教育費、みんなどう貯めている?途中で息切れしないために各年齢で知っておきたいことって?

教育費、みんなどう貯めている?途中で息切れしないために各年齢で知っておきたいことって?
【ファイナンシャルプランナーが徹底解説】子どもの教育費は幼稚園から大学までいくらかかる?親が気になる教育費についてファイナンシャルプランナーの八木陽子さんに詳しく教えていただきました。小学校から大学まで、それぞれの教育費の特徴と習い事にかかる費用の考え方についても伺います。
目次

前回の記事「【気になる子どもの教育費】小・中・高・大学まで一体いくらかかる…?”わが家の教育費プラン”どう考えたらいい?」では、幼稚園から大学までトータルでかかる教育費と内訳、教育費の準備にあたってどのように考えるべきかをファイナンシャルプランナーの八木陽子さんに教えていただきました。

今回はいよいよ教育費が増えていく、小学校から大学までの教育費の特徴についてくわしく解説いただきます。

※教育費の概算の表は、文部科学省「平成30年度子供の学習費調査」、「平成30年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金」、「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」をもとに(株)イー・カンパニーで作成したものです。

【小学生】低学年のうちが貯めどき!習い事の費用も増える時期

小学校でかかる教育費は、公立と私立で概算でもかなり違います。
現在、東京などの都市部では、小学受験や中学受験が人気ですが、私立小学校に在籍した場合、年間の支出額が公立の約5倍になります。また、その後の中学や高校も私立になると心構えをしておくのがよいでしょう。

中学受験をする場合、塾の費用は3年間で平均250万円

また公立の小学校に通う場合も、想定外にかさむのが塾費用です。
中学受験のための塾通いは年々低年齢化しており、現在、エリアによっては1年生や2年生の通塾も珍しくありません。低学年のうちは、1~2万程度で済む塾代が、学年が上がるにつれて、あれよあれよと高額になり、6年生の最後の半年間は月10万円ほど塾代に消えていきます。

中学受験の費用は4~6年生の3年間平均で約250万円と言われています。塾のみならず家庭教師をつけて、トータル500万円ほどかかったというご家庭も知っていますので、中学受験をする地域に住んでいる場合、表の全国平均と、塾にかける費用が異なると思っていたほうがよいでしょう。

高学年になると習い事の費用もかさむ

また、塾のみならず、他の習い事においても、低学年で始めるときは、友だちに誘われるなど気軽な気持ちでスタートしますが、高学年に上がるにつれて、時間や費用がかかります。
例えば、サッカーや野球を始めると、高学年は毎週末のように練習試合や遠征があったり、夏休みには合宿があります。

そのため、子どもが小学生低学年のうちは比較的貯めどきですので、児童手当などで備えておく習慣をつけておきましょう。

【中学生】子どもの生活費全般もぐっと増える時期

「中学校が公立でも、高校受験のために塾に行ったらあまり変わらないのではないでしょうか?」という質問をよく受けます。 ただ、表を見ていただくように、公立の中学校3年間の総額は146万円、私立の総額は約422万円です。つまり、その差額は約276万円。3年間で約276万円を塾代とするかどうかになります。
中1や中2の塾費用は、家庭学習で抑えることができますので、やはり一般的には公立のほうが塾に行かせても金銭的負担は軽いと考えています。

部活にかかる費用、交際費などが増える

とはいえ、勉強以外にも、子どもの生活費全般が増えてくるのがこの時期です。
食事や被服費などどんどん増えてきますし、部活や課外活動にもお金がかかります。交通費も、家族旅行の代金も大人と一緒になります。スマートフォンも中学生から持たせるご家庭も多いでしょう。子どもの行動範囲もぐっと広がる時期ですので、交際費や子どものおこづかいの金額の負担増もよく耳にします。

私立を選択された場合、そういった生活まわりのお金も公立よりも増えることを忘れてはいけません。そのため、家計的に背伸びして私立を選択するのはできる限り避けたほうがよいでしょう。中学生時代から貯蓄を切り崩していると、高校・大学まで教育費が持ちません。

高校受験は塾などの費用・受験費用の準備を

また、公立中学・公立高校に進学するつもりでも、高校の受験費用が中学生のうちにかかります。合格した私立高校が入学手続を待ってくれるかわりに支払うお金の額が、3万円程度~数十万円になり、合格後数日以内に振り込む必要性があります。

結果、中学・高校ともに公立でも、塾などの受験対策費用と受験費用の両方を準備する可能性があります。

【高校生】就学支援制度が進む一方で大学受験費用が重い

高等学校の場合は、現在、就学支援金制度が進んでいます。表は、授業料や家庭での教育費の総額になり、そこから就学支援金を引くと、現実的な負担額になります。

公立高校に通う生徒の支給額に関しては、世帯の年収目安約910万円未満の場合、公立高校授業料相当額(年額11万8,800円)が無償になります。また、私立学校等に通う生徒に関しては、世帯の年収目安約590万円未満の生徒を対象に上限額の引上げが行われて、私立高校(全日制)の場合、39万6,000円が支給されるようになっています。

これにより経済的な理由で私立高校への進学を諦めていたケースでも受験の際の選択肢として増やすことが可能となりました。

また、この就学支援金制度は、国の就学支援金制度ですので、それ以外に、都道府県別の独自の支援金・補助金などの制度があります。高等学校の場合は、このような制度を利用すると、授業料等の負担はかなり軽減されます。

高校3年時の大学受験費用が大きい

そして、高校時にかかる費用として忘れてはいけないのが、大学等の受験費用です。受験料など受験のための費用は、高校3年生時にかかります。遠方の大学を受ける場合は、交通費・宿泊費などもかかります。

平均3~4学部ほどは受験すると言われている大学に払う受験料、そして、大学に進学予定の保護者の方から一番きつかったという声が多いのが、入学しない大学への納付金です。支払わなければ、入学する権利を失うので、第1志望の大学の合否が出る前に、約30万円の納付金がかかります。

【大学生】国立・私立、学部で大きく異なる学費

大学でかかる費用は、表を見て分かるように、公立と私立でも大きく違いがでますが、さらに私立の場合さらに学部、文系か理系かによっても異なります。

そして、理系は大学院に進学する可能性が高まります。文部科学省の調査では約4割程度が大学院に進学していますが、大学によっては8割以上というところもあります。
そのため、一口に大学+大学院といっても、トータルでは大きく差が出ますので、親としてどこまで想定して準備をするかを考えましょう。

親元を離れて一人暮らしする場合の生活費も

また、大学では一人暮らしをするケースもあります。「第56回学生の消費生活に関する実態調査 CAMPUS LIFE DATA2020」によると、自宅外生の1か月の平均生活費は12万1,180円となっており、4年間では約582万円程度になります。

住居費の負担が最も大きいですが、生活費用をどのようにするか親子で考えておきましょう。

もちろん、大学生ともなればアルバイトなどで本人も稼ぐという手段も。ただし、今回のコロナ禍でわかったのがアルバイトの雇用が厳しくなる局面もありうるということ。そうした影響をうけて進学自体を断念することがないよう、想定外のことが起こった時でも最低限の生活はできるような資金計画が大切です。

出典:「第56回学生の消費生活に関する実態調査 CAMPUS LIFE DATA2020」(全国大学生活協同組合連合会)

奨学金をは4タイプ。しっかり調べて活用を

なお、大学は、奨学金も色々ありますので、調べてみる価値があります。

奨学金は大きく分けて4タイプ。

1つめが、有名な日本学生支援機構(JASSO)のものです。住民税非課税世帯には、返還不要の給付型があります。その他、有利子のものと無利子の奨学金があります。基本は入学前に申し込む予約型になっていますが、緊急時の対応もあります。

2つめに、大学独自の奨学金制度があります。大学の偏差値ランクを少し下げてでも特待生入学を選択肢に入れるなど、進学希望が絞られてきた段階でリサーチするとよいでしょう。

3つめに、民間・企業のものがあります。様々な民間等の奨学金の情報を網羅したWEBサイトに「Crono My 奨学金」と言われるものがありますので登録して調べてみてください。

最後の4つめに自治体独自の融資や支援制度もあります。都道府県や市区町村で別々の制度があるので、ご家庭で悩まず、窓口で一度相談してみるのもよいでしょう。

月々の習い事・塾にかける費用の考え方は?

子どもたちの習い事や塾代について、ベネッセ教育総合研究所の調査があります。

スポーツ活動の人気ナンバー1は、幼児・小学生でスイミング、中学生と高校生では、テニスです。芸術系では、すべての年齢において「楽器の練習・レッスン」が人気です。ピアノなどが該当するかと思います。

しかしながら、このデータから分かる特筆すべきものに、スポーツや芸術系の習い事よりも、勉強を重視する傾向があることです。保護者において教育全般に対する不安が高まっている結果になっています。
そして、約7割の保護者が「教育にお金がかかりすぎると思う」を選択しています。様々な就学支援の制度が出てきているにかかわらず、子育て世代の教育費への負担感は依然として根強いです。

教育費は長距離マラソン!配分を間違えないように

昨今、ネットなどの発達により、さまざまな情報が入ってくる中で、常に子どもの習い事や教育に手を抜けないと感じている保護者は多いのかもしれません。

しかしながら、子どもは生まれてから成人するまでには約20年あります。教育費は短距離走ではなく、長距離のマラソンになります。スタートしたばかり地点や短距離で、資金を使い切って息切れしたり、精神的にも負担が大きくなりすぎないように、長期で大局的にとらえることが大切です。

すべての期間、均等にきっちり教育費を使い続けるのではなく、ご家庭なりの教育への想いや計画を考え、メリハリある支出にしましょう。

出典:第3回 学校外教育活動に関する調査(ベネッセ教育総合研究所)

***

親にとって負担感が大きい教育費。それぞれの段階でかかる費用をくわしく見ていくと「用意できるかしら…」と不安に思う方もいるかもしれません。

次回は、子どもが何歳までにどのくらい貯めておくべきか、また具体的な貯め方について八木さんに解説いただきます。

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監修者

キッズ・マネー・ステーション

「見えないお金」が増えている現代社会の子どもたちに、物やお金の大切さを知り「自立する力」を持ってもらいたい、という想いで設立。 全国に約300名在籍する認定講師が自治体や学校などを中心に、お金教育・キャリア教育の授業や講演を行う。2020年までに1500件以上の講座実績を持つ。http://www.1kinsenkyouiku.com/

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執筆者

キッズ・マネー・ステーション代表/イー・カンパニー代表取締役 八木 陽子

2005年からお金教育・キャリア教育を普及する「キッズ・マネー・ステーション」を主宰し、現在、約300名の講師たちが所属し、全国の小・中・高等学校にて授業や講演などの活動実績が多数。2017年度から使用される文部科学省検定の高等学校家庭科の教科書に日本のファイナンシャルプランナーとして掲載される。
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