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子育て先進国スウェーデンに学ぶコミュニケーション術

短くても【全集中】の対話時間を。子どもの思考力を育む「スウェーデン流」親子の対話術5つのポイント

短くても【全集中】の対話時間を。子どもの思考力を育む「スウェーデン流」親子の対話術5つのポイント
【現地の教育専門家が解説】子育てしやすい国・スウェーデンの教育に子育てのヒントを学ぶこの連載。今回は、子どもの思考力を育てるのに必要な"親子の対等な会話"のポイントについて解説します。
目次

スウェーデン・ストックホルムで幼児教育に携わる田中麻衣さんに、子育て先進国ならではのおやこのコミュニケーション術を教えてもらうこの連載。"子どもは親の所有物ではなく1人の人間として尊重される"という子ども観をもつスウェーデン。親子の会話にもその特徴がよく表れているといいます。

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スウェーデンの親子の会話は、見事なまでに子どもと大人が対等な立場で話しているんです(まさに文字通りの「対話」です)!
そこで、今回は日本で子育てをしているみなさんもすぐに取り入れられる、スウェーデンの親子の対話のポイントを紹介したいと思います。

その1.子どもが見ている世界を想像しながら話す

まず、スウェーデンでは多くの親たちが「あなた(子ども)の世界を見たい」という気持ちを持っているなぁと感じます。これは私も子どもと話すときにとても大切にしていることです。

私たちはひとりひとり、自分のフィルターを通してモノを見たり、出来事を理解したりしていますよね。それは子どもも同じです。
「わが子は一体どんな世界を!?」と子どもの見え方や感じ方を想像してみてください!わくわくしませんか?

子どもがどんな世界を見ているのか、そこにはどんな色や音があって、どんな登場人物がいるのか、そんなことにわくわくしながら対話してほしいなと思います。

その2.対話に"全集中"する時間をつくる

次に、対話のための環境づくりをしましょう。
普段忙しいからこそ、対話すると決めた時間はそのことだけに集中してきちんと向き合いたいものです。スマートフォンや家事から手を離し、全注意を子どもに向けましょう。

短い時間でいいですからね。子どもは長時間集中して対話を続けることはできないので、楽しいと思える短さがちょうどいいんです。

その3.会話のテンポを落とし、大人が主導権をにぎらない

言うまでもなく、子どもと大人との違いはいろいろあります。その違いを踏まえて、とくに対話のときに注意したいのは「テンポ」です!

大人は子どもと話をしようとすると、つい会話の主導権をにぎってしまいます。その原因のひとつは会話のテンポにあるのです。
たとえば「①今日は幼稚園で何をしたの?」と聞いたとき。子どもがすぐ答えてくれないと、すぐさま「②誰と遊んだの?」「③お絵描きした?」と違う質問を続けてしまってはいませんか?

子どもが、①の質問の答えを考えてる間に②、③と矢継ぎ早に質問が増えてしまうと、子どもはどの質問に答えればよいかわからなくなってしまいがちです。

ぜひ大人の側が意識して対話のテンポを落とし、子どもから答えを待ってみましょう。

その4.問いかけの仕方に工夫を!

対話の中で子どもの考える力を育むために、こちらからの問いかけも工夫してみましょう。
イエスかノーで答えられる質問(クローズドクエスチョン)だけでなく、自分の言葉で答えられるような質問(オープンクエスチョン)も混ぜてみてください

先ほどの「①今日は幼稚園で何をしたの?」や「②誰と遊んだの?」はオープンクエスチョン、「③お絵描きした?」はクローズドクエスチョンですね。

どちらか一方がよくて、もう一方がよくないというのではなく、違う形式の問いかけを両方とも意識してみてください。子どもは、色々な問いかけに答えようとすることで、振り返って考える力やそれらを伝えるための言語力が身に付きますよ。

その5.「もっと聞きたい・知りたい」を伝えていく

大人がこういう会話にしていこう…と無理やり誘導するのではなく、子どもからこちらの思うような答えが返ってこなくても、その答えを掘り下げることをおすすめします。つまり、子どもまかせでOKなんです!

「うんうん、なんでそう思うの?」や「そのときどんな気持ちだったの?」など、こちらからの「もっと聞きたい、知りたい」を伝えていきましょう。
それだけで、自然と子ども中心の対話になっていきます。子ども中心の対話とは、子どもだけが話すというのではなく、子どもの興味関心に寄り添った対話になっているということです。だから、子どもの話に対して、大人が考えていることや感じたことも伝えていきましょう。

自分だけでなく他の人にも意見があることを理解したり、順番を待って話す練習をしたりする機会にもなります。

教育方法学の専門家・中山芳一先生のひとことメモ

スウェーデンが子どもを大人の持ち物にせず、しっかりと一人の「人格」としてとらえているということは、前回までに確認済みでしたね。
とはいうものの、能力的に子どもは子ども…ここらへんの「さじ加減」がスウェーデンの大人は絶妙なのだと思います。

子どもと対話するうえで意識したいこと

  1. 一人の「人格」として見ている世界は、私たちと違う…だからわくわくしよう!
  2. 大人だって「ながら」で対話するのはイヤ…だから「ながら」はやめて全集中!
  3. でも、子どもの対話能力は大人とは違うから…そこは子どもに合わせよう!
  4. さらに、「教育」のために問いかけを工夫してみると…思考力や言語力の獲得へ!
  5. そして、本当に対話を子どもまかせにできれば…大人だって自由に意見を言えばよい!

こんなことを意識してわが子との対話を楽しんでみましょう!

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次回は、子どもの考える力を育む対話の具体的な方法について田中さんに教えていただきます。

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監修者

岡山大学准教授 中山 芳一

1976年岡山県生まれ。岡山大学 全学教育・学生支援機構准教授。専門は教育方法学。大学生のためのキャリア教育に取り組むとともに、幼児から小中高学生の各世代の子どもたちが非認知的能力やメタ認知能力を向上できるように尽力している。9年間没頭した学童保育現場での実践経験から、「実践ありき」の研究をモットーにしている。『家庭、学校、職場で生かせる!自分と相手の非認知能力を伸ばすコツ』『学力テストで測れない非認知能力が子どもを伸ばす』(ともに東京書籍)ほか著書多数。最新刊は監修をつとめた『非認知能力を伸ばすおうちモンテッソーリ77のメニュー』(東京書籍)。

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執筆者

スウェーデン就学前学校Guldklimpar COO 田中 麻衣

福岡県生まれ。大阪大学外国語学部卒。高校と大学で1年ずつのスウェーデン留学を経て2012年に移住。スウェーデン学童保育の再建をきっかけに、スウェーデンの学校運営に携わるようになる。ストックホルム大学にて校長資格取得。教頭、校長職を経て、現在は幼稚園運営及び特別支援教育専門のコンサル企業に所属し、各地現場の環境・内容・方法等のマネジメント及び人材育成に携わっている。

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