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人気教育YouTuber直伝【子どものやる気引き出し術】大公開!子どもが前のめりでノッてくる極意とは

人気教育YouTuber直伝【子どものやる気引き出し術】大公開!子どもが前のめりでノッてくる極意とは
人気教育系YouTuberの葉一(はいち)さんと教育方法学の研究家・中山芳一先生のコラボ連載。今回は子どもをうまくやる気にさせて、楽しく勉強の基礎力を付けるやりとりについて紹介します。
目次

YouTubeチャンネル「とある男が授業をしてみた」の登録者数136万人!
授業形式のわかりやすい学習動画で中高生に絶大な人気を誇る葉一さんをご存じの方も多いかもしれませんね。人気YouTuberの彼は、小学1年生と年少の2人の息子さんを育てるパパでもあります。ふだん実践している"シンプル子育て"には、葉一さん流の子育てのポイントがたくさん!

今回は「学びの基礎力を楽しく子どもに身につけさせる方法」について。
親は楽しげにクイズっぽく計算などの問題を出しているつもりでも、子どもに「もういい」なんて言われて続かなくなってしまった経験、意外に多いのではないでしょうか?そうしたやり方にも、じつは親のちょっとした戦略が必要なようです。

お風呂での数字ゲームで計算の基礎力をつける

はじめまして!葉一(はいち)と申します!

葉一さん 葉一

長男が4歳の時の話です。当時の彼はプラレールにどハマりしていました。

そこである日、一緒にお風呂に入っているときに「○○がプラレールを2つもってます。パパが1つもってます。全部で何個のプラレールがあるでしょう」という問いかけをしました。

初日は指で数えながら「3!」と元気よく答えていたのを今でも鮮明に覚えています。その答えに「えっ!?できちゃった!!すごいな!!」みたいにややオーバーにほめを伝えて、すかさずもう1問いきます。これも正解。
この2問を終えたとき、私は意図的にそこで数字ゲームを終わりにしようとします。

そこで息子からこう言われました。
「パパ!もう1回出して!もっと難しくてもいいよ!!」
私は内心で「しめしめ…」とガッツポーズをしていました。というのも、このもう1問をねだってくる状況は私がねらっていたところだからです。

このスタートさえ切れれば、あとはそれを習慣化するだけで、子どもから「数字のゲームやろう」と言ってきてくれるようになります。

教育においても子育てにおいても"最初"というのはものすごく大切です。
もし、この数字ゲームについても、初日に「楽しくない」と思わせてしまったら、そこから大逆転するのは至難の技です。なので、このゲームをスタートするときはそれなりに神経を使いました。

前述の問いかけも、ただの思いつきではなくて、以下のようにいくつかのねらいが入っています。ぜひ、みなさんも日々の親子のコミュニケーションにおいて参考にしてみてくださいね。

子どもをうまく学びに誘う 葉一流・2つのポイント

1.子どもが好きなものの方が想像しやすい

幼児向けのドリルなどを見ると、こういった計算問題では果物だったり動物だったりが使われることが多いですよね。しかし、子どもからしたら「りんごが3個ありました」と言われても「ふーん」としかなりません。
ですが、自分の大好きなプラレールという言葉が出てきただけで「えっ!なになに?」と興味が湧きますし、頭の中で想像したくなります

2.余計な感情が出てこないようにする

息子への問いかけで、「息子が2つ、パパが1つ」という数の配分にしていたのですが、ここにもねらいがあります。

例えば、この数が「パパが2つ、息子が1つ」のように逆だとします。これをすると、うちの息子は「パパの方が多くてずるい」と思う可能性がありました。もちろん、そのような問いかけにしても指を数えれば答えは導けます。ただ、こういった余計な感情が出てしまうと「もう1回やろう」につながる可能性が下がってしまうわけです。

また細かいところですが、登場人物が出る順番を息子をあえて先にしました。自分がプラレールを持っている姿の方が想像しやすいですし、「パパが先なのー?」という余計な感情のリスクを下げることがねらいです。

"ねらいと配慮をもって"確実に働きかけるからこそ効果がある!

教育方法学の専門家・中山芳一先生より

葉一さんによるシンプル子育ての実践例、第1弾はいかがでしたか?お金をかけずにねらいをつけることの大切さを教えてもらえたように思います。

ところで、みなさんはAIDA理論というのをご存知ですか?
お客様の注意を引いて(Attention)、関心(Interest)を持たせ、欲求(Desire)から購入という行動(Action)へつなげていくというマーケティング理論です。

葉一さんは、まさにこの理論と同じことをされたのではないでしょうか。わが子だからと安易に言うことを聞かせようとするのではなく、むしろお客様に商品を買ってもらうかのようにねらいと配慮をもって働きかける。これは学習面だけでなくても、様々な子育ての場面で生かせそうです。

また、お風呂という環境も上手に使っていますよね。お互いの距離が近く、あまりメディアに囲まれていない手持ち無沙汰な状況、さらに一定時間は湯船につかっているという環境が、ますますこのような働きかけをやりやすくしているように思います。

ちなみに、私も早速6歳の息子にやってみたところ…大成功でした!!

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監修者

岡山大学准教授 中山 芳一

1976年岡山県生まれ。岡山大学 全学教育・学生支援機構准教授。専門は教育方法学。大学生のためのキャリア教育に取り組むとともに、幼児から小中高学生の各世代の子どもたちが非認知的能力やメタ認知能力を向上できるように尽力している。9年間没頭した学童保育現場での実践経験から、「実践ありき」の研究をモットーにしている。『家庭、学校、職場で生かせる!自分と相手の非認知能力を伸ばすコツ』『学力テストで測れない非認知能力が子どもを伸ばす』(ともに東京書籍)ほか著書多数。最新刊は監修をつとめた『非認知能力を伸ばすおうちモンテッソーリ77のメニュー』(東京書籍)。

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執筆者

教育YouTuber 葉一

1985年、福岡県生まれ。東京学芸大学卒業後、教材販売会社勤務、学習塾講師を経て、2012年から小学校3年生から高校生向けの学習動画を配信。経済的事情から望む教育が受けられない教育格差の解消を目指す。最新刊に『塾へ行かなくても成績が超アップ!自宅学習の強化書』(フォレスト出版)。2男の父。
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