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【管理栄養士が解説】食中毒になりやすいお弁当はコレ!ちくわきゅうり、ポテサラ、レタスの彩り…やりがちNGを徹底解説

【管理栄養士が解説】食中毒になりやすいお弁当はコレ!ちくわきゅうり、ポテサラ、レタスの彩り…やりがちNGを徹底解説
梅雨から夏にかけてはとくにお弁当の食中毒対策に気を配りたい時期。お弁当の定番のおかずが傷みやすく危険をはらんでいることも!知っておきたい衛生ルールを管理栄養士の尾花友理さんに解説していただきます。
目次

毎日のお弁当作り。「暑くなるしこれからの季節は傷まないように気をつけないと…」と感じている方も多いと思います。でも具体的にどんなことに気をつければいいかといわれると、なかなかむずかしいですよね。

「見栄えも良くて、子どもが食べやすく、冷めてもおいしいお弁当にしたい!」そんな思いから、ついつい入れがちなNGおかずを具体的にあげて解説します。

まずはおさらい!「お弁当衛生の基本」

食中毒ときくとお店や給食を提供する施設などで起きる話…と思う人も多いかもしれませんが、じつは家庭で起こる食中毒の件数がもっとも多いんです。気温が25℃を超えて湿度も高くなる6月〜9月はかなり注意が必要です。

とくに調理してから食べるまでの時間があくお弁当は、気をつけないと菌が繁殖して食中毒を引き起こします。まずは食中毒対策の三大基本ルールをおさらいしましょう。

1.菌を付けない

調理の前にしっかり石鹸で手洗いをする。肉や魚を切ったまな板や包丁で野菜を切らないおかずを手でさわらないなど、まずは食材に細菌をつけないことがもっとも大事です。

加熱後に手で触らなくてはできないおかずのデコなども注意が必要です。

忙しい朝ですが、「ついつい…」ということがないように改めて意識しましょう。

2.菌を殺す

食中毒の原因になる細菌のほとんどは「75℃で1分の加熱」で死滅します。とはいえ、温度を計ることはできないので、いつもの料理よりもしっかり加熱するように心がけましょう。

肉や魚はみなさん比較的しっかり火を通すように気をつけていると思いますが、やりがちなのが半熟のゆで卵。卵もサルモネラ菌という食中毒の原因菌が潜んでいる場合があるので、お弁当に入れる場合はしっかり固ゆでにしましょう。

3.菌を増やさない

細菌は"じめじめしていてぬくぬくした環境"が大好き。じめじめ(湿度が高い)、ぬくぬく(温度が高い)の環境を作らないようにすることが大切です。

湿度が上がらないように時間が経つと水けの出やすいおかずは避ける、また温度があがらないよう、しっかり冷ましてからお弁当箱に詰める、持ち運び、保管はできるだけ保冷バッグや保冷剤を活用するようにしましょう。

食後のデザートの果物も水けが出やすいので、おかずと一緒のお弁当箱に詰めるのは避けたいですね。

これはNG!入れがちお弁当おかず

それでは、どんなお弁当が実際にNGなのかを具体例とともに詳しく見てみましょう。

1.ヘタつきミニトマト/カットしたトマト

すき間を埋めるのにも便利なミニトマト。赤い実と緑のヘタでお弁当に彩りを与えてくれますね。でもじつはヘタ付きミニトマトをそのまま入れるのはNGです。ヘタには洗っても菌が付着していることがあり、その菌が繁殖して食中毒を起こす可能性があります。お弁当に入れるときは必ずヘタをとって水洗いし、水けをしっかり切ってから入れましょう。

またトマトは切ると切り口から水分が出やすいので、切らずにそのまま入れるようにしましょう。しかし4歳ごろまでの幼児だと、丸ごとミニトマトを飲み込んでしまうことで窒息事故が起こる危険も…。そんな理由から4歳頃までのお弁当にはミニトマトは避けるのが安心です。

2.レタスをおかずの仕切りに使う

時間が経つとほかのおかずの塩分で水分が出てべちゃっとなってしまいがちな生野菜は、お弁当にはNGです。

リーフレタスなどの葉物野菜でお弁当の彩りやおかずの仕切りにしている写真をよく見かけますが、細菌が増えやすい環境を自ら作っているようなもの。

「緑の仕切りがあるといいな」と思ったら、100円ショップなどで購入できる仕切りやシリコンカップなどを活用するのがおすすめです。

3.ちくわきゅうり(要冷蔵の魚肉加工品・食肉加工品を加熱なしで入れる)

子どものころのお弁当の定番おかずだったという方も多いかもしれませんが、ちくわの穴にきゅうりを入れた"ちくわきゅうり"も残念ながらNGです。

きゅうりはレタスと同じ理由で生野菜なのでお弁当には避けるべきです。そして意外かもしれませんが、ちくわもそのまま入れるのは避けて。

ちくわをはじめとする、かに風味かまぼこやはんぺんなど魚肉加工品や、ハム、ウインナーなど食肉加工品。考えてみたらスーパーで要冷蔵のコーナーで販売されていますよね。もちろん自宅でも冷蔵庫に保管しているはず。「要冷蔵の食材は暑い日に長時間常温で持ち歩いてはだめ」と言われればわかりやすいかもしれませんね。

魚肉加工品や食肉加工品をお弁当に使う場合は、焼く、煮る、揚げるなどしっかり加熱をしてから入れるようにしましょう。

4.おかずのっけ弁・煮汁のある煮物

ご飯の上におかずをのせたのっけ弁当やどんぶり弁当、仕切りをせずにおかず詰め込んだぎゅうぎゅう弁当も注意!

おかず同士が接触すると菌が繁殖しやすくなってしまったり、時間が経って水分が出やすくなってしまうため、ご飯の上におかずをのせたり、仕切りをせずに詰め込むのは避けましょう。

おかずは煮る、茹でる、浸すなど水分の多い調理法はなるべく避け、焼く、揚げるなど水分の出にくい調理法を選ぶようにするとより安心です。

5.ポテトサラダなどマヨネーズ和えのサラダ

子どもが好きなマヨネーズ。野菜を取り入れるために、マヨネーズで和えたポテトサラダやマカロニサラダをお弁当に入れている方も多いのではないでしょうか。

マヨネーズのパッケージを見ると、開封後は要冷蔵で保存となっています。つまり和えてサラダにしたら要冷蔵なので、お弁当に入れるのはNGです。

サラダに限らず、サンドイッチにマヨネーズをぬってレタスやきゅうりとハムをはさむ、ゆでブロッコリーにマヨネーズを付けて入れるというのも、おいしいけれど衛生面ではNGです。気をつけましょう。

***

これから暑さが本格化してきます。食中毒の予防の第一歩はちょっと気をつけようと意識することから。忙しい朝のお弁当作りは大変ですが、ぜひ参考にしてみてください。

お弁当の衛生対策の基本はこちらもチェック!
⇒【幼児は食中毒リスク高!】いたみにくいお弁当を作るには?いますぐ知りたい「7つのお弁当衛生ルール」

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執筆者

管理栄養士・料理研究家 尾花 友理

給食委託会社において産業給食、保育園給食などの献立作成及び給食管理、栄養相談などを経験。料理研究家のアシスタントを経て、大手レシピサイト運営会社にてレシピ開発や動画撮影に従事後、独立。管理栄養士としての豊富な知識とリアルな生活者の気持ちや暮らしに寄り添った、取り入れやすい栄養アドバイスやレシピに定評がある。

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