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読み書き、計算…入学前にどこまで教えたらいいの?

「自分は算数が得意!」と入学後自信をもたせるために、いまのうちから覚えさせたいこととは?

「自分は算数が得意!」と入学後自信をもたせるために、いまのうちから覚えさせたいこととは?
1年生からはじまる「算数」。数字の読み書きや足し算など、小学校入学までに家庭でどんな準備をしておけばよいか、家庭教育アドバイザーのTERUさんにお話をお伺いしました。
目次

子どもが数をたくさん数えられるとすごい!数字に強い!などと思ってしまいがちですが、どうやら本質的に理解できていないと意味がないようです。
また、子どもが自分は算数が得意!と自信をつけるためにやっておきたい意外なこともあるようで…

今回のテーマは幼児期の「数のべんきょう」について。
家庭教育アドバイザーのTERUさんに色々とお話を伺いました。

小学校入学までに「20までの数を理解し、書ける」ことを目標に

小学校入学までに、算数はどのくらいできるようにしておくとよいでしょうか?

おやこのくふう編集部 編集部

まず小学校入学までには20までの数の概念を理解できるといいと思います

1年生の算数の難関は、「くり上がり、くり下がりの計算」
ここでつまずくお子さんも多いので、20までの数の成り立ちをしっかり理解しておくと苦労が少ないといえるでしょう。

それに伴って、20までの数字を読める、書ける、ことまでできるようにしておくと安心かもしれませんね。 入学までに、20の数の理解と読み書き。
それがきちんとできるようになったら、もう少し進んで100までの数を理解できるようにしておけるとよいでしょう。

ただ数えられるだけでは、意味がありません!

ただし!シンプルに数えられるだけでは、数の原理原則を理解できていないのであまり意味がありません。 呪文のようにすらすら数を唱えられる子が、実際ふたを開けてみたら、数を理解できていなかった…ということが実は多くあるんです。

そもそも数の概念を理解する、というのは具体的にはこの2つができるということです。

●数を頭の中でイメージに置き換えられる
●10進法を理解している

この2つができていないと、実際に算数の問題を解いていく力にはつながりません。
イメージに置き換えられるというのは、「10ってこのくらいの数の集まり」という「量感」を持てるかどうかです。
例えば、パッとブロックを見て、「これは何個くらいだな」というイメージをもてること。 この量感を、20までの数でパッとイメージできるかどうかが重要だと思っています。

次に10進法
10をひとかたまりとして考えられるようにしておきましょう。
10から11になるには、1つの区切りがあると理解できることですね。 これが理解できていないとくり上がりくり下がりの計算が理解できなくて、つまずいてしまうことになります。

「数えられること」「数字を書けること」以上に、この2つは圧倒的に大切なことなのです。

九九の暗唱が、算数得意!の自信につながる

これを話すとビックリされる方が多いのですが、私は九九の暗記は幼児期までに済ませておくといいと思ってオススメしているんです。

え!九九ですか?1年生ではまだ習いませんよね

おやこのくふう編集部 編集部

九九は小学2年生の単元です。なので、どこでお話ししてもビックリされるんですが、これには私は自信をもっているんです。

「原理原則の理解が大事」とお伝えしているように、私自身は暗記教育否定派ですが、九九だけは、まずは覚える=暗記するってところから始まるんです。

子育てをしていて、子どもの記憶力にハッとすることはありますよね。気が付いたら歌を覚えていたり…そんなシーンは多々あると思います。
幼児期は、無意識の記憶を積み重ねられるので、暗記には圧倒的に有利な時期なんです。
入り方としては「九九の歌」がとてもよいと思います。
子どもが気に入る歌を見つけて、かけ流しておくだけで、結構覚えられます。リズムで覚えると浸透しやすいですし、忘れにくいですよね。

実は、かけ算九九を早く覚えた子は「自分は算数が得意だ」と自信をもちやすいんです。
幼児期から「ぼくもうかけ算九九言えるんだよ~!」と自身満々に披露して「すごいねぇ、もう言えるんだね!」とほめられる経験が、算数への前向きさを育んでいくと考えています。

確かに、かけ算九九を早く言えた時の高揚感を覚えています

おやこのくふう編集部 編集部

早くにかけ算九九を言えるだけで、なんとなく周りから一目置かれる感はありますね。
「ぼくは算数が好き!得意なんだ!」と思えることはよいことなので、早くから覚えることはよい体験だと私は思っています。

ただ、こちらも、かけ算九九の歌を覚えるだけではなく、後付けでよいので、原理原則を理解することはもちろん大切です。
「2つの固まりが2つあって、全部で4つ。同じ固まりが増えていくことがかけ算」ということをイメージできるように、積み木やブロックで遊んでいるときに伝えるなど…ぼんやりでもいいので、「かけ算ってどういうことか」が子どもなりに理解できるとよいと思います。

数をしっかり理解できたら簡単なプリント学習も

数字や計算のドリルなどもやらせたほうがいいですか?

おやこのくふう編集部 編集部

20までの数字は書けるようになることは必要なので、書く練習としては取り組みたいですね。そういう意味でも簡単なプリントには取り組めたらよいなと思っています。

ただ、一般的なドリルに取り組むと、暗記のようにゴリゴリと計算をさせることになってしまいがちなので、あくまで原理原則を理解してからでよいと思います。

よく計算ドリルはできるけど、文章題ができないお子さんもいます。それは数のイメージがしっかりできていないからなんですね。
物が増えていく、減っていくという物の動きのイメージを頭の中でしっかり持てたうえでのプリント学習はぜひ推奨したいです。

入学前の算数のべんきょうのポイント

  • 数の概念をきちんと理解できるようにすることが一番
  • 量感を持てること、十進法が理解できることを目標に
  • 九九の暗記は無意識のうちに覚えやすい幼児期がオススメ
  • プリント学習はしっかり数が理解できてから

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次回は、具体的に数の概念の教え方についてお伺いしていきます。

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お話を伺った方

家庭教育アドバイザー TERU

幼児教育の講師。 1000人以上の子どもたちと関わってきた経験をもとに、0~12歳の保護者向けに知育、育脳、子どもとの接し方など家庭教育情報を発信している。登録者8万人超のYouTubeでは"子どもを成長させる"実践的な子育て動画を配信中。
YouTube:子育て勉強会 TERU channel
Twitter:@TERUkyoiku
Instagram:teru_kyoiku

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執筆者

ライター 赤司 陽子

大学卒業後、製薬会社での勤務を経て、大手教育関連企業に転職。約10年間幼児教育・小学生教育事業に携わる。その後夫の海外赴任に随行し、アメリカで出産・育児を経験。多様な価値観に触れる。帰国後、フリーのプランナー・エディター・ライターとして活動中。現在、5歳女子・3歳男子の年子育児に奮闘中。

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