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子どものなぜ?なに?どうして?に答える!

【月の満ち欠け】満月、三日月…月の形が変わる仕組みと名前をわかりやすく解説!

【月の満ち欠け】満月、三日月…月の形が変わる仕組みと名前をわかりやすく解説!
【専門家監修】月の満ち欠けはどうして起きるのでしょうか。その周期と月の形の名前、また「月食」が起こるしくみについてわかりやすく解説します。自由研究で観察するときのポイントも!野澤俊索さん(森のようちえん さんぽみち園長)監修による幼児・小学校低学年向けの解説、「科学をもっと楽しもう」コラムも。
目次

あるときは満月、それが半月になったり、三日月になったり…毎日形を変える月は子どもにとってとても興味深いもの。暗くなった帰り道、子どもと「月が出てるね」などと話す機会は多いのではないでしょうか。

そんなとき「どうして月は形が変わるの?」「次に満月になるのはいつ?」などと聞かれたら、あなたは説明できますか? 月の満ち欠けが起きるしくみをわかりやすく解説します。

※本ページはアフィリエイトプログラムを利用しています。

月は太陽の光で照らされ反射している

私たちが住む太陽系では、地球などの「惑星」が、中心にある太陽のまわりを移動しています。このように惑星が他の天体のまわりを回ることを「公転(こうてん)」といいます。そして惑星のまわりを公転する天体を「衛星(えいせい)」といいます。

月は地球のまわりを回る衛星です。つまり、月は地球のまわりを公転しながら、地球といっしょに太陽のまわりをまわっているのです。 太陽は自分で光を出す「恒星(こうせい)」ですが、地球などの惑星や月などの衛星は自分では光りません。

月が夜空で輝いて見えるのは、自分で光を出しているのではなく、太陽の光に照らされ、それを鏡のように反射しているためです。

幼児や小学校低学年の子に解説するとしたら…

月は自分で光っているわけではなく、太陽の光に照らされて光っているように見えるんだよ。

月が満ち欠けするしくみと周期は?

月が地球のまわりを公転するにつれ、太陽の光に照らされている部分も変わります。太陽の光が月に対して同じように当たっても、地球から見たときに、月が太陽に対してどの方向にあるかによって、照らされる部分、つまり月の見え方(月の形)は異なります。

地球から見る月は毎日、姿を変えます。
夕空に見えた三日月は、数日後には日が沈んだ直後の空で半月になり、さらに数日経つと満月に、その後は夜半過ぎから夜明けの空に移って次第に細くなっていきます。

まるで月が満ちたり欠けたりしているように見えるこの変化を「月の満ち欠け」といい、ほぼ1か月の周期で繰り返されます。この満ち欠けの周期を「朔望月(さくぼうげつ)」といいます。

幼児や小学校低学年の子に解説するとしたら…

月は私たちが住んでいる地球のまわりをまわっているんだよ。だから、今どこにいるかで、太陽の光に照らされている部分が全部見えたり、少し見えたり、全然見えなかったりするの。月の形はずっと丸いけれど、私たちに見える部分が変わるから、形が変わっているように見えるんだね。

だいたい30日でまた同じ形に見えるようになるよ。

月の名前と形・太陽との位置関係

1日目の月:新月(しんげつ)/朔月(さくげつ)

月が太陽と同じ方向にある時、地球は太陽と反対側になるので、地球から見た月には太陽の光が当たらず、月の夜側しか見えません。夜側の月面はまっ暗なので、月の姿はほとんど見えません。
この状態が「新月」です。「朔月(さくげつ)」とも呼ばれます。「朔」は「はじめ」という意味で、ここから月に満ち欠けが始まることを表しています。

2日目の月:二日月(ふつかづき)

新月の翌日、太陽が沈んだ後、西の空の低いところに糸のように細い月が見つかります。「二日月」と呼ばれ、秋には20分くらい、他の季節でも1時間くらいで、沈んで見えなくなってしまいます。

3日目の月:三日月(みかづき)

地球からは月の夜側だけでなく昼側(光が当たっている側)の部分も細く見えてきます。これが「三日月」です。
太陽が沈む頃、西の低い空に見つかりますが、ビルや山に遮られて見ることができないことも多いため、見つけられたら「願いを叶えてくれる月」と考えられてきました。

7日目の月:上弦の月(じょうげんのつき)/弓張月(ゆみはりづき)

新月から約7日経つと、月は地球から見て太陽の東に90度の位置に来ます。太陽の光が西半分(右側)を照らしているので、地球から見えると満月を縦に半分に切った半円に見えます。これが「上弦の月」です。
「上弦」というのは、夜中に西の空に沈む時にカーブしている方が下になり、弓の弦が上にあることをいいます。弓の形に似ていることから「弓張月(ゆみはりづき)」とも呼ばれています。

13日目の月:十三夜(じゅうさんや)

「十三夜」は、満月に次いで美しいとされている月です。これから満ちていく様子が縁起がいいとされ、古くから豆や栗をお供えしてお月見が行われてきました。

15日目の月:満月(まんげつ)/十五夜(じゅうごや)

太陽と180度離れた反対側にくれば、月全体が丸く光る「満月」。
月と太陽を結ぶ線上に地球が位置するので、ひときわ明るく輝く月光を堪能できます。満月だけは一晩中見ることができるのも大きな特徴です。この日の月は「十五夜」とも呼ばれています。

16日目の月:十六夜(いざよい)

満月を境に月の出は次第に遅くなり、新月に向かって、少しずつ欠けていきます。
はずかしがって、十五夜より少し出るのが遅くなったということで「十六夜」の月と呼ばれています。

17日目の月:立待月(たちまちづき)

外に立って待つうちに出てくる月…という意味の「立待月」。「立ち待ちの月」ともいいます。

18日目の月:居待月(いまちづき)

さらに月が出るのが夜遅くなり、それまで座って待つという意味の「居待月」。

19日目の月:寝待月(ねまちづき)

ついには出てくるのを寝て待つというのが「寝待月」です。これらの月は、夜が明けるまで西の空で輝いていて、白く透き通ったように見えます。

23日目の月:下弦の月(かげんのつき)

太陽の西に90度のところにくると、月の東半分が光る「下弦の月」になります。
同じ半月でも「上弦の月」とはまったく反対で、左側半分が輝いて見えます。だいたい夜中の12時前後に出るので、遅くまで起きていないと観察できません。この月も「弓張月」の一つで、弓の弦を下にした形で沈みます。

26日目の月:二十六夜月(にじゅうろくやづき)

3日目の「三日月」とは逆を向いていて、浮かんでいる場所も西ではなく、東です。夜中の1時から3時の間に出て、夜が明ける頃、白く輝きます。

28・29日目の月:明けの三日月

明け方に輝いて見えるので「明けの三日月」と呼ばれます。季節により地球と月の動きにズレがあるため、この最後の月が見られる日には違いがあります。

実は、月は地球のまわりを約27日かけて公転しています。ただ、その間に地球も太陽のまわりを少し回っているので、同じ位置関係に踊るまで、2日ほど余計にかかるのです。つまり、月は約29.5日で、また新月になります。満ち欠けがひとめぐりすることから、それが暦の1か月の単位となりました。

月の満ち欠けの観察の仕方と記録方法

月の写真を撮る

月の観察をするときにおすすめなのは写真を取っておくこと。でも、遠くにある月をくらい夜に撮影するのはとても難しいもの。プロでも、専用の機材を使って時間をかけて撮影します。
最近はスマホにもナイトモードが搭載されていたり、天体を撮影する専用アプリもありますので、うまく活用してみてください。

何を記録するといい?

以下のようなことを1か月毎日記録していくと、さまざまなことがわかります。

  • 観察日
  • 観察時刻
  • 観察場所(自宅前、2階のベランダなど具体的に記録)
  • 方角(方位磁針を使って月が出ている方角を記録)
  • 高さ(自分の目の高さを0°、頭の上を90°としておおよその高さを記録)
  • 気付いたこと


また、マイクロソフトOfficeのテンプレートにはJAXAが企画協力をした小学校中学年用の月の満ち欠け観察ノートがあり、無料でPowerPointのフォーマットをダウンロードすることができます。
月の満ち欠け観察ノート

月食とは?月の満ち欠けとの違い・起きる理由

月は太陽の光を反射して光るので、月と地球と太陽が一直線に並ぶと、太陽の光がつくる地球の影が月にうつり、満月が欠けて見える月食が起きます。

ただ、満月が必ず月食になるとは限りません。というのも、地球は太陽のまわりを回り、月は地球のまわりを回っていますが、その回っている道はぴったり重ならず、少し傾いているため、満月は地球の影になるところの外側を通ることが多いためです。(下の図の白やグレーの線のように) ときどき、図の赤い線のように、地球の影に入ってしまうことで月食が起こります。

満月が地球の影の中を通るのは年に2回ほどしかなく、そのうえ、それが昼間だと月食は見えません。だから、年に1回も見えない年もあれば、3回見える年もありますが、平均すると日本では5年間に4回ぐらいしか見えないのです。

しかも、そのほとんどは地球の影が月の一部だけを覆う(一部だけが欠けて見える)部分月食で、地球の影が月をすっぽり覆う(月の全部が欠ける)皆既月食はなかなか見ることができません。

***

月の形が変わるしくみを知ると、地球や月が公転していることを実感できます。 また、形を変える月にはロマンチックな名前がつけられていて、その理由も調べると、ますます月に興味が出てくるかもしれませんね。

野澤さんの「子どもと科学を楽しもう」コラム

『おつきさまはまあるくなくっちゃ』という絵本があります。
ある日やせ細ったお月さまを見たおばあさんが、いろんな料理をこしらえてお月様に食べさせて、まあるく太らせるという話です。幼児期の子どもたちはファンタジーの世界に生きています。世界の現実と空想とが一緒になっていて、その境目はまだよくわかっていません。

お空にお月さまがいるということはわかっていて、形が変わっているということに気づくのはいつでしょうか。

月の形が変わるのは、影の位置が動くからですね。影が動くことは、子どものふだんの生活でも気付く機会が多いですよね。

細い月のとき、目を凝らしてみると暗い所にうっすらと丸い輪郭が見えることがあります。「ほら、あそこが影だよ」と言って見ると、満ち欠けの秘密に気づくかもしれませんね。

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監修者

森のようちえんさんぽみち園長 野澤 俊索

NPO法人ネイチャーマジック理事長、兵庫県自然保育連盟 理事長、森のようちえん全国ネットワーク連盟 理事
神戸大学理学部地球惑星科学科 卒業。
兵庫県西宮市甲山にて、建物を持たず森を園舎とする日常通園型の自然保育「森のようちえんさんぽみち」を運営して10年。今では2歳から6歳までの園児25名と一緒に、雨の日も風の日も毎日森へ出かけていく日々。愛称は"のんたん"。森のようちえん全国連盟では指導者の育成を担当している。
プライベートでは2歳の娘の子育ても楽しみにしている。

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執筆者

ライター 福田チヅコ

主として大手通信教育会社にて未就学児や小学生向けの教材や告知物の編集・原稿執筆を担当。

その他、女性誌やWEBでインタビューや対談記事を手がけている。

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