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のんたん先生教えて!子育ての気になる…どうすべき?

テレビ、ゲーム、遊び、おやつ…やめなきゃいけないときにぐっと我慢できる子に育てるには?

テレビ、ゲーム、遊び、おやつ…やめなきゃいけないときにぐっと我慢できる子に育てるには?
「森のようちえん さんぽみち」(兵庫県西宮市)の園長"のんたん"こと野澤俊索さんに、子育てで気になるテーマについて自然保育でのエピソードを交えて綴っていただく連載。今回は我慢をはじめとする「気持ちのコントロール」について。
目次

子どもが自分の要求を通そうとしてきて、ついイライラ…ついぶつかってしまう場面はありますよね。理想は、たとえ好きなことでもやめなくてはいけないときにぐっと我慢できるようになること…そうするには一体どうしたらいいのでしょうか。

自然保育を実践する「森のようちえん さんぽみち」の園長、野澤俊索さんにお聞きしました。

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「子どもがテレビにかじりついて離れない」とか、「ゲームをやめない」「いつまでも公園で遊んでいて帰ってくれない」「おやつがとまらない」などの悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか。

子どもの年齢が低いほど自分の気持ちをコントロールすることが難しくて、こんな行動がエスカレートしたり、かんしゃくを起こしたりしがちですね。

テレビやゲーム、おやつは刺激的でやめられないのも無理はない

幼児期の子どもたちは、脳の成長のために常に感覚への刺激を求めています。また、その刺激を繰り返し受けることで、新しくできた脳の神経回路を定着させていこうとしています。それは生まれた時から始まっていて、約6歳で成人と比較して90%もの神経回路ができあがるという研究があります。

つまり6歳までにたくさんの感覚刺激を受けることで、脳の発達を促すことができるといえます。これが「五感への刺激が大事」と言われる所以です。

さて、お家の中にいると、こうした刺激はどこにあるでしょうか。見て、聞いて、想像して、味わって、嗅いで。動きや変化のない部屋の中では、テレビやゲーム、おやつなどは格好の刺激ではないでしょうか。

ならば、子どもたちがとりつかれてしまうのも無理はありません。でも健康を考えるといつまでも取りつかれていていいものではなさそうです。

目に見えるもので見通しをつけて約束しておく

幼児期の子どもたちは見通しをつけるのが難しいものです。そこで、始める前に子どもたちに終わりの見通しをつけて約束をするのはどうでしょうか。

子どもたちが見通しをつけるには時計の針の位置、回数、量など目に見えるものを使うのが最適です。

そして終わりが来たら、約束通り終わりにすることが大事。そこで子どもがごねても「約束を守ること」をしっかりと伝えないといけません。

「ごねると通る」ということを学ぶとその行為はエスカレートしていきますし、「約束は守らなくてもいい」という認識になると困ります。約束をして子どもが好きなことをした以上、大人は毅然とした態度を示す必要があります。

子どもに注意していること…大人も守れていますか?

大人でもついつい「ながら見」をしてしまいがちなテレビ。子どもと同じように、大人もテレビを見る時間の約束をして、同じように約束を守る姿勢を見せるとよいかもしれませんね。

子どもは本当によく大人の態度を見ています。伝えたいことを、身をもって示すことを「言行一致」といいます。子どもに求めることを大人がしていない、という矛盾にならないように、親の姿勢を整えることは子育てのコツのひとつです。

でも、親の姿勢を整えようと肩に力が入ってばかりいると、大人でもかんしゃくを起こしたくなることがあります。子育てでは、整えるところと抜くところのバランスが大事。

そんな時は、やっぱり外に出てみましょう。自然の中では子どもの欲求をそれほど目くじら立てて止めなくても大丈夫。「まあいっか!」とおおらかに過ごすことができると、自然に肩の力が抜けて、笑顔になります。

自然の中で欲求のままに遊ぶ子どもの姿がいとおしく感じられて、それを見た子どもの顔も笑顔になります。

自然の中にあふれる"感覚への刺激"をたっぷり子どもに届けよう

さて、自然の中へ出てみると、子どもたちの感覚への刺激は無限にあふれています。

「うちの子は自然に興味がなくて、電車や車ばかり見ています。」という相談を受けたことがあります。
自然の中に出た時に、自然遊びを展開しないでじっとしているわが子を心配しているようでした。

しかし自然遊びをしなくても、そこにいるだけで自然からのたくさんの刺激が届きます。目に映る緑の葉は風に揺れ、同じ色や形は一つもありません。鳥の声がして、森の匂いがして、森の恵みを味わうことができ、雨や風や日差しが肌に触れます。外にいるだけで、自然からの刺激はしっかりと子どもに届いているのです。

だから、「心配しなくていいですよ。子どもの中には自然がちゃんと届いていて、いつか自分から遊び始めますから」とお伝えしました。

都会の公園でも河川敷でもあぜ道でも。外に出ることは子どもたちにとって本当に大切なことです。変化と多様性に富んだ世界が子どもたちを包み込み、そして成長を促していくのです。

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執筆者

森のようちえんさんぽみち園長 野澤 俊索

NPO法人ネイチャーマジック理事長、兵庫県自然保育連盟 理事長、森のようちえん全国ネットワーク連盟 理事
神戸大学理学部地球惑星科学科 卒業。
兵庫県西宮市甲山にて、建物を持たず森を園舎とする日常通園型の自然保育「森のようちえんさんぽみち」を運営して10年。今では2歳から6歳までの園児25名と一緒に、雨の日も風の日も毎日森へ出かけていく日々。愛称は"のんたん"。森のようちえん全国連盟では指導者の育成を担当している。
プライベートでは2歳の娘の子育ても楽しみにしている。

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第2・4木曜日 更新

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