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「本当に頭のよい子」が育つおうち空間の作り方

【結論】「頭のよい子が育つ家」とは”家族同士のコミュニケーション”をもっとも大切にしている家のこと

【結論】「頭のよい子が育つ家」とは”家族同士のコミュニケーション”をもっとも大切にしている家のこと
著書に「頭のよい子が育つ家」(文春文庫)のある四十万靖さんによる、幼児期にしっかりと取り組みたい、「本当に頭のよい子」が育つためのおうち空間の作り方に関する連載です。4回目最終回の今回は「頭のよい子が育つ家をどう作るか」総論です。
目次

これまでの連載で、少しずつ本当に頭のよい子とは何か、おやこのコミュニケーションで大切なことは何か、子育ての中での空間マネジメントとは何かという話をしてきました。

子どもは、会話はもちろん、おうちの中に置かれたさまざまな記録のアイテム(記念の食器や靴、描いた絵や写真など)といった、言語的・非言語的な家族とのコミュニケーションを通して、たくさんの愛情を感じ、多くのことを学んでいくことがわかったと思います。

「書く」「描く」コミュニケーションを重視しよう

さて、コミュニケーションにおいては「話す」ことも大切ですが、より大切なのは「書く」「描く」ことです。

「書く」ということは、自分の考えを論理的にまとめなければ、人に理解されるレベルには達しません。話すことに比べると、書くことははるかに論理的思考を求められます。つまり、書くという行為を繰り返すことは、自分の考えを論理的にまとめあげ、それを人に伝えるのにぴったりの訓練になるのです。

「子どもはまだ小さいし、むずかしそう…」そんな声もよく聞かれますが、そんなにむずかしく考える必要はありません。おやこでお手紙交換するのもいいですし、目標や夢を子どもに書いてもらって壁に貼るのでもいいでしょう。お子さまが文字を少しずつ書けるようになったら少しずつ始めてみてはいかがでしょうか。

また子どもに自由に絵を描いてもらい、それを壁一面に貼るのも◎。子ども自身の感情や感動の発露・表現として絵を「描く」というのは情操教育上もとても重要な行為であり、コミュニケーション能力のひとつにもなります。

この「書く」「描く」という行為は、「見る」という行為を伴うことで、初めてコミュニケーションが完結します。そして「見る」という行為は、「自分で考える」力をつける上で非常に重要であり、「考える」という行為に直結していきます。

小さなころから「書く」「描く」ことが日常的に実践されていくことで、子どもたちは自ら考え、さらに自分の考えを論理的にまとめ人に伝える力を自ずと身に着けていくのです。

「本当に頭のよい子が育つ家」とは「家族同士のコミュニケーションを実現できる家」

こうしてみると、家族同士のコミュニケーションをどう実現できるかが、頭のよい子を育てる家を作るための重要なポイントになるわけです。

そのコミュニケーションの取り方には正解も、終わりもありません。家族同士がよりコミュニケーションをとるためにはどうしたらよいか、取り方や手段、方法をつねに模索し、おうち空間も子どもや家族の成長に合わせて変化させていくことが大切です。

家族が団らんできる空間=リビング、ダイニングで家族みんなが一緒にいる時間が長いような家であること。

子どもにとって勉強や遊びは誰にもじゃまされない隔絶された空間ではなく、家族の気配がつねに感じられ、そのため安心して勉強できる空間にすること。

お客様がきたときにはふすま一枚で仕切り、子どもも気を使いながらおもてなしの心を学んだり、ちゃぶ台で勉強しながら、ごはんができたら勉強道具を片付けお手伝いをする…。

目で、耳で、鼻で…つねに家族の気配を五感で感じることができるおうち空間のイメージは、風通しが良く、可変性の高い昔ながらの日本的家屋なのです。

家族にとって居心地のいい、そして話す、描く、書くというコミュニケーション、想い出のアイテムにあふれたそんな空間をどう作っていくか、それが「頭のよい子を育てていくためには、非常に重要になるというわけです。

不透明な未来を、積極的に切り開いていく力をつけるために

1回目「これからの時代の”本当に頭のよい子”ってどんな子?」では、頭のよい子とはインタラクティブコミュニケーションスキル(ICS)のある子だと話しました。

これからの未来は変化も激しく、そしてどんどん不透明になっていきます。 そんな中で、自らの五感を頼りに、さまざまな事象について課題を見つけ、問題を設定し、自らの意志で困難を乗り越えつつ、臨機応変に対応をしながら、未来を積極的に切り開いていく必要があります。

そんな未来を乗り切っていく力がICSです。そしてそのICSを身に着けるためには、五感を磨きながら、コミュニケーションを取りながら、自らも情報を発信していくトレーニングを日々行っていくことが必要となっていきます。

そのためには、子どもにとっては親子の、家族のコミュニケーションがカギとなります。

あなたの家では、家族のコミュニケーションが取りやすい空間になっていますか?

ぜひこれをきっかけに、おうち空間のあり方をいま一度見つめてみてくださいね。

頭のよい子に育つおうちを作りたいと考えている保護者の方へ

◆四十万靖さんと建てる頭のよい子が育つ家」

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お話を伺った方

一般社団法人 四十万未来研究所 代表理事 四十万靖(しじまやすし)

慶應義塾大学経済学部卒業後、伊藤忠商事入社。退社後、2003年、慶應義塾大学とのライセンス契約による、住宅の総合コンサルティングを行う、事業投資会社eco-s corporation設立を設立。2006年4月より慶應義塾大学SFC研究所所員 (訪問)として慶應義塾大学SIVアントレプレナー・ラボラトリ生活産業プロジェクト代表を兼任。2008年、eco-s corporationをスペース・オブ・ファイブ株式会社に社名変更。2014年、一般社団法人 四十万未来研究所を設立。著書に「頭のよい子が育つ家」(文春文庫)、「頭のよい子が育つ本棚」(学習研究社)、「頭のよい子の家にある『もの』」(講談社)など。http://shijima-mirai.or.jp/

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