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管理栄養士が教える・幼児食と食育のきほん

幼児期に多い悩み「便秘」をやっつけろ!今日から始める【食物繊維】をきちんととる食習慣

幼児期に多い悩み「便秘」をやっつけろ!今日から始める【食物繊維】をきちんととる食習慣
【管理栄養士が解説】幼児期の悩みで意外に多い「便秘」。子どもの頃の便秘は、ほおっておくと習慣化し、大人になっても便秘に悩まされてしまうことも。食事で便秘を解消するには食物繊維をしっかり摂ることが重要です。今回はそんな食物繊維と幼児の食習慣の関係について管理栄養士の尾花友理さんが解説します。
目次

「食物繊維」について正しく理解していますか?子どもに必要不可欠な理由とは?

食物繊維とは、体で消化吸収されずに大腸まで届く栄養素です。体に吸収されないからといって、必要ないというわけではありません。

食物繊維には水に溶けない不溶性食物繊維(ふようせいしょくもつせんい)と、水に溶ける性質を持つ水溶性食物繊維(すいようせいしょくもつせんい)の2種類があります。それぞれの特徴を詳しくみてみましょう。

不溶性食物繊維

ポソポソした、筋っぽい、ザラザラした食感のものが多いのが特徴です。胃、腸内で水分を吸って膨らみます。腸の蠕動(ぜんどう)運動を活発にし、便通を促します。歯ごたえが良い食材が多いため、しっかり噛む必要があるため、咀嚼力をつけることができます。 不溶性食物繊維を多く含む食品には以下のようなものがあります。

  • 穀類(米、小麦、オーツ麦)
  • 野菜類(ごぼう、れんこん)
  • 豆類(大豆、グリーンピース)
  • 果物類(アボカド、バナナ、いちご)
  • きのこ類(しいたけ、しめじ)
  • 芋類(さつま芋)
  • 甲殻類の殻(えび、カニの殻)
  • 水溶性食物繊維

    水に溶けると、ドロドロ、ぬるぬるした形状になります。善玉菌のえさになって、腸内環境を整えます。腸には免疫細胞が多く存在するため、腸内環境が整うことで、いま注目の免疫力のアップにも繋がります。また、水溶性食物繊維には腸には便の水分を保ち、排出しやすくし、便秘を解消する効果も期待できます。水溶性食物繊維を多く含む食品には以下のようなものがあります。

    • 穀類(大麦、ライ麦)
    • 海藻類(昆布、わかめ、もずく)
    • 果物類(プルーン、りんご)
    • きのこ類(しいたけ、しめじ)
    • 【2020年に摂取量改訂】幼児期から食物繊維を上手にとり入れる3つのコツ

      じつは、食物繊維は厚生労働省が定める食事摂取基準2015年版では 5歳までは食物繊維の目標摂取量の設定がなく、6歳以上から設定されていました。しかし、2020年版では3歳以上から目標量が設定される変更がありました。

      これは幼児期の食習慣が大人になっても影響を及ぼすことを考慮してのこと。子どもの時期からしっかり食物繊維を摂る習慣を身につけることが重要ということを示しています。

      3歳から5歳の不溶性食物繊維、水溶性食物繊維を合わせた食物繊維の摂取目標量は男女ともに1日に8g以上とされています。

      たとえばレタスで8gの食物繊維を摂ろうと思ったら、なんと3玉以上食べなくてはいけません。

      そのため、1日のうちで上手に食物繊維をとり入れるにはいくつかのポイントがあります。

      1.野菜は加熱して

      生でレタスを3玉以上食べるのはとても無理ですよね。野菜は茹でる、炒めるなど加熱してかさを減らせばたっぷり食べることができます。

      2.和食を中心の献立にする

      洋食に比べ、和食の献立は根菜類や豆類、海藻類などを摂り入れやすいため、まずは和食中心の食事を心がけてみるだけで、食物繊維を多く摂ることができます。冷蔵庫にある野菜を色々入れて味噌汁にすると子どもが食べやすいですよ。

      おやつでコツコツ摂取

      おやつに焼き芋を食べたり、バナナやりんごなどの果物をとり入れたりしてみましょう。芋やりんごはよく洗って皮ごと食べると、皮に含まれる食物繊維も隈なくとることができます。きなこやあんこを使った和菓子も食物繊維摂取に最適です。

      ちなみに野菜ジュースで食物繊維がとれるのかという質問をよく受けます。販売されている野菜ジュースの多くは、不溶性食物繊維は「搾りかす」として取り除かれてしまい、残念ながら含まれていません。ただし、水に溶ける性質の水溶性食物繊維は野菜ジュースに残っているので、食物繊維がまったく含まれていないわけではありませんので、飲まないよりは飲むほうがよいでしょう。

      いっぽう、家庭で野菜や果物をミキサーにかけて作る自家製野菜ジュースであれば、不溶性食物繊維、水溶性食物繊維の両方をしっかり摂ることができるます。ですから、野菜は食べないけどジュースなら飲めるという子には、自家製野菜ジュースを取り入れてみるのはいかがでしょうか。

      幼児に多い悩み「便秘」を解消するためのひと工夫

      食物繊維を摂ること以外にも、便秘を解消するためにできることがあります。

      水分をしっかりとる

      便が硬いとなかなか出にくいもの。水分をしっかりとることで柔らかくスムーズに出やすい便を作ります。

      規則正しい生活を

      なるべく同じ時間に食事をし、就寝、起床することで、便意をコントロールしている自律神経のバランスを整えます。

      朝食を食べる習慣をつける

      朝食を食べることで胃腸をしっかり目覚めさせ、働きを促します。

      トイレに行く習慣をつける

      便意がなくても、例えば朝ごはんを食べた後など、決まった時間にトイレに入ることで排便の習慣をつけることができます。

      運動する

      なかなか外で遊ぶことが難しいこの時期。運動が不足していませんか?運動することで腸の働きを促します。

      幼児期から食物繊維を摂る習慣を身につけることが大切です。毎日少しずつ意識することから始めてみましょう。

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執筆者

管理栄養士・料理研究家 尾花 友理

給食委託会社において産業給食、保育園給食などの献立作成及び給食管理、栄養相談などを経験。料理研究家のアシスタントを経て、大手レシピサイト運営会社にてレシピ開発や動画撮影に従事後、独立。管理栄養士としての豊富な知識とリアルな生活者の気持ちや暮らしに寄り添った、取り入れやすい栄養アドバイスやレシピに定評がある。

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