連載
「本当に頭のよい子」が育つおうち空間の作り方

頭のよい子を育てるには、どうして「リビングで学習」が大切なの?

頭のよい子を育てるには、どうして「リビングで学習」が大切なの?
著書に「頭のよい子が育つ家」(文春文庫)のある四十万靖さんによる、幼児期にしっかりと取り組みたい、「本当に頭のよい子」が育つためのおうち空間の作り方に関する連載です。3回目の今回は子ども部屋について。リビング学習という言葉が注目されているいま、子どもの部屋をどう作るか、お話を伺いました。
目次

頭のよい子に育てるには、その子が長時間を過ごす「おうち空間」に秘密があると語るのは、著書に『頭のよい子が育つ家』(文春文庫)のある四十万靖さん。その頭のよい子とは、「インタラクティブコミュニケーションスキル(ICS)」のある子です。今回はみんなが気になっている子ども部屋についてお話を伺いました。

どんな場所でも集中できるのが子ども、ということを忘れない

子どもがちゃんと勉強に向き合えるように、独立した子ども部屋を用意しなければ…そう考えているおうちの方は、いまもまだ多いですよね。

ですが、夢中になってお絵かきをしている、ミニカーと遊びながら自分の世界に入っている。そんな子どもの姿をよく見ませんか? 

子どもというのは、どんな環境にいても、いざ集中するときにはぐっと集中できる性質があります。むしろ集中するためには、適度な雑音や気配が必要であるといってもよいかもしれません。

ですから、子どもが勉強する部屋を独立させる必要はまったくないといえるでしょう。

むしろ、リビングやダイニングで勉強しながら、今日園や学校であった出来事をお父さんやお母さんに伝えようと努力する、学んだことを一生懸命説明しようとする。お父さん、お母さんはそれを一生懸命理解しようとする。そうした濃密なコミュニケーションをとれるかどうかが、「頭のよい子」が育つ前提条件となります。

となると、勉強のためとはいえ、子どもを子ども部屋で一人にしてしまうのは家族の大切なコミュニケーションの機会を奪うことになってしまうのです。

リビングで学習することで、子どもはコミュニケーション能力を高めることができる

つまり、頭のよい子が育つ家とは、子どもが親兄弟とコミュニケーションを自然にとれる家、ひとりぼっちで孤立しない家ということになります。

勉強しているとき、親がなんとなく見ている、見られている。そんな存在を感じることで、子どもは安心して物事に取り組むことができるのです。

また、勉強やお絵かきなどの作業スペースは一つである必要はありません。むしろ、家中のさまざまなところで勉強できるといいかもしれませんね。

折り畳み式の簡便な机などを用意して、子どもの気分のおもむくまま、好きなところで勉強や遊びをさせてあげましょう。ベランダや庭で勉強するのもきっと楽しいでしょう。

その場所が気に入らなかったり飽きたりしたら、またどこかを探して気に入ったところに移ればいいのです。自分の気に入った場所を自分で探して、勉強する。そうしたプロセスを通じて、子どもの考える力も確実に向上していくはずです。

そんな風に話すと、つねに親がリビングやダイニングにいない家庭はどうしたらいいのかという質問をよく受けます。

そこで前回話したような、家族の成長記録の象徴となる思い出のアイテムがカギとなるのです。

初めて離乳食を食べた食器や子どもが書いた絵、家族みんなで撮影した写真など…。家族の想い出のアイテムがリビングやダイニングにあることで、子どもはその場所で親に愛されているということを親がいなくても確認していきます。

コミュニケーションは会話だけではありません。そうした物や空間を通じてのコミュニケーションを、リビングやダイニングなら感じ取ることができるのです。

子どもを積極的に招き入れてほしいのがキッチン

もう一つ、幼児期の子どもにとって、家の中でとても大切な場所があります。それがキッチンです。 どちらかというと、親にとって最も入ってきてほしくない家の場所がキッチンですよね。包丁がある、火がある、せまい、物が多い…。

だからこそ、子どもは五感をフルに働かせて、キッチンでたくさんのことを感じ、まなぶのです。

例えば、「火」。火は触ればやけどをし、扱いを間違えれば家が火事になる危険なものです。でも、肉を焼き、魚を焼き、おいしい料理を完成させるためには欠かせないもの。そんな風に物事にはいいところとわるいところの両方があるという「両面性」を学習するには、キッチンは最高の学びの場です。

毎日お母さんが(最近ではお父さんも)その場所でどんなことをしているのか、子どもはじっと観察します。これはなあに?いまどうしてかき混ぜたの?料理や家事を通して、親子のコミュニケーションはより濃密で深いものとなっていくのです。

いかがですか?こう考えると勉強部屋=子ども部屋というわけではないということがわかりますよね。子ども部屋は寝るための部屋という風に割り切ってもよいかもしれません。

子どもが多くの時間を過ごすのはリビングやダイニング。時にはお母さんがよくいるキッチンにも招き入れて。そんな風に家族の気配を感じながら、勉強をしていくことの安心感とコミュニケーションの積み重ねが、子どものICSを高め、ひいては頭のよい子に育っていくのです。

重要ポイント:家族の気配を感じながら、双方向コミュニケーションスキルを身につけるキッチン学習とリビング学習

子どもの成長とともにおうちの中でコミュニケーションをとる場所が変わっていくことを理解しましょう。
0~6歳:キッチン
7~12歳:リビング

12歳までに双方向コミュニケーション能力は約50%身につくと考えられています。

家族がいっしょにいる空間をマネジメントすることが子育てにいかに大切か伝わったでしょうか?次回はいよいよ最終回「頭のよい子が育つ家をどう作るか」についてお話します。

###頭のよい子に育つおうちを作りたいと考えている保護者の方へ ◆**四十万靖さんと建てる頭のよい子が育つ家**」
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