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子どもの気になるアレコレ…保育士に聞きました!

【保育士が解説】画用紙を前に固まってしまう、うまく描けない…「絵を描くのが苦手なわが子」をどうサポートする?

【保育士が解説】画用紙を前に固まってしまう、うまく描けない…「絵を描くのが苦手なわが子」をどうサポートする?
行事後やプレゼント用など絵を描く機会が多い園や学校生活。でも中には「どう描いたらいいかわからない」という子も。そんな子どもには、どんな関わり方をすれば楽しめるのでしょうか?元保育士の炭本まみさんが解説します。
目次

幼稚園や保育園へ入園すると、イベントや行事のあとに絵を描いたり、園児全員でコンテストへ参加したり、園紹介のために絵を展示することが多々あります。
運動会や遠足…さらには芸術の秋ともいわれるこの季節。とくに絵を描く機会が多いかもしれません。
でも絵を描くのが苦手、画用紙とクレヨンを前に固まってしまう、そんなお子さんはいませんか?

もちろんお絵描きに興味がない子に無理に描かせる必要はありませんし、上手に描けるお友だちと比べて焦る必要はありませんが、「描けない」「できない」を「描きたい」「楽しい」「ちょっと好きかも」に変える保護者のフォローや方法を元保育士の炭本まみが紹介します。

絵が描けない、苦手の理由を知ろう

子どもは入園までの間、家庭でさまざまな遊びや体験をしているでしょう。けれど、これまで経験してきた遊びや、好きな遊びは、保護者の意思、性別や生活環境によって一人ひとり変わります。また、子どもの心身の発達の差も大きな影響があるでしょう。

ジェンダーレスと言われる世の中ですが、園で見ているとやはり男女で好む遊びの違いはあり、どちらかというと女の子はままごと遊びやお手紙交換・お絵描きなどを好み、男の子はヒーローごっこや戸外遊びを好む傾向があります。

一人ひとりの育った環境や経験は、集団生活がスタートするとさまざまな得意・不得意や、興味・関心となって現れます。

絵が苦手、描くのを嫌がる、すぐに飽きるなど、絵に対して興味・関心が乏しかったり、苦手意識を持っている子どもは、これまでに絵を描く機会が少なかったり、大人や周囲の子どもとの関わりの中で苦手意識を持っている可能性があります。

また、絵を描いたときに「もっとこうしたら?」「色は塗らないの?」など、絵に対する評価や注文を受け、自分らしさを受け止めてもらえなかった経験があるのかもしれません。

本来、絵を描くことは楽しく自由な気持ちになるものですね。どうしたら、子どもに絵を描く楽しさを伝えることができるのでしょうか。

「上手だね」と品評せず良いところを言葉にするだけでOK

子どもが画用紙に丸と点を描き、「ママだよ」と見せてきたら、何と声をかけるでしょう。

  • ママ、お口がないの?
  • 髪の毛は?
  • ママ?これが?
など、思わず言ってしまうかもしれません。
その気持ちはよく理解できます。えー!?これがママ?と思うかもしれませんね。

けれど、絵を描くということは、心が揺り動かされたからこそ、大好きなものやひと、景色を表現するのです。また喜んでほしい、認めてほしいという気持ちもありますね。

「ママが好きだから、喜んでほしくて描いた。」という子どもの気持ちを受け止めてあげましょう。

  • ママを描いてくれたの? うれしいなぁ。
  • 〇〇ちゃんが描いてくれたママの絵、宝物にしよう!といって子どもの見える所に飾る
  • ママも、〇〇ちゃんのこと、描いてみるね!
など、心から絵を描いてくれた子どもの気持ちを喜び、言葉にして伝えてあげましょう。子どもは絵に対する評価を得たいのではなく、大好きだよ、楽しかったね、きれいだね、これが好きなんだよ、という気持ちを表現し、描けたことを認めてほしいのです。

いじらしい子どもの気持ちをしっかり受け止め、そこから絵に関する会話や遊びを広げてあげましょう。

スタートは「まねする」でOK

絵を描いて見せてくれたとき、または、子どもが絵を描いているとき、ママやパパも一緒に絵を描くことをおすすめします。

絵を描くことは実はとても難しく、描きたいことをイメージしたり思い出したりしながら記憶と手を連動させるので子どもにとっては大変高度なことでもあります。

うまく絵にできなくても、描いたものが「りんご」だと子どもが言うのなら「りんご」なのです。
「りんご描いたの?〇〇ちゃんりんご好きだものね。」と楽しい雰囲気を作りましょう。 そして、「ママもりんごを描いてみようかな。りんごって何色だっけなぁ」と独り言のように言いながら、または子どもと話しながら描き進めてみましょう。

  • りんごって赤かったな
  • りんごって丸かったな

子どももそんなイメージを思い出し、一緒にイメージしながら描くかもしれません。
このように、子どもと関わりながらイメージしたり、ママやパパの絵をまねたりして「絵を描くって楽しいな!」と子どもが思えるような関わりから始めてみましょう。

大切なのは「絵の描き方を教え込む」のではなく「絵を描くのが楽しい!」と思えることです。

さまざまな素材を使った創作遊びを楽しもう

幼児期にはクレヨンのほかにも、色鉛筆や絵の具、チョークなどで絵を描くほか、粘土や折り紙、空き箱など廃材での工作も体験しておきたいもの。絵を描くのは苦手でも、作るのは好きという子も多いのではないでしょうか。

造形遊びを通して絵を描くときの、物や人、風景など、さまざまな形の捉え方や、形の描き方、遠近感などを表現する力につながります。さまざまな創作活動をおやこで一緒に楽しんでおくといいですね。 ***

小学校入学後も続く「絵を描く」という活動。子どもにとって、「楽しい」ことは「得意」へつながります。ぜひおやこで一緒に楽しく描いてみてくださいね!

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執筆者

炭本まみ

保育士として10年勤務し、今は高校生と中学生を育てるママ。未だに子育てに行き詰ることはありますが子育てのアドバイス記事を書きながら自分も振り返っています。趣味はキャンプと旅行とカメラ。アウトドア記事や旅行記事、保育士や保護者向けのコラムを執筆中。

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