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のんたん先生教えて!子育ての気になる…どうすべき?

最近話題の「非認知能力」って一体どんなもの?わが子のために親としてできることとは?

最近話題の「非認知能力」って一体どんなもの?わが子のために親としてできることとは?
園舎を持たず森での自然保育を実践する「森のようちえん さんぽみち」(兵庫県西宮市)の園長"のんたん"こと野澤俊索さんに、子育てで気になるテーマについて綴っていただく連載。今回は昨今注目されている「非認知能力」がテーマです。
目次

最近、子育てに関する話題で聞くようになってきた「非認知能力」という言葉。
子どもに必要な力だということはわかるけれど、どんな力のことかイマイチわからない…そんな思いを抱いているママやパパにぜひお届けしたい今回のテーマ。

「非認知能力」とは何でしょう。私たち親は子どもに何をしたらよいのでしょうか。「森のようちえん さんぽみち」園長の野澤俊索さんの考えをお伺いします。

***

晩秋の森に冷たい雨が降ったある日、子どもたちとお弁当を食べていた時の出来事です。
「ミカンがむけない…」と5歳の女の子。冷たい雨に手がかじかんで力が入らないようです。

それを聞いていた隣の子が、「てが、かじかんでいるんだよ」と言いました。
「ちいさいときは、なんで、てに、ちからがはいらないか、わからなかったけど、いまは”かじかむ”っていうことがわかるよ」と。

それを聞いていたそのまた隣の男の子が、「むいてあげるよ」といってミカンを受け取りました。でも、「あれ、むけない…」やっぱりかじかんでいて、手に力が入らないようです。

「かして!」とまた別の男の子。その子は力が入ったようで、さっとミカンをむいて、女の子に渡しました。女の子は「ありがとう」とうれしそうな顔をしてミカンを受け取りました。

子どもたちの体験から本当の意味で分かった"かじかむ"という感覚。
それを他の子と一緒に共感したこと。
上手くいかないことを何とかしようとしたり、助けようとしたりする気持ち。
そこに感じる仲間意識。
うれしい気持ちや、ありがとうという感謝。

その他にも、子どもたちの中にはたくさんの気持ちが動いていたのではないでしょうか。

こうしたやりとりの中に、実はとても大切なことが隠れていることがわかってきました。

経験から自然に育つ"ひと本来の力"

例えば、子どもたちの仲間集団の中でいろんなやりとりをしながら身につくのは社会性です。また、上手くいかないことを経験しながら何とか乗り越えてきたり、工夫して遊んだりすることから自己肯定感が育ちます。

人や物事に関わろうと思い行動に移すときには主体性が発揮されます。このように人や物事と対峙したときには、心が動きます。近年、こんな"心"にまつわるたくさんの力を「非認知能力」と言うようになりました。

肉体と同じように、心も動かせば動かすほどその力はついていきます。そこで、非認知能力を強くするには、心を動かす経験をたくさんすると良いということになります。

対して、学校で学ぶような点数で評価できる力を認知能力と呼びます。学問や技術のように、認知能力は教授的に授けられるプラスアルファの力といえます。
認知能力以外の力は、みんな非認知能力です。それは新たに授けられるものではなく、人間としてもともと備わっているベースにある力といえます。

いろいろと教え込まなければいけないものが認知能力ならば、非認知能力とは人間らしく生きていくうちに経験から自然に育っていく、ひと本来の力です。

子どもが"子どもらしく生き生き"できること

現代は「子ども時代が失われた時代」と呼ばれています。子どもが子どもらしく生きていけないとしたら、そこにあるはずの"ひと本来のちから(非認知能力)"は育ちにくくなっていることでしょう。では"子ども時代"とはどこにあるのでしょうか?

子どもたちは、泥んこで遊んだり、擦り傷やたんこぶを作りながら危ない遊びをしたり、大はしゃぎをして大声で叫び倒したりするのが大好きです。いろんなことがあるけれど、そんな"大人の目が届かないところ"に子どもの世界が広がっているのです。

子どもたちがちゃんと子どもたちの世界にいてその時間を過ごすこと。そこに子ども時代があるのではないでしょうか。

子どもが子どもらしくいるとき、その子の顔は生き生きとしていて、その目は輝いていることでしょう。していることは、どんなことでもかまいません。ただ、子どもが生き生きとした顔をしているかどうかが大切なことなのです。

子ども時代に、"子ども時代"を。それを取り上げることなく生活することで、非認知能力は自然に育ちます。そう、それはひと昔前には何の苦労もなく自然に手に入れていた、人間を人間たらしめる当たり前の力なのです。

非認知能力を育てるために、特別なことは何一ついりません。
ただ、子どもらしく生き生きといられる遊びや生活の環境を選んであげることが大切なことなのだと思います。

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執筆者

森のようちえんさんぽみち園長 野澤 俊索

NPO法人ネイチャーマジック理事長、兵庫県自然保育連盟 理事長、森のようちえん全国ネットワーク連盟 理事
神戸大学理学部地球惑星科学科 卒業。
兵庫県西宮市甲山にて、建物を持たず森を園舎とする日常通園型の自然保育「森のようちえんさんぽみち」を運営して10年。今では2歳から6歳までの園児29名と一緒に、雨の日も風の日も毎日森へ出かけていく日々。愛称は"のんたん"。森のようちえん全国連盟では指導者の育成を担当している。
プライベートでは生まれたばかりの赤ちゃんの子育ても楽しみにしている。

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第2・4木曜日 更新

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