【小児歯科医に聞く】全国6万件以上ある歯科医院の中から子どもにとっていい歯医者さんを見つけ出すポイントってあるの?

【小児歯科医に聞く】全国6万件以上ある歯科医院の中から子どもにとっていい歯医者さんを見つけ出すポイントってあるの?
かかりつけの歯科医を持つ時期でもある3〜6歳の時期。たくさんある歯科医院の中から、子どもに合った歯科医の選び方を小児歯科専門医でキッズデンタル代表の坂部潤先生に教えてもらいました。
目次

小児歯科専門のクリニック・キッズデンタルを運営する坂部潤先生に子どもの歯のケアについて聞く連載。

虫歯の多発時期なうえに、歯の生え変わりが起きる3〜6歳ごろはかかりつけの歯科医院を持っておきたい時期といいます。 でも、日本にある歯科医院は6万件以上。その数はなんとコンビニよりも多いって知っていましたか?

たくさんある歯科医院の中から、子どもに合った先生やクリニックにめぐり会うために、どんな視点でかかりつけ医を探せばよいのか、坂部先生に教えてもらいました。

小児歯科の専門医はかなり少ない

子どもの歯医者さんという意味では先生のような小児歯科専門医を探すのが良いのでしょうか?

おやこのくふう編集部 編集部

子どものかかりつけ歯科医を探すうえでまずポイントになるのは、小児歯科学会に認められた小児歯科専門医を取得している先生です。
でも小児歯科専門医は全国で約1200人しかいません。大学病院など、初診でかからない病院で働く人を除けば、1000人にも満たないのではないでしょうか。

歯科クリニックは通いやすい場所であることも重要ですから、小児歯科専門医をかかりつけ医にできる子どもは一部に限られてしまうのが現実です。

標榜する診療科をチェック

専門医の先生が難しいとなると、どうやって探せばいいでしょう?

おやこのくふう編集部 編集部

続いて気にしてほしいのは、そのクリニックの先生が標榜している診療科です。歯科医は「歯科・矯正歯科・小児歯科」など、標榜できる診療科が法律で決まっていますが、その中でどれを標榜するのかは各医師に委ねられています。

つまり標榜する診療科=その先生が診たいと思っている診療科なので、小児歯科をうたっている先生は、子どもを診る意思があると判断して良いと思います。

技術の良し悪しよりも分かりやすさ

先生の技術の上手い・下手の見分け方ってあるんでしょうか?

おやこのくふう編集部 編集部

実際のところ、良し悪しはあるとは思いますが、患者さんが見極めることは難しいですよね。ただ少なくとも一定の勉強を経て歯科医師免許を取得しているので、ある程度は同じだと考えても良いと思います。

それよりも子どもを診てもらう場合には、予防や治療について分かりやすく説明してくれるのか、歯医者を嫌いにならないように対応できているか…などを判断するほうが良いでしょう。

先生や歯科衛生士さんの対応でわかることはありますか?

おやこのくふう編集部 編集部

虫歯の有無などの医学的判断は、法律上歯科医がすることになっています。歯磨き指導など、診療以外のことであれば問題ありませんが、最後のチェックは歯科医がするというのを知っておくといいかもしれません。

診察のあとのご褒美には意味があった!

子ども向けの歯医者ではご褒美目当てにしている子もいますよね?

おやこのくふう編集部 編集部

治療や検診のあとにガチャガチャが回せたり、くじがひけたりとご褒美をあげる歯科医院は多いですね。 マーケティング的な意味合いももちろんありますが、実はご褒美をあげるのは「トークンエコノミー法」といって、心理学の行動療法としても有効なんです。

頑張ったら良いこと(=ご褒美)があるという体験が積み重なり、子どもが「また通いたい」と思ってくれるので、スムーズな処置が行えたり虫歯予防にも有効です。この方法は歯科医の教科書にも出ているぐらいなんですよ。

口コミも大切だけど自分の目で確かめて!

子どもの場合、ママ同士の口コミも重視しますよね。

おやこのくふう編集部 編集部

歯科医院は、地域に根差していることがほとんどなので口コミは重要です。ただ、個々のニーズは違うということを忘れないでほしいと思います。例えば「予約が取りやすい」というニーズを満たすクリニックであっても、違う目でみれば「人気がない」ということもいえます。

クリニックの様子からわかるポイントはありますか?

おやこのくふう編集部 編集部

個室がいいのか見通しがいい環境がいいのか…というのも歯科医によって考えはさまざまです。
個室で人に見られたくないとか、矯正などお金の話をするのにプライバシーが守られるという患者さんは多いですが、見通しがいいほうが安全性は高いですよね。

また3歳以上になると子ども1人で治療を受けるのか、親も一緒に診療室に入るのか、というのも大きなポイントです。子どもの自立のために1人で入らせるというパターンもありますが、診療後に「どんなことをしたの?」と聞いても答えられないとか、麻酔の有無もわからないのはNGです。

合わなければ変えてもOK

転院したい時にはカルテの共有など、何か手続きが必要なのでしょうか?

おやこのくふう編集部 編集部

矯正の途中などよほどの事情がない限りは通っていた前のクリニックからの情報は不要です。また歯科医院の間でカルテを共有するシステムなどはないので、以前にどこのクリニックに通っていたかという情報も共有されません。

少なくとも私の場合は、転院してしまう患者さんもいればほかのクリニックから来る患者さんもいますし、よくあることなので合わなければ転院を考えていいと思います。

虫歯で治療が必要になると変えにくいですから、そうなる前に子どもに合ったかかりつけ医を探しておきたいですね。例えば3ヶ月に1回、検診目的でいくつか気になるクリニックに行ってみて合うところを探すのも手だと思います。

***

自身のクリニックを立ち上げるときには、ベビーカーでの入りやすさなどアクセスも重視するという坂部先生。物理的にも気持ちの上でも通いやすい歯医者さんを見つけて、おやこで虫歯予防を無理なく続けていきたいですね。

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お話を伺った方

小児医療専門医 キッズデンタル代表 坂部 潤

元米国UCLA小児矯正歯科客員研究員、日本大学歯学部小児歯科学教室非常勤講師、日本小児歯科学会認定小児歯科専門医、歯学博士(小児歯科学)
目黒・成城・麻布十番・代々木上原に小児歯科専門医院キッズデンタルを運営。大学病院での小児歯科専門医療の実践や米国UCLA小児矯正科への留学経験を生かし、虫歯治療や矯正だけにとどまらず、低月齢からの継続的な管理によって、子どもの健全な成長発育を促すクリニックを目指しています。プライベートでは4児のパパでもあります。
キッズデンタル

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