連載
子育て先進国スウェーデンに学ぶコミュニケーション術

「これってバグかも?」着替えや食事シーンで学ぶ【プログラミング教育】!体験学習こそ子どもの最高の武器に

「これってバグかも?」着替えや食事シーンで学ぶ【プログラミング教育】!体験学習こそ子どもの最高の武器に
子育てしやすい国・スウェーデンの教育に子育てのヒントを学ぶこの連載。今回のテーマは「体験学習」。たとえば日本でも関心の高いプログラミング教育でも、幼児が身近なことからその考え方を理解できる学びが取り入れられているといいます。
目次

前回の「ちょっと待って!『よかれと思って…』のあなたの手出し・口出しがわが子の自信と成長を奪っているかも!!」の記事では、子どもを「できる」フィルターで見守ることの大切さについて考えました。

「できる」フィルターで見守るときには、体験を通した学びを大切にします。頭を使うだけでなく五感をしっかり使うことで、新しくインプットした情報について体験を通して知識や経験として定着させることができるからです。
それだけではなく、知識を必要とする具体的な場面に直面することで、知識の使い方を同時に体感できます。

子どもの頃に「どうしてこんなことを学んでいるんだろう?」と思ったことはありませんか?そういったことにならないためにも大切にしたい学習方法です。

生活の中で楽しくプログラミングの考え方を学ぶ!

スウェーデンの就学前教育においてはデジタル化が教育要領に追加され、プログラミング学習などが取り上げられるようになりました。ただし、実際にコーディングを教えるということではありません。

お着替えでバグが起こる!?

例えばプログラミングに関連する考え方を着替えの機会を使って学習します。
冬の時期外で遊ぶとなると、ジャンプスーツにニット帽、ミトンに長靴、寒くならないよう着るものがたくさんあります。これをきちんと順番通りに着ないとミトンを付けた手で靴紐を結ぶことになったり、長靴が大きくてジャンプスーツを着られなくなったりしてしまいます。これがパソコンなどで起きると”バグ”っていうよ、と新しい単語とその概念を紹介します。

ロボットになった先生にごはんを食べられるよう指示を出そう!

子どもたちに人気なのは先生がロボットになってしまった、というゲームです。ロボットになってしまった先生にお昼ご飯を食べさせる、というミッション。
「食べて」と命令しても動いてくれません。だんだん「右手をあげて」や「スプーンを握って」と細かい指示が出せるようになっていくうちに、プログラミングとはこうして的確な指示を出すものだと理解できるようになるのです。

体験学習というと何か大がかりなことのように感じますが、このように、実はとても簡単に実践することができます。ご家庭であれば、ミッションカードのようなものを作って、アクティビティにするのもいいかなと思います。
大人が一方的に教えるとき、最初はそこに主体性がありません。こうして何かを具体的に解決しようとすることで、そこに主体性を生みやすくなると考えています。

スウェーデンの就学前教育では、「Medupptäcka(メェドウップテッカ)」という言葉がしばしば使われます。これは「共に発見する」という意味です。先生が答えを知っていてそこまでの道筋を決めて誘導するのではなく、疑問を投げかけ、子ども達が自ら仮定できるようにして、それを実際に取り組む…というプロセスを大切にしています。

お子さんがどんな道筋をたどっていくのかわくわくしながら一緒に「答え」を発見していただけたらと思います。

教育方法学の専門家・中山芳一先生のひとことメモ

体験しながら学ぶ…とても興味深かったですね。教育や学習の本質に通じるものだったと思います。つまり、体験から経験、そして学びに変えていくことが大切なのです。

もちろん、自分が体験していないことも想像力でカバーできるのが人間です。しかし、とりわけ抽象的な思考が難しい幼児期の子どもたちには、何よりも体験から学ぶことは必要不可欠だといえるでしょう。

それでは、私たち大人・親はそのために何ができるのでしょうか? 田中さんのレポートからおさらいしてみましょう。

"やり方"ではなく"考え方"を体験から学ぶ

まず大切なのは、方法ではなく考え方を体験から学ぶということでしょうか。
プログラミングについても方法が重要視されていませんでした。そうではなく、プログラミングとは実際にどういうことで、そのために何が必要なのかをスウェーデンの子どもたちは体験していましたよね。子どもたちに体験しながら学んでほしいことは、決して方法(やり方)ではないのです。

子ども主体で大人も一緒に体験する

そして、上から教えるのではなく、真横で、もしくは斜め上ぐらいから一緒に発見しようとするという大人の立ち位置ですね。
子どもの体験は、あくまでも子どもが主体です。そのため、大人が上から教えると子どもは教えられる客体になってしまいます。だから、大人も真横で一緒に体験すればよいのです。もしくは、安全を守るために少しだけ斜め上にいればよいのです。

子どもが体験しながら学ぶためには、じつは大人の立ち位置がとても重要であることがわかりました。
みなさんもぜひお子さんを体験から学べるように、いや…お子さんとみなさんが一緒に体験しながら学んでいってください。

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監修者

岡山大学准教授 中山 芳一

1976年岡山県生まれ。岡山大学 全学教育・学生支援機構准教授。専門は教育方法学。大学生のためのキャリア教育に取り組むとともに、幼児から小中高学生の各世代の子どもたちが非認知的能力やメタ認知能力を向上できるように尽力している。9年間没頭した学童保育現場での実践経験から、「実践ありき」の研究をモットーにしている。『家庭、学校、職場で生かせる!自分と相手の非認知能力を伸ばすコツ』『学力テストで測れない非認知能力が子どもを伸ばす』(ともに東京書籍)ほか著書多数。最新刊は監修をつとめた『非認知能力を伸ばすおうちモンテッソーリ77のメニュー』(東京書籍)。

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執筆者

スウェーデン就学前学校Guldklimpar COO 田中 麻衣

福岡県生まれ。大阪大学外国語学部卒。高校と大学で1年ずつのスウェーデン留学を経て2012年に移住。スウェーデン学童保育の再建をきっかけに、スウェーデンの学校運営に携わるようになる。ストックホルム大学にて校長資格取得。教頭、校長職を経て、現在は幼稚園運営及び特別支援教育専門のコンサル企業に所属し、各地現場の環境・内容・方法等のマネジメント及び人材育成に携わっている。

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