理解したいと思ったら、森口祐介さんの『自分をコントロールする力―非認知スキルの心理学』(講談社現代新書)で知識を深めましょう。
非認知能力はどうやって身につくの?など"そもそも"の疑問に科学の知見からわかりやすく答えてくれています。特に「自分をコントロールする力(実行機能)」についてとてもわかりやすく解説しています。

そして、実は大人も伸ばすことができる非認知能力。
中山芳一先生の『家庭、学校、職場で生かせる!非認知能力を伸ばすコツ』(東京書籍)では、非認知能力の捉え方や伸びる仕組み、大人もできる非認知能力を伸ばすトレーニングを、実例を多く交えながら解説しています。

非認知能力を伸ばすチャンスはふつうの生活にこそあり、焦らずそれぞれのペースでできることをやっていけばいいと励まし安心させてくれる一冊です。



***

生きるために必要な力は時代とともに変化しています。いまの子どもが社会に出るころには、さらにテクノロジー化が進んだ新しい時代になっていることでしょう。

予測不可能な未来においても、その子がその子らしく自分の力で生きていけるように、家庭でも非認知能力を伸ばす関わりを増やしていけるといいですね。



《参考文献・参考資料》
『家庭、学校、職場で生かせる!非認知能力を伸ばすコツ』(中山芳一著/東京書籍)
『私たちは子どもに何ができるのか―非認知能力を育み格差に挑む』(ポール・タフ著 高山真由美訳/英治出版)
『幼児教育の経済学』(ジェームズ・J・ヘックマン著 大竹文雄解説 古草秀子訳/東洋経済新報社)

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監修者

岡山大学准教授 中山 芳一

1976年岡山県生まれ。岡山大学 全学教育・学生支援機構准教授。専門は教育方法学。大学生のためのキャリア教育に取り組むとともに、幼児から小中高学生の各世代の子どもたちが非認知的能力やメタ認知能力を向上できるように尽力している。9年間没頭した学童保育現場での実践経験から、「実践ありき」の研究をモットーにしている。『家庭、学校、職場で生かせる!自分と相手の非認知能力を伸ばすコツ』『学力テストで測れない非認知能力が子どもを伸ばす』(ともに東京書籍)ほか著書多数。最新刊は監修をつとめた『非認知能力を伸ばすおうちモンテッソーリ77のメニュー』(東京書籍)。

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執筆者

ライター 西方 香澄

徳島で生まれ育ち、大学進学を機に神戸へ。養護教諭・児童発達支援など教育に従事したのち独学でライティングをはじめる。夫・1歳になった娘とクリエイティブな毎日をつくるため、現在デザインも勉強中。

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